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吊り上げられたガーゴイル

 

目蓋から落ちる光は濁る

声もなく悲鳴を上げ続ける翼

意図も容易く打ち砕け消える

背中から溢れた欠片は瞬く間に壊れていく

真っ逆さまに空を見つめて戯れ言を

縛り付ける戒は朽ち果てて行く


紺碧の裏側に潜むどす黒い眼差しが笑い

純然たる言葉を切り裂き焼ききる

手隠しで歩いたところで嘲笑は増すばかり

白色のベールが灰黒く変色してしまう

やがて手を出すことさえ止めて見てみぬ振りを

不条理に固まった殻に籠り飾り付ける

逆さ吊りのガーゴイルが目を光らせ笑う


どうすることも出来ないと銀皿を落とし割る

鳴り響く悲鳴が煩わしく重く伸し掛かる

次第に歪み手が沈む

軋めく怒号が木霊する

またも吊り上げられた逆さのガーゴイル


猜疑に溺れた人間が言うには光

それを欺瞞に満ちた旅人は闇と言う

虚偽に苛まれる人間には混沌

一言で片付けるのは難しい

分かっている筈なのに知った振りをする

そうして亡者の犠牲になった者は数知れず


町中に置かれた逆さのガーゴイル

その視線の先に写る裏側の町中

人間とは何者か問い掛ける

答えは出ずに砕け散る


理想と現実に動く振り子が導く

階段を上るか下るかは自由だと

いくつもの懐疑が押し寄せる

扉越しで聞いて笑う者叫ぶ者

どちらも同じであった


意図も容易く砕ける石像は逆さに笑う

吊り上げられたガーゴイル

それは既に悪魔であった

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