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黄昏の明かりが灯る場所
温かい明かりが人を照らす
そこは夢見るような場所
手を翳す明かりが歌う
君はまた階段をのぼる
誰もが行きつく最果ての地で
詩人は愉快な音を語る
それはとある物語
今はもう語られない
ここに悪はない
善という光だけが満ちている
そこに無はない
有限なる時の中で形が動く
蝋燭の明かりが青い空を照らす
終わる後に残される安らぎを
人を無意識に求めて語る
想像の世界はここに
数多の詩人が語り継いだ果て
今なお想像が世界を繋ぐ
理論などない飽和な空間
番の鐘が鳴り響く
堕ちることもなくあがることもなく
紅の明かりが舞散る残照の果て
ある者はここを夢の世界だという
まぶたを閉じれば連想される
手を伸ばして掴む光の羽根に
外から届いた手紙がひとつ
まだここにも声が届くのか
かの旅人は日記に記した