俺をパシリにする陽キャグループ、連休中に肝試しをして憑かれたらしい
多くの思春期が発症させる病。それに関係する趣味にのめり込んだせいで、俺は中学の2年間を消費してしまった。
小学生のころは普通にこなせていたコミュニケーションも、いつの間にか上手くできなくなっており、高校2年になっても絶賛ボッチ中だった。
昼休みのチャイムが鳴る。
「あぁ やっと飯だあ!」
そう言って身体を伸ばす生徒の声や、机を動かす音が響く中で、俺は一人黙々とご飯の準備を始めていた。
席の位置は中央後方とかなり良いのだけど、左隣が最悪だった。
「ねえ環奈さぁ、これ見てよー」
弁当を片手に近寄ってきた小原さんが、俺の隣にいる環奈さんにスマホを向ける。
前の席に許可をもらうこともなく、小原はそいつの椅子へ勝手に座り、環奈さんの机に弁当を置く。
彼女の席を挟んだ向こう側の男子が、自分の机を動かしてくっつければ、彼は遠慮なく横から小原さんのスマホを覗きこむ。
「お前またそういうのみてんのか」
勝手に覗かれても、小原さんは切れることなく。
「別に良いでしょ、だって好きなんだもーん」
実をいうと小原さんは、俺と同好の士なんだけどね。でも以前、そっち関係で痛い目を見て、最近は関わらないようにしています。
「なになに、なんの話してんのよ」
離れた位置からチャラい男がやってきて、彼もまた許可なく椅子を奪ってもう一名の男の前に座った。
「うわっ またそっち係かよ。いつか痛い目みても知んねえぞ」
声がデカい。
「そんなことよりさ、明日このメンツで遊ばね?」
そんなこと呼ばわりされた小原さんは、少し機嫌が悪そうに。
「連休は純也とデートでーす」
「すまんな直人」
「えぇ、じゃあ環奈ちゃん俺と遊ぼうよ」
「あんたと2人ぃ、嫌よ」
純也くんと小原さんがカップルで、直人のクソ野郎は環奈さんが好きだけど、こっちはあんま望みがない感じかねぇ。
「わぁったよ。んじゃ瑞樹、4人で遊んでくれるなら、夕方はお前の好みに付き合ってやるってのはどうさ。ちょうど良さそうな場所知ってんだわ」
「おい直人」
純也くんが睨むが、残念ながら小原さんの目が輝いていた。
嫌な流れに傾いて来たな。
その場所を教えてくれた叔父さんに車出してくれないか頼む。でもその人はそっち系がダメらしく、現地には同行しないと思う。
1人で待ってる方が怖くない。
あんま聞き耳立ててもアレか。
俺は鞄からエコバックを取り出すと、席を立って。
「あっ ボッチ君ジュース買い行くん? じゃあ頼むわ」
「……金」
環奈さんは俺のエコバックを見て。
「ウケんだけど、準備万端じゃん」
「あぁ 泉くんごめーん、細かいのないやぁ」
「いつもわるい」
小原さんはピッタリ小銭があれば10円玉も出すけど、今回みたく足りないと100円しかださない。環奈さんと純也くんは10円足りなくても、ちゃんと200円で全額分だしてくれる。
おつりは返します。
「ボッチ君すまん、今金欠なんだわ。また入ったら渡すから、かわりに払っといて」
「お前なぁ、いつもそう言って返さねえだろ」
純也君が立て替えてくれた。俺には返さないけど、彼にはちゃんと返すらしい。
「そういえば今日金曜だねぇ。先週は環奈だったからアタシか」
まあ分かると思うが、こいつら苦手なんだけど。
「はい泉くん、いつもありがと」
金曜日だけは持ち回りで、俺のジュース分を払ってくれるんだよ。勝手に決められたルールなんだけどね。
「すんません」
「お願いね。お茶でいいや、暖かいの」
それぞれが注文していく。
「この時期に熱いのかよ。俺とりあえず炭酸ならなんでもいいわ」
「別に良いでしょ」
夏でも冷たいの飲まない人いるよね。
「あたしミルクティー」
「俺は冷たいお茶で」
クソ野郎を見て。
「気に入らないと文句言うだろ。コーラで良い?」
「わぁってるよ、それで良いわ。さっさと行けや、奢られてる分際でよ」
今回は小原さんだろ。だいたいお前に奢ってもらった記憶しばらくないんだが、いつも純也くんが立て替えてるじゃねえか。
・・
・・
うちの学校で飲み物を買えるのは、学食か体育館に向かう渡り廊下の自販機だけだ。
本当は水筒持参したいんだけど、それで反感買うのが怖いんだよな。なんやかんやで金は払ってもらってるから、悪化しなけりゃこのままでも良いかと諦めております。
教室からは体育館側が近いから、そちらに向かう。
「やっぱ外は暑いな」
廊下も暑いんだけどね。そんなこんなで人数分の飲み物を買っていると、背後から。
「あれぇ、先輩じゃないですかぁ。どうしたんです、そんなにたくさん?」
ため息を1つ。振り向くことなく作業を続けながら。
「……わかってて聞いてるだろ」
中学からの後輩だ。
「またパシられてるんですかぁ、だっさ」
「ほんとお前らって人種はどういう教育を受けてんだよ、同級生を顎でつかってよ」
