a long by me.
齢を重ねて既に遡る
若き手はまだ熱い
けれども時に嗄れて
握るには寒すぎる
踏み締めた足音は強く響く
地に、身に、何より私に
声を立てずともそこに価値があると
誰しもが分かり切っている
しかしそこに定義はない
明確がなくあやふやだけで
私は今日を終える
見出だしたものは何か
――何もない
硝子に写る私を見る。漆黒の淵に写る私は笑うのだ。何かを見つけたかい、何かを得ることは出来たかい? 無邪気な振舞いで道化を演じる。私が何もない、と答えると、硝子の私は怒った顔で消えるのだ。
何がしたいのか
問いかける
何も答えないのか
それもそのはずである
分かっていたことだ。私であるという以上、硝子の彼もまた私であった。それは言葉にするまでもないことである。しかしながら、私は言葉にしなければ認識をすることが出来なかったのだ。
私は私を笑う
愚か者だと、私は思った。まるで目の前の世界で全てを見ているように思った。それが私の見ている世界だと認識をしていたのだ。なんとも単調な考えだろうか。空に写った私でさえ、私を知らなかったというのに。
愚かにも率直に
見える視界としか向き合わない
若さゆえか愚かゆえか
私は思わず若さゆえと叫び出す
悪いことがあるだろうか
嗄れていた手が熱を帯びる
それは怒りではない熱き思い
私はそれでもいいと硝子を叩き割る。世界がそこだけだろうと、そこが私の世界なのだから。何も変わらなくてもいい、何も得られなくてもいい。私は愚かな私を笑うのだ。
踏み締めた足音が胸に響く