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止まった電車の窓から見た世界
そんな世界はちっぽけで
目の前にあるだけのハリボテ
分かりきったことを言葉に変えて呟いてみる
冬間の電車の中は温かい
外は肌寒くて出たくない
外にいる人たちを見て
中に入ればいいのに
自分勝手な言葉を空気で語りかけてみる
発車までの時間はまだある
指で数えられる程に短いのに長く感じるんだ
足組をして音楽を聞いてみるけれど
なんだか違うってイヤホンを外して
前屈みになってみる
ふと見た電車の窓の向こう側
そこには空しか見えていない
あくびをして背伸びをする
背もたれに寄りかかって窓を見る
さっき見ていた景色と同じ世界
無意味だなって呟いて
今度は眼を瞑ってみる
数秒してまばたき変わらない
何一つ変わりやしない
そんな世界にいることを知った