将来が心配だわ。
「はぁ?! 私そんなことしてないんですけどぉ、現にこうやって買いに来てるじゃないですかぁ」
「後輩じゃなかったら、お前ぜったい俺のこと使ってただろ」
現にこいつは先輩に向かってこの態度だからな。
「えぇー 別に後輩でなくても使いますよぉ。じゃあ今度からは私の分もお願いしちゃおっかなぁ、1年の教室まで来てくださいね」
「金は払えよ」
毎回毎回、こうやってわざわざ小馬鹿にしてきやがる。
「噓ですよ、さすがに先輩パシってたら引かれますって」
「お前。敵多そうだもんな」
沢山の女子に嫌われてそう。
「まあそこら辺はしゃあないですよ。誰かさんと違って自力でなんとかできますしぃ」
「俺がこうやってパシられてんのも、一応世渡りなんだけどな」
虐められないための。
「情けないですね、可哀そうな先輩♡」
「生きてようが死んでようが、恨みってのは厄介だぞ。買わないに越したこっちゃねえ」
暖かいお茶は一緒にしない方が良いか。
「やめてくださいよ。先輩が言うとマジで怖いんですけど」
「助けちゃやらんぞ」
生意気な後輩よ。
「大丈夫ですって。なんだかんだそう言って、最後には助けてくれるんでしょ?」
「もうこちとら懲りてんだよ」
しゃがんだ姿勢を直し、腰を伸ばしながら間宮の方を向けば、そいつは苦笑いを浮かべていた。
「女の恨みは執念深い」
視線を間宮に向けながら、右手に集中する。特に冷たさも痛みも感じないので。
「まあ、今のところ問題ないから、上手いことやれよ」
「なら良かったです」
自販機に100円を投入して。
「ほれ先輩のありがたい恵みだ」
「せっかくだからもう20円入れてくれませんかねえ」
学校の自販機って、余所より安いのはなぜだろうか。
「そんくらいは自分で払いなさい」
両手が塞がってて財布を開くのが面倒なので。
「はいはい、ありがとうございます」
「おうよ。じゃあまたな」
俺って良い先輩じゃないだろうか。
その後。クソ野郎には遅いと文句を言われたが、他からの感謝を受けとったのち、俺は弁当を広げる。
時々こちらにも話を振られ、短いことばで返事をしながらの昼食を終えた。
明日は休みなので、残りの時間を頑張ろう。
・・
・・
週が明けた月曜日。
登校して直ぐに気づいた。
「おはよう」
「はよ」
こちらを見上げ。
「めずらしいじゃん、あんたから挨拶するなんて」
桶に張った水に手を浸したような感覚がある。人差し指の付け根から発生する痛みはそれほどでもないか。
陽キャグループは直人以外は同じ中学なため、残りの2名は彼女と一緒に登校してくることが多い。
「他は休み?」
「純也は遅刻するって、あとは休みだってさ」
県内のスポットはあらかた把握してるけど、危険なのは2カ所くらいだ。でも位置的にな。
抵抗力は守護霊や体質で違ってくるが、症状が重いのはクソ野郎と小原さんなんかね。
チャイムぎりぎりで純也君は登校してきたが、環奈さんの言う通り2人は休んだ。
昼休み。
「買ってくるけど、どうする?」
症状としては環奈さんと純也君は同じくらいか。
「すまん、頼めるか」
「私は暖かいので、お茶で良い」
「おうよ。そっちは」
眠そうにしながらも。
「炭酸で頼む。できたらエナジードリンクが良い」
「珍しいじゃん」
確かにあまり普段は飲まない。
「ちょっと寝不足でな、シャキっとしたいんだ」
「……そうか」
俺は見える人じゃないんだけど、こりゃ憑かれてるわ。右手の感覚が鈍くて、字が書きにくいったらない。
「んじゃいってくる」
「すまんね何時も」
「行ってら」
金もらってないんだけど、まあ良いか。
あの生意気な後輩はいつも茶化しに来るわけじゃないので、今日はさっさと買って教室にもどる。
「ほい」
「ごめん、お金忘れてたわ」
良かった。二人からお金はもらえました。
どうすっかねぇと考えながら、この日は放課後を迎えた。
自宅に帰宅したのち、さっそく準備に取り掛かる。
清めの塩ってのをよく聞くけどさ、あれってあら塩や天日塩で、食用塩や精製塩は避けた方が良い。
そんで俺の場合はもうひと手間。
塩水を鍋にかけていると、帰宅した妹が。
「……兄ちゃん」
「すまん。父ちゃんと母ちゃんには黙っててくれ」
連中をこの言葉で括るのは抵抗があるのだけれど。
「友達なんだよ」
「深く関わっちゃだめだからね、対処法だけにしてよ」
二人とも働いてるから、帰宅はもっと遅い。
「わかってる」
俺にも良く分からないんだけど、殺人ミステリーの主人公が、そういう災難にしょっちゅう遭遇する現象あるじゃん。
あれと似た感じになってくるんだよね。
塩水の水分が蒸発するのを待っている間に、すでに予約がセットされている炊飯器から中身を取り出し、米の残り汁だけをボールに移す。
「木炭だっけ、炊飯器に水注いどくから、取ってきなよ」
「すまんね」
