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最後に咲いたスターチス

 

ねえ、覚えてるって語りかけた

夕焼けの湖畔でティーパーティー

2人だけの静かな時間


甘いケーキにアールグレイを

味も分からないのに知ってるふり

すぐにばれて笑われた


懐かしいなあと振り返る

今はもう向こうの話

零時を告げる鐘が鳴り響く


壊れて止まったオルゴール

音はもう鳴り止まない

それは不協和音のハーモニー


人形は糸に吊るされて夢を見る

途切れ途切れの記憶の断片

もう思い出すことさえできない


廃墟にさしこむ月明かり

宵は彼女を客に踊りましょう

星の舞踏会が始まった


虚ろのガラスに写るのは

単なる現実の生き写し

もう人形は動かない


手から落ちた花ひとつ

最後に咲いたスターチス

散って去って消えてった


もう何も始まらない

物語に幕引きを

そして迎えるエピローグ


拍手で笑う悪魔がひとり

そんな悲しそうな顔をしないでよ

やっとまた会えたのに


人形の手を握る悪魔が言った

ただいま、ひさしぶり

誰もいない廃墟に響く


ざらざら崩れた最後の形

悪魔の手に残ったのはひとつの花

それは季節外れのスターチス



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