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群青
群れる明りは日にかかる
語らずとも既に思い出に
誰しもが過去を記憶する
青春の輝きはいつもそこにあった
目まぐるしい流れに身を任せ
過ぎ去るがままに駆けて行った
手に持つものはたくさんあった
その都度何かを捨てていた
背伸びをして握る拳
木漏れ日が隙間からこぼれ落ちる
せせらぎのように澄んだ景色が
いつも目の前に広がっていた
この身体は覚えている
冬の寒さも春の暖かさも
夏の暑さも秋の寂しさも
巡る季節は思い出を形に変えていく
この季節になる度に思い出す
懐かしく眩しかった日々よ
この空の色のように輝いた
手に握る明りはまだここにある
太陽の眩しさも月の侘しさも
まだここにある
薄れていくような日々でさえ
大切なものへと変わっていく
群青はまだ空の上