再度の予約は妹に任せ、俺は自分の部屋に行く。段ボールの中にある木炭から、直感で良さげなものを選ぶ。
「ええっと、ファブ〇ーズの容器あったよな」
除霊効果があるって都市伝説あるけど、汚染された空間を清める意味では実は効果あったりします。ていうかさ、もし部屋が汚ければ掃除した方が良い。
キッチンに戻り、米汁の中に木炭を入れて、しばらくは塩水の様子を観察する。
「天日干しするんだよね。私の部屋の方が日当たり良いから、預かっとくよ」
「すまん、助かるわ。半分はレンチンすっから」
理由は分かんないんだけど、この過程で用意した塩の方が効果が高い。段々と弱まっていく感じかな。
一番良いのは職人さんが造った直後の奴なんだけどね。
米の残り水が入ったボールは数時間つけた後、ファ〇リーズの容器に移しておく。ボールは見つからないように返却しておきました。
・・
・・
翌日の火曜日に登校すると、今日は純也くんも休みとのこと。環奈さんは来ていて良かった、連絡とる手段ないからな。
「おはようございます」
「……うん、はよ」
昨日より悪いな。ただ増しているのは冷たさだけで、痛みは変わらんか。
悪霊っていうよりは、怒らせたって感じかな。
「そういや、肝試しに行ったんだっけ?」
「はぁっ 横から聞いてたん、キモいんですけど」
ご機嫌斜め。おっかないよぉ。
「すんません」
「いいよ別に、隣りだしね。こっちこそごめん」
とりあえず、昼休みまで待つことにする。
機嫌が悪いためか、今日は誰も彼女には近づかず、また彼女からも誰にも話しかける様子はない。
数時間後。チャイムと共に席を立ち。
「どうする?」
「いい。今日は自分で買いに行く」
そっすか。まあちょうど良いか。
机にかけていた鞄を持って、彼女の後をついていく。その背中に向けて。
「もしかして体調悪いの、肝試しが関係してませんか。階段は慎重に降りた方が良いっすよ」
「……」
階段の前で環奈さんは足を止めた。
「なに、そっち系好きなん。瑞樹と同類じゃん、なら痛い目みるから止めた方が良いよ」
「痛い目なら何度もあってますんで、もう懲りてる部類っすね」
こちらに振り返り、俺の目を見つめてきた。ちゃんと顔を合わせるのって始めてかも知れん、もう視線反らしたいよぉ。
「あんた……詳しいの?」
「霊感は殆どないっすね、気配を感じるだけです。ただ、対処法はいくつか知ってます」
環奈さんは「そう」とだけ残して、階段を下りていく。
自販機までたどり着くと。
「瑞樹はなんどか吐いてる。時々だけど、本人もわけわかんないのに泣きだしたりしてんの」
今日はお願いされて泊まりに行く予定なんだって。
「純也は悪夢。私はなんかね、何時も視線を感じるっていうか」
周りを見渡してから。
「嫌な感じがするのは、本人からだけっすね。周囲には特にないかな」
「……」
俺に言われて、彼女も周りを見渡す。
「一緒に泊まるってのはお化けが集中しちゃう場合もあるっすね。別々のほうが分散されるかもだけど、精神状態を保つなら同じ家ってのもありですが」
「どっちなんよ」
渡廊下にはベンチがあるので、そちらに誘い。
「てかなんで鞄持ってきてんのよ」
「対処法っすよ」
まずは清めの塩を取り出し。
「あら塩をいったん水に混ぜて、火にかけて戻したやつです。天日干ししたのはまだ乾かし中なんで、明日には持って行きます」
レンジでチンしたのはちょっと効果が落ちると説明して。
「これを口に含んでもらって良いっすか、飲み込んじゃダメですよ」
「ふーん。んで?」
背中を向けるように頼む。
「そんじゃ失礼して」
インドやら東南アジアだと左手が不浄だって言われるけど、日本じゃ逆なんだよね。それに俺の場合はなるべく右手は使いたくないから。
払うように左手で叩く。
「……ダメっすね」
俺も塩を口に含み、もう一度左手で払う。
「うん、とりあえずは良いかな」
「そうなの? あんま分かんないけど」
俺は苦笑いを浮かべ。
「エセ霊能力者なんで、あんま期待はしないでください」
「自分でそういう奴は、なんか逆に信用できんだけど」
始めて笑った。良い傾向だね。
「部屋は綺麗にしてください。掃除が終わったら、コンパスで北東と南東に盛り塩をしてください」
なんもしてない塩の袋を取り出して渡す。盛り塩にはこれを使うよう説明した。
一手間加えた方は量が少ないから、気持ち悪くなったときや恐怖が限界になった時に口へ含む。
鞄からファブ容器を2つ取り出し。
「数時間に一度、これを部屋全体に吹くといいっすよ」
「ちょっとなにそれ。ファブ除霊ってガチなん?」
空気を清めるって意味じゃありだと伝え。
「中身は米の残り汁に木炭をしばらく浸したものです。なんでかは聞かないでください、俺もよくわかんないけど、色々試して効果があった奴なんで」
「ふーん、そうなんだ」
ハチミツをお湯で溶かしたのもお勧めだと教え。あれって腐らないんだっけ。
