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絶望
暗い底に手は届かず
ただ空に浮いて手をおろす
先に見える光は近いのに
どれだけ手を伸ばしても
光はあたらない
叫ぶことも
泣くことも
疲れ果てた
今はもうただ流れに身をまかせて
暗闇の中を漂うだけ
雫が落ちる音が聞こえる
風が堕ちる音が聞こえる
あらゆるものが落ちていく
下へ下へ
吸い込まれるように
ゆっくり落ちる
ぼやける視界に差し込む明かりは
蒼く赤く黒く白い
色相が万華鏡のように輝いて
はじけて淡く薄れていく
どこまでも広く
暗闇は温か
やが手をおろして
目をつむる