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この道より
私が歩んできた旅路はここで終わる
この先は暗闇で何も見えず
振り返る路には後はなく
後ろに広がるのもまた漆黒のみ
これまで辿ってきたそのための
標はいつも先人たちが
私はぼんやりと歩いていた
時の流れのままに遡ることなく
今日までに至る
淡く差し込んでいた陽は薄れ
やがて星の色さえもなくなり果てていく
月の明かりは焦がれいき
どこからともなく雫が落ちた
波紋が足音までに
風はまだ止んでいない
誰かが背中を押してくれるわけでもなく
私はここに立ち尽くす
ここから先は私だけ
他の道は疾うに潰えてる
終わりに会い私は瞑る
次に開けばまだ闇の中
差し伸ばした手の隙間から
零れ始めた淡い光
気付き見れば先に明かり
それでもまだ暗闇より
ここで路は終点に
次からは私だけが歩む先
何かが見えずに手探りで
されど光は標となる
旅路はここより続く
私の路はこの道より




