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アサギリソウの回廊
どっちへ行けばいいって
くるくる回る見知る土地
あっちに何か
こっちに何か
どこへ行っても見知らぬ風景
どのくらい時間は過ぎた
人形は針のない時計を見る
結局分からずじまいでまた迷う
その上でアサギリソウは笑ってる
いつか見た町は変わっていて
今なお残るものはどこにもない
青空へ続く石段は
どこかへと誘う道しるべ
くるくると回る人形は
まだ迷って走って転んでる
アサギリソウが下で笑ってる
思い出せよと笑ってる
星空は同じなのに
すっかり変わった明るい町
静かな所なんてどこにもない
ただわめき叫ぶ人形ひとり
町の外れの廃墟へ戻る
ここだけが変わらない場所
ひとりぼっちはもう慣れた?
どこ行く風で
またあの人を探していると
アサギリソウは笑ってる
どうせ見つかりっこないよって
笑ってごまかす人形ひとり
振り返る人は誰もいない
穢らわしい純粋な人形は
とうの昔に壊れてた
それでもなお探しているのよ
黒い手のあの人を