「同じ病気でも薬が効くかどうか個人差あるでしょ。それと同じなんだよ、あとはあら塩を水に溶かしたのも用意して、シュッシュしても良いかもっすね。ただ一度に全種類を撒くのはお勧めしません」
1時間おきに色んな種類を試して、なんか良いなって思ったのを使ってくれと教える。
「知り合いの神社には俺から話を通しておきますんで」
「あんたはお祓いできないの? さっきなんか背中叩いてくれたじゃん」
そうだとうなずき。
「俺はさっき言った通りエセ霊能者でして、なんの修行もしてない素人なんすよ。業界の人からすれば、それが一番厄介だったりします」
ちゃんと専門家に任せた方が良い。
「まずはその前に現地に行って、謝罪をしてから向かいましょう」
「えっ 嫌なんですけど」
気持ちは分かる。
自分の感覚からすると、悪霊ってよりも怒った霊な気がすると伝え。
「被害を受けた側がなんの謝罪もないまま払われるのと、ちゃんと謝ってからお祓いをするのだと、どっちの方が印象が良いっすか?」
「……」
うつむいた環奈さんを見つめたまま。
「神社さんからしても、そっちの方が印象は良いです。現地に向かうのは日中なんで」
丑三時ってのがあるくらいだから、日中か夜間かってのは実際に重要だったりする。
「わかった」
とりあえずの話はついたかと安堵していたら。
「先輩?」
生意気な後輩が現れた。そして俺が取り出していた道具に視線を向け。
「また、そっち関係ですか」
「……だな」
そんな困ったちゃんを見るような目を向けるんじゃないよ。
「間宮だっけ?」
「あっ はい。一年の間宮明日香です、崎島先輩ですよね」
そんな名字だったのか。みんな名前で呼ぶからさ。
サキ島さんは俺と間宮を交互にみて。
「知り合いなん?」
「同じ中学校ですね」
奇妙なものを見るように。
「意外な組み合わせじゃない」
「……今のお二人と同じような理由です」
ある女性が何者かに呪いをかけられいた。相手は誰か予想つくか聞いたら、間宮明日香って女だと思うって返されたのが切欠です。
穴二つってね。
察しが悪いっていうか、感知能力も低いんですよ俺。
環奈さんも納得がいったようだ。ベンチから立つと。
「泉、ありがと。本当に助かったよ、もうどうすれば良いか分かんなくてさ」
どこか肩の力が抜けた様子。
「なら良かったっす」
「でもさ、これ持って教室戻るの恥ずかしいんだけど」
それもそっか。教室で再度渡すことにして。
「飯はちゃんと食った方が良いですよ。活力はガチで重要何で、食欲なくても無理やりつめ込んでください」
「わかった。学食行くわ」
あら塩も米汁も用意はできるから。
「男二人にも伝えておいてくれ。あと可能なら特性清め塩も直人くんに渡した方が良いかな」
「駅まで取りに来れるか聞いてみる」
一番症状が酷いのが彼だから。
「じゃあね」
「階段とか気をつけてください」
見送っていると、後輩が。
「先輩」
環奈さんは振り返り、なんだといった表情を向ける。
「この人。ほんっとうに頼りないけど、こっち方面だけは頼りになるんで」
「そうなの? 本人はエセ霊能者だって言ってるけど」
表情はだいぶ良くなっているな。
「そっちの方が逆に信用できません?」
「まあね」
俺と後輩だけが残される。
「先輩をパシリにしてたのって、やっぱそうなんですか」
「そうなんですよね」
呆れた様子で。
「ざまあとか思わないんですか」
「思いましたよ。だけどさ、ガチで嫌うレベルじゃないんだよ」
ドⅯなんですかと言われた。失礼な。
「金は払ってくれてたし、金曜日だけはジュース奢ってくれるしで」
「あぁ、そういう感じだったんですねぇ」
1人を除き。
・・
・・
放課後、環奈さんから連絡先を聞かれた。
繋がりを深めるのは正直嫌なんだけど、霊的な意味でもさ。
「web小説で読んだ内容なんすけどね。報酬を受け取るってのは、そんだけ物事との関係を深めるから、こちらの対処も効力が上がる分、危険も高まるって話を聞きまして」
めっちゃ納得して、俺は気をつけるようにしている。無関係がどんどん関係者という立場に変化していく。
「そっか。でもごめん、もしもの時に頼れる相手が居なくて」
神社の電話番号も伝えておいたけど、そう何度も連絡は取れんしな。
「分かりました」
「ありがとう」
どうやら直人は純也くんと一緒にいるらしい。夜寝れんから、日中になんとか寝てるんだろうな。
「純也君には枕元に盛り塩を進めておいてください。あと具合悪くても風呂はちゃんと入ってください、熱めに設定した方が良い」
「わかった」
悪夢って言うしね。純也が特性塩を受けとりに行くついでに、家には食用塩しかないかあら塩や木炭とか買いに行くとのこと。
「のし袋とかも用意しといてくださいね。神社に御初穂料ってのでお渡しするとき、それに入れて出すんで」
