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月に叢雲などを
宵の眩しさはいざ知れず
今はまだ叢る陽炎に埋もれてる
迸る風はまだ
蜃気楼の僅か先
見上げようと見えぬ今宵は雫
それでも明かりをともす星はなお
燈に揺らめく言葉は届かず
彼方へ消える風如く
未だに空白を埋めようと
目を瞑っては言葉を消していく
語ることなかれとため息を
綴る言葉は群がる烏のよう
淡く遠くまだ見えず
楼閣の月影が月隠す
堕ちる光はゆらゆらと
滴る陽炎が受け入れた
今宵もまたいざ知れず
叢る雲が夜を隠す
杯に堕ちた明かりが零れ
水面に映る月が顔を見る
さすれば真か偽りか
綴った言葉が踊りだす
空へ舞い上がる烏たち
闇夜が口を開けて謳い出す