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宵覚(よいざめ)の明かり
右手を見ても
左手を見ても
まだ辺りは暗く
見ように見れない
明日になれどまだ夜は明けず
ただ星の響きが鳴り続ける
白き息が身を掠め
煙のように風なびく
空へのぼる白煙は
目の前を白く染める
そして今を歩いて辿り着く
明かりさえつかぬ星の境
冷たい風が吹き抜ける
それは山から降りる風
絶え間なく続くその風は
差し伸べた手に明かりを差す
ついには明るく向こうに
星は駆けさり雲が来る
見上げた空に輝く朝の一番星
宵の明かりはまだ遠い
けれど明かりは確かに照らす
明日が今日になる
明かりは空を彩り広がる
それが新しい今日の標