普段の状態だったら俺の発言をクソ野郎は茶化しただろうけど、今はもうそんな余裕もないから、素直に従っているらしい。部屋を綺麗にしろって奴だね。
「純也君にも俺の電話番号を教えてやってくれ」
「うん」
なんか歯切れが悪いなと思っていたら。
「あとさ。なんかその……ごめん、今までのことも含めて」
苦笑いを返しておく。
・・
・・
家に到着して部屋に入ると、すぐに知り合いの神社に電話をする。
「もしもし、泉ですけど。お久しぶりです」
近いうちに高校生の4人組がそちらに伺う。どんな経緯かも説明しなくてはいけない。
ざっと聞いた話だと、10年くらい前に最後の住人が老人ホームに移り、廃村になった山奥の部落。心霊スポットじゃないけど、雰囲気がかなりそれっぽいから土曜日の夜中に行ったんだと。
だけどどの家も鍵がかかっていた。外を回るだけじゃ物足りなかったのか、直人が一番荒れ果てていた家屋に無理やり入ろうとした。
他の面々は反対したけど、止めるために敷地に入ったらしい。
「そうですよね、不法侵入になっちまうわな。あの、出来れば警察には。褒められたことじゃないんですが」
そこら辺の対処を確りした方が、相手側としても鎮まるんだけどさ。俺も片棒担いじまってるよな。
「あ、はい。叔父さんとやらは、今のところなんともないみたいです」
今の俺は彼くらいかね。霊的事件との関係性。
どのくらいの費用がかかるかも聞いておく。
「現地で謝罪してから、そちらに向かう予定なので。あっ 本当ですか、すんません助かります」
同行してくれるらしい。
「できれば俺はその、はい。すんません」
なるべく関わらない方向でいることを察してくれたようだ。
「分かりました。じゃあよろしくお願いしますね」
電話をしている途中で、妹がドアを開けた事には気づいてた。
「大丈夫そう?」
「まあ、そこまでヤバイ相手じゃないと思うからな」
恥ずかしながら、「兄ちゃんのそれは信用できない」と返されてしまう。
天日干しじゃないけど、室内干しをした特性塩を持ってきてくれたようだ。
「絶対に家には持ち込まんから」
「うん。それはそうだけど、兄ちゃんもなるべく関わらないでよ」
俺としてもそうしたいんだけどね。
「善処します」
「……もう」
すまん妹よ。
・・
・・
翌日の水曜日。夜中はなんどか連絡があったが、無事に乗り切れた様子。
「学校来れたんすね、よかった」
「ああ。泉、本当に助かったよ」
直人と小原さんは休み。んで彼女の精神状態を理由に、今日は環奈さんが付き添いで休んだ。
「握り飯を供えたんだな」
清めの塩は使わず、食塩で握るように伝えていた。そんで謝罪しながら、近いうちに現地にも行くと祈り、お茶と共にお膳を供える。
「供えたら一時的にラップ音とかドアや窓を叩かれるのは止まった。でも午後2時を過ぎた頃からまた始まってな」
それでもみた所、顔色はそこまで悪くないか。
夜は無理だったけど、日中にはけっこう寝れたらしい。特性塩を口に含んだり、盛り塩のお陰で体調も完全じゃないけど良くなっている。
塩を口に含んで背中を払うってのは俺じゃなくてもできるから、ちゃんとそれもしたそうだ。
でもまだ右手に冷たさは残ってるな。
「ただな、怪奇現象が酷くなってて。精神的にはもう厳しい」
窓に手形とか残っているらしい。
「そうか」
神社にはもう連絡しているとのことだった。
「君が学校に来てるってんなら、今日行くってのは無理だったか」
「ああ。他の要件があるんだと」
その筋じゃ有名な場所だからな。
「俺の経験だから怪しいけど、今回の事例は危険度から言うと並みくらいなんだ。たぶんもっと緊急性が高い案件なんだと思う」
苦笑いを返され。
「らしいな。俺たちからすると、このレベルでかって気分なんだが」
そこら辺は納得しているけど、やっぱ納得はし切れんわな。
「明日は休んで現地に謝罪へ行ってくれ。神主さんが同行してくれるから」
「その予定だ」
放課後までには、担任へ明日は休むって伝えるらしい。
「もうちっと都会なら、人込みん中ってのもありなんだけどな」
「夜中じゃ補導される可能性もあるだろ」
それもそうか。
昼休み。今日は純也君と食べることになった。
しばらく考え事をしているようで、無言のまま時が流れる。
「やっぱ食うのきついか」
「無理やりだ。でも胃に入れた方が良いんだろ」
けっきょくのところ最後にものを言うのは己が体力なんでね。マッチョなほど持久力は落ちるって言うけど、俺の感覚からして筋トレって効果あるんだよね。
「相談というか、お願いなんだが。今日は瑞樹の家族が不在で、皆でそこに泊まろうって話になっててな」
「集まる場合のメリットとデメリットの話は聞いてますかね。環奈さんから」
うなずきを返された。
相手の集中攻撃より、皆が集まることによる精神の安定を取ったんだね。
お怒りの霊が何人かは、俺にも分からないんだよな。見れる能力は低いから、よっぽどの場合じゃないと目視の経験も少ない。
