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道先の少年
霧雨降る森の中
静かな朝が語りかける
どこへ行こうか宛てもなく
さまようように歩き続ける
道先にあった祠に挨拶
そして出会うその先に
佇む少年がここ独り
どうしたのって近寄れば
少年は何もいわずに帰りたい
子どもみたいな語りかけ
ならば行こうか森の先
静かに過ぎる音時雨
薫風は吹き抜けるこの先に
語りかけはなおも無言
少年は歩くままにそのままに
語るのは俺独り
もうすぐ先に森の向かう
雨はいつの間にかやんでいた
ついた果て
少年に別れを告げてさようなら
後ろを振り向くことなく目をつむる
その後のエピローグは語りごと
あの少年はさまよう人だった
けれどこれで道しるべ
少年はきっと帰れたろう




