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かけているから。
ペンからこぼれる色の数
どれだけ重なっても変わらない
描いていたものは何色かな
空白の線がまだここにある
ハイライトがどこまでも
片方だけが輝いて
それでも世界は見えている
黒色の内側の白い線
連なっていく時間の形
右手でふれた明るさが
片手に伝わって落ちていく
雫はやがて輪を描く
どれだけ流れようと色あせない
未完成のキャンバスは
色彩を変えていく
グレデーションは去っていく
青空の色も夜空の色も
片方に写って片方に消える
それでも世界はずっとここにある
流れる雲に手を掴む
隠した片目に裏返る
モノトーンはかけていく
折れたペンの色合いは
やがて白く消えていく
表から裏へとこぼれていく
ここはまだ空白の中
色彩の霧はまだ晴れない
まだかけているから