「それで、そのなんだ。可能なら、来て欲しいんだ」
「……」
やっぱそう来たかぁ。
「彼氏の俺が情けない話なんだが、瑞樹が強く望んでてな」
昨日も泉君呼んでよと環奈さんに言っていたようで、それはダメだよと諭されていたらしい。
「一応、環奈さんにも伝えたんだけど、付け焼刃が一番危ないんだよ」
「エセ霊能者って話だろ。でも神主さんに教えてもらったぞ、泉は我流の中だとアタリ枠だって」
えぇ。
「余計なことを」
「ただ繊細は知らないが、本人の意思を尊重して欲しいとも言われてる。お前がなるべく関わらないようにしてるのも含めて」
周囲に生徒がいる場で頭をさげるのは、俺にとってもよろしくないのは分かっているんだろう。
首だけを精一杯下げて。
「頼む。これまでのことで、都合のいい話だってのは承知してるんだ」
「俺さ、家族を巻き込んだ経験があるのよ。ちょっと妹に連絡してくるわ」
それでこの世界からはキッパリ足を洗って、中3からは受験勉強に本腰を入れれたんだよね。
「……すまない」
「ちょっと待っててくれな」
携帯を手に席を立って、教室から出ていく。
マジで気が重い。
・・
・・
ある程度は予想していたので、朝のうちに道具一式は持参しておりました。
小さな声で「バカ」と言われたけど、一応の許しはもらえました。両親には内緒にしてくれるとさ。
放課後。純也君と電車に乗っていると、途中で奴が乗車してきた。
めっちゃ顔色悪いな。そして右手が氷水に浸した感覚。
「……よう」
「お久しぶり」
椅子に座すこともなく、吊り革を握ることもなく。
電車の発進と共に姿勢を崩す。
「悪かった。あと、助かった」
「前々からお前には嫌な感覚があったんだ。嫌な奴って意味だけじゃなくて、霊的な意味でな」
なにも言い返しては来ない。
「自分より格下の相手を見下すと、そいつは口に出さなくても恨みを持つもんだ。人に恨まれるってのはな、かなり怖いことなんだぞ」
1人2人じゃない。
「恐らく、よそ様の敷地に踏み込んだってだけじゃない。多くの恨みを買ってる奴ほど、そういうのは寄って来やすいし、その嫌な感覚を利用して攻撃もしやすい。まあデバフみたいなもんだ」
直人は歯を食い縛り、ギュッと目をつぶり、なんどか小さく頷いてから。
「そうだな」
「理不尽ってのに当てはまらない恨みは、俺らじゃ払えない……祓っちゃいけない」
泣かないでくれよ。
「夏になったらさ、墓参りはちゃんとしろよ」
「……わかった」
たぶん居るであろう守護霊にも感謝しなさいね。
純也が立ち上がり、くそ野郎の肩を叩いたのち、席に座るよう促す。
「泉」
「ん?」
彼の方を見て。
「その話、2人にも送って良いか」
「是非」
そして私へのパシリを止めなさい。
・・
・・
案内された小原さんの自宅は一軒家でした。似たような形の建築がいくつもあるけど、こういうのなんて言うんだっけ。分譲住宅?
「お邪魔します」
めっちゃ緊張するんですけど。
ドタドタと廊下から階段を降りてくる音が聞こえるが、途中で静かになる。走るのをやめたんだろう。
「階段とか気をつけた方が良いっすよ、今は特に」
「……うん」
直人よりは酷くないな。こっちは体質か、心霊好きなところからして複数個所の積み重ねかな。
続いて降りてきた環奈さんが。
「泉、ありがとう」
「一応言っておきますけど、俺みたいな半端者が混じることで、逆に相手を刺激する場合もあります」
神社やお寺のお守りを購入して、それが逆効果ってのは本当にある。もちろん効果がないわけじゃなく、それを余裕で跳ね返せる霊だってことだ。
「暗くなる前には帰り、それまでにできるだけの対策をするって選択もあります。なので考えておいてください」
全員が黙り込む。
「家自体に結界を張るのは難しいんで、まずは部屋に行きましょう。二階にトイレありますかね」
水回りは要注意です。あとできる限り階段は避けたいのもある。
「それは大丈夫、あるよ」
夜間は部屋とトイレしか行かない。
環奈さんの名字ってなんだっけな。えーと。
「敷島さんはお風呂を沸かしてください、普通のあら塩を一つかみでお願いします。1人入る毎にお湯は入れ替えますんで」
「わかった。あと崎島なんですけど」
やっちまった。
「すみません」
「怒る気力もないから、解決してからにするわ」
そうっすか。
「ここら辺にホームセンターありますかね。純也君はこんくらいの麻縄を買ってきてください、部屋を囲える長さが欲しいです」
太さを親指と人差し指で示す。
「わかった。ちなみに泉、俺の名字は分かるか?」
「今はそんなことを言っている場合じゃないだろ。あとはリハパンとパットも」
他に用意すべきものはないか。
「名字については後でな。ところでリハパンとパットってなんだ?」
「うち祖母ちゃんいたから分かるわ。リハビリパンツと尿取りパットだろ、ポリマ―でションベンを吸収するやつだな」
