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はろー、えんど。
指の隙間からこぼれた光がまぶしくて
目を瞑って叫んでいた
手を握った感覚がもうなくて
ぬくもりが冷たく足に伝う
寒いって手をこすって暖めた
春の行方がまだ分からない
桜のつぼみにかかる堕ちていく
春風が吹いているのに
雪が空から降って来た
あの頃はまだ時間があるって思ってた
気付いたらもうここにいる
歩くたびに割れる霜柱が響く
土の中で今なお眠る命たち
春が来てなおまだ何も動かない
灰色の空から雪が降って来た
春風が雪をどこかへ追いやる
雪解けの水が川に流れる
芽吹く風はまだ冷たい
空へ差し伸ばした手が凍る
その先に舞い落ちた桜のつぼみ
アスファルトに溜まった水の上
桜が咲いて満ちていた