143/660
ケテルの星
ガラスに映ったのはどんな世界?
壊れた光が水晶に差し込む
万華鏡のように割れた世界
崩れたガラクタを手に取って
何もいわずに涙を流す悪魔が独り
天使の欠片に語りかける
明くる朝は雨だった
やっとが遅すぎて
もう何もないこの光
反射して返す輝きさえ
割れて空へと消えていく
廃墟に佇む影は走る
どこまでも続く回廊を
やがて影は虚ろに去って
また静かに時が流れていく
光は何処に
まだ求める欠片は哭いた
記憶の糸は今なお続く
明ける夜に降り立つ一番星
欠片に語りかけては願いをひとつ
輝く天使の欠片から零れる光
止めどなく広がってひとつになった
目を覚ませばいつかの廃墟
継ぎはぎだらけの体が動く
物語の続きをまた紡ごう
歩き出した方向は朝だった