直人の奴は時々介護を手伝ってたらしい。人ってさ、色んな一面があるんだよな。
「イザって時はそれで済ませるんだね」
「知ってればよかった」
漏らしたんすか小原さん。
「この家に日本酒はありますかね。できれば純米酒で、封は空いてないのが良い」
「純米酒かどうかは分かんないけど、日本酒はあるかも。あと私はわかる?」
純也君が「泉は標識見てたぞ」と告発し、小原さんに「じゃあ名前は」と聞かれ、俺は自信満々に「瑞樹さんです」と返答した。
「ドヤ顔すんなし」
そう残してサキ島さんはお風呂の準備に動き出していた。
ちなみに彼女は美人系で、小原さんは可愛い系です。
「日本酒は俺が買ってくるわ。 って未成年なんだよな」
「一応、家から持参してるんだけど、量はそんなないんすよね」
「学校に持ってきたのか」
バレたら停学ものですよ。
「小原さん、菩提寺の宗派分かります?」
「えーと」
お経はどんなだったか聞く。
「般若はらみただったと思う」
「真言宗だったかな」
俺は鞄から小さな護身刀を取り出し。
「じゃあこれが不動明王の加護ってこんで、結界を張りましょう」
「なにそれ格好良いじゃんか」
「酒に続いて刃物か」
生きた心地しませんでしたよ。
「模擬刀ですけどね」
懐刀だ。
細い縄と紙垂の束を取り出し。
「部屋に案内してください。あっ、その前にお酒の確認を」
「わかった」
男二人は玄関を開け、純也くんが先に外へでる。
「床に置くライトも頼む。ランタン型が良いかな」
「了解。もし他に必要なのがあれば連絡してくれ」
「店出る前に、一度するわ」
よろしくと返したのち、小原さんの方を向き。
「そんじゃキッチンへ」
「はーい」
彼女の後を追う。
台所の収納を開け。
「これで良いかな」
「問題ないっす」
よかった。あった。
「ご両親には後日、正直に話してください」
「うん。怒られちゃうかな」
吐くレベルで体調崩してたからな。今日も仕事休もうとしたけど、友達が来てくれるから大丈夫だと断わったらしい。
家族の居ない自宅。
「心配させますけど、個人的には良い判断だと思うよ」
「巻き込んじゃったんだっけ?」
始まりは俺じゃなかったんだけどね。
「助けようとした奴が死んで、俺に来たって感じだ」
「……」
しまった。
「今回のはそのレベルじゃないから」
「うん……それは分かってる、けど」
父ちゃんに殴られたのは、これが初めてだったよ。母が泣いたのも。
「ちゃんと怒られてください。そんで反省してください」
「うん」
開封済みの酒もあったので運んでもらう。
その後。二階にあがり、部屋へと案内された。
トイレへの同線は単純な作りで、道中に直角に曲がった階段があった。
「細縄に酒を染みこませてください。びっしょりじゃなくて良いですよ」
「わかった」
刻々と準備を進めていく。作業中に代わるがわる風呂に入る。お湯を取り換えるから、これもけっこう時間がかかった。
・・
・・
今回は表鬼門(北東)と裏鬼門(南西)ではなく、部屋の四方に盛り塩(あら塩)を設置する。
本当は霊が侵入したか、または破ろうとしたかを蝋燭で判断するんだけど、危ないので小型ライトで代用。これも四隅だ。
太い荒縄は釘を台座にする形で、その上に這わせる感じで壁に張り巡らせ、上部が細長くなっている紙垂を縄に巻きつける。接着には米糊を使う。
酒は1メートル間隔に張った紙垂の間に染みこませる。
御身刀を部屋の中央に置き、丸く細縄で囲い四方の盛り塩へと伸ばす。ベッドなどの障害物は下をくぐらせるようにして、細縄は床から離れないように張り巡らす。いくつかの家具は動かさせてもらった。
部屋の隅に本棚があったので、そこは仕方なく手前の角に盛り塩を配置した。
トイレまでへの廊下中央にも麻縄を伸ばす。
道中の階段に引きずり込まれる危険があるので、そこにも塞ぐように両側の壁へ紙付の細縄を張る。
「あとは便器の蓋と鏡にこの札を糊でつけてください」
「それってあんたが書いたの?」
俺もその技術が欲しいんだけどね。
「本物の霊能力者から買ったものです」
直人は部屋を見渡し。
「お前でエセって、本物を雇うといくらすんだよ」
「その護符も、けっこう高かったりするのか?」
「まあね。悪いけど、これは請求したい」
小原が。
「あたしバイトしてるし、そこから出すよ」
「私も」
部活中心の純也君は小遣いとお年玉貯金、あとは親に相談して出すとのこと。
「今回は俺もちゃんとする。っていうかこれまでのぶんも、これからも確りするわ」
お前、これからも俺をパシル気か。そんな表情を感じ取ったのか、慌てた様子で。
「いや、今のなしで。すまん、人間性はなかなか直せねえな」
「直す人で直人か」
純也の発言に運命的なものを感じたのが、全員が黙り込む。
トイレの四方を細縄で囲い、護符を張り付けてできる限りの準備を終えた。
