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花桜夜
月の随に吹く風は
いつか見た小夜嵐
揺れ動く桜の花
星の明かりを受け謳う
宵の宴は騒がしい
咲き誇るには至らずに
ああ、立ち尽くしてまた過ぎる
風は花を天へ送る
ああ、そしてまた繰り返す
季節はまだ初春
暁闇に誘われ
迷い込んだあの日の灯
徒然に揺らめいて
また季節は去っていく
花散れどまだ続く
杯に桜を集め舞う
高く高く昇り行く
月の随に落ちていく
強く強く吹く小夜嵐
宵に酔いに空廻る
杯に波立つ桜の環
散れど散れどまた揺れる
月の随に落ちた花
また季節は去っていく
ああ、立ち尽くしてまた過ぎる
風は花を天へ送る
ああ、そしてまた繰り返す
季節はまだ初春