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曙が架かる東雲
遠く遠く見下ろした
手が届きそうな程近い
だけど何処かへ行ってしまう
月輪は薄れ始めていた
先を見やれば水平線に
蒼と朱が混じった色彩
光は空を飛び回り
水面を照らす
夜を駆けた流星が
逆さまに雫となって落ちていく
淵の色が輝いて
黒を塗りつぶす碧となる
波間に立つ環が円を描く
止めどなく広がって消えていく
空から降り注ぐ光の柱
やがて残照を揺らして去っていく
月が傾いて陽は差す
それでもまだ薄暗い
静かに繰り返す漣は
まだ砂浜をかき分ける
遂には月が落ち着いて
日が昇り世界が照らされる
隙間から差し込む光が眩しいと
片手で日差しを遮り隠す
座り込んでいた景色から
立ち上がる風景ヘ
歩き出した1歩はまだ
波間に浸かって離れない