俺は額の汗をぬぐって立ち上がる。
自然な様子を装いながら、こっそりと濡らしていた右手を、左手に叩きつけて音を鳴らす。
「これで結界が完成しました」
床の御身刀はテーブルの下にあり、不動明王と墨筆で書かれた和紙を卓上へ。それが動かないよう、特性塩を盛った小皿を重りとして使う。
もともとは女の子らしい可愛い部屋は、すっかり模様替えで様相を変化させていた。ぬいぐるみとかは1階に移動させてもらったよ。
「んで、どうします?」
4人が互いの顔を見合わせ。
「すまん。今日は泊ってくれ」
「わかった」
残りの面々も同じ意見のようだ。
・・
・・
太陽は暮れ、夜が始まった。
19時。皆で食事をとる。
外にでていた二人に買ってきてもらったコンビニ飯だ。
「うぅ、全然進まないよぉ」
サンドイッチを食べているが、まだ1つ目だ。
「俺もだ」
直人は納豆巻きだね。
「無理にでもつめ込め」
「朝まで乗りきろ」
次郎系列店監修のラーメンをすすっていると、いつの間にか皆に凄い目でみられていた。
やっとサンドイッチを食べ終えたが、彼女は次には手を付けず室内を見渡して。
「ねえ、これを昨日の段階でやるのは無理だとしてもさ、もっとできることあったんじゃない?」
「俺も寝ちゃってたんで、すんませんね。ただ個人的には過剰防衛のつもりっすよ」
これより頑張ったのは、自分家の防衛戦だけだ。俺の経験だとさ。
本物の霊能力者さんに協力してもらいました。
「そうなのか」
「ただご存じの通り、俺は目視の力は弱いし、感知能力も中の下くらいですんで。けっこう相手の力量を見誤ることは多いです」
あんま期待させ過ぎてもあれだもんよ。
「それに俺の対処は試行錯誤とネットや書籍で調べたものだから、意味がなかったり逆効果なのも含まれてるかも知れん」
全員の顔が強張る。
「お供え物で相手にも謝罪や神社を頼ることがバレてますんで。でもたぶん殺すまでのことは考えてないと思うんだけど、確証は持てませんね」
「……そう」
今も指の冷たさはあるけど、噛まれた痕の痛みはそんなない。
ちょっと脅しすぎたか。
「まあ、個人的に効果あったのを使ってるからさ。なにもしないよりはずっとマシだ、この結界は本物のそれを真似たものですし」
「そっかあ」
切り札があるからこそ、今ここで生きてるんだけどね。だけどさ、これはあんま明かしたくない。
「泉ってさ、小さいころから霊能力があって、一時期は本気で活動してたんだよね?」
「俺は後天的なものです」
話を聞かせろと目を輝かせてきた。ホラー好きめ、さては凝りてないだろ。
「父方の実家近くで遊んでた時に、藪から飛び出してきた小さい黒蛇に噛まれたのが始まりかな」
「何歳の時なんだ?」
今思うと、すごい危ないんだけど。
「小5だな。池……沼みたいなのの傍だったから、水神さまの眷属だったんかね」
「へえ、後天的なのもあるんだな。こんな目に合う前なら、羨ましいとか思ってたかも知れねえわ。まあその前に信じないで、小馬鹿にしてたと思うけどよ」
女二人を交互に見て。
「格好つけようと不法侵入して、この様だ。悪かった」
「本当だよ」
「マジで反省しろ、直人」
直せ直人。
「俺がこっちの世界に本腰を入れたのも、まあ俗にいう中二病みたいなもんだけどな。こんな特殊能力を得ちまって」
「でも感知能力だけなんでしょ、怖いだけじゃない?」
「あたしはそっち系好きだからさ、何となく分かるかなぁ。今回のでちょっと懲りたけどね」
口調がもどってるな小原さん。
会話に参加できるかなと不安だったが、まあ何とかなっております。
食事を終えて時刻は20時。
「ちょっとトイレ行ってくる。ついでに酒を縄に染みさせてくるから、部屋の中をやっといてくれ」
「はいよ」
この部屋はベランダに面しており、そこにお供え物を置いている。今回はお茶じゃなくて酒、そんで握り飯には海苔を巻いてある。
「スプレーは米汁が一番効いたんだったか」
「うん、あたしの感覚だけどさ」
「俺らは塩水だな」
ハチミツ水は不人気だったか。
俺は廊下にでて、縄に酒を染みこませる作業をしながら、ついでにトイレを済ませて部屋にもどる。
「どうかしたか?」
皆がベランダ側の小型ランプを見つめていた。
サキ島さんが眉間に皺を寄せながら。
「点滅した」
「消えたら侵入された証拠です。点いてるんで大丈夫かと、逆に効果がある証拠だよ」
青ざめた表情の小原さんが。
「なら、大丈夫かなぁ」
「泉が部屋から出たらってこんだと、やっぱ警戒されてるんだな」
こら直人、不安を煽るようなことを言わない。
「でも相手がそんだけ反応してんだから、信用できるってことでしょ」
「とりあえず様子をみましょう」
気を反らすために映画を見ることにした。
最近は普通に大人も子供もアニメみるし、こいつらも普通に有名どころは視聴している。実写はなんか気