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晩御飯の前と今
ああ、疲れたってため息ひとつ
誰も向かない向こうの人たち
しゃがれた咳払いをして
ただいまってドアを開ける
皮肉のひとつも言いたくなるもんさ
もちろんそれは自分自身に
まるでなってない道標
あきれ返ってカバンをぶん投げた
くたくたになってここまで来て
なんにも見つかっちゃいないんだ
肩を揉んで首を回して
とりあえず晩御飯でも食べようか
白紙の空欄に言葉を溢す
そんでまた消してみた
書けば書くほど濃くなって
指の先は真っ黒だ
ため息もつきたくなるもんさ
それはもちろん自分に対して
夢たくさん語っちゃってさ
結局叶えられる見込みなんてありゃしない
あくびをして目を擦る
まだ残ってる晩御飯
スマートフォンは充電中
もっともいじる気なんてないけれど
かつんと箸が底をつく
からんからんになったコップがぽつり
ごちそうさまって手をあてて
それじゃあもう寝ましょうか