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描きたいものは何かってさ
頭の中では終わってるのに
とうも手が進みやしない
震えが収まらないんだ
デジタルに描いた顔が
画面の向こうから笑ってるよ
「下手なのにまだ続けんの?」
黙れよってパソコンの電源を落とした
人に触発されてやりだした
中途半端な趣味は失敗
馬鹿みたいに時間ばかり浪費
いい加減やめろよってデジタルが笑ってる
描きたいの世界があるのにさ
頭の中で完結しちゃってる
ペンを握りしているのにさ
空白のアナログが逃げていく
重ねた線が馬鹿みたいに積み重なって
「うまく描けたんじゃないか?」
変な風に描かれた美女が
死にたいって呟いてる
分かってるさ才能なんてありゃしない
自分を笑ってペンを折った
下手なヤツがいつまでもしてるもんじゃない
馬鹿みたいにがんばっていた自分が恥ずかしい
ああ分かってる
何やっても中途半端なまま
才能なんてないよひとつも
あきらめてため息ひとつ
それなのにさ
どうしてまたペンを握ってんだ
描きたいものは描けないのに
目を凝らして何度も描き直してる
輪郭がやっとまともになってきたよ