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お前が見ているものは
お前が今見ているもの何ものか
濁った硝子の反射した光のようにくすんでいるもの
そんなものが今のお前に見ることが出来るのだろうか
出来るというなら見せてみろ
虚像を重ねるばかりで現から目を背け
それでも飽き足らず背も逸らすのか
捻れ曲がった鍵の前に立ち尽くし
途方のない紙を見るだけで終わっている
目を逸らせばいいとでも思ったか
耳を塞げば聞こえないとでも思ったのか
そんなことはない
どんなに防いでも隙間はいつも開く
歩くことも忘れて寝転がる
その上から何で繋いで欲しい
夢か希望か虚言か
いずれにせよ事象はすぐそこまで迫っている
お前が今見ているのは正しいか
私には判断しかねる
私はお前が見ているものを見ることは出来ない
だからお前だけで判断するしかないのだ
澄み切った水底をひっくり返してよ汚して
染み渡る音楽を雑音に変えて行く
そこが現実であるかのように錯覚している
濁った鏡に映った霧をお前は見ることが出来るだろうか




