いつかの空、あの日の空
教室の窓辺に差し込んだ
夕焼けが黒板を焦がしている
遠い山の残照に
手をあてながら光を掴んだ
書きかけたノートの上に
シャーペンが転がって
散らかった言葉の欠片が
いつになくオレンジ色に輝いていた
帰りのチャイムが鳴り響く
「一緒に帰ろうよ」ってみんなが呟く
カバンの中に詰め込んで
教室から出ていった
淡く輝く光の中で
他愛もない話をして帰っていった
折り返しの電車が音を鳴らして来た
それじゃあまた明日
教室のガラスに反射する
オレンジ色が中庭を照らしている
遠い空の向こうを見て手を伸ばす
隙間から溢れる光が眩しい
テーブルの上に散らばった
本の数が指し示した
呼び声に振り向いて
掛けた鍵を閉めて後にした
淡い光の中で
いつか見た夢を思い出す
今みたいにみんなで帰った
折り返しの電車が待っている
夕焼けがいつまでも続いている
キャリーバックに反射して眩しいや
窓辺から見える風景は
あの日見た景色と同じに見える
淡く輝く光の中で
他愛もない話をして帰っていった
折り返しの電車が音を鳴らして来た
それじゃあまた明日って
夕焼け空に向かって帰っていく
吹き行ける風があの日を運ぶ
年を重ねても足音はそのままだ
辿り着く向こう側を見て笑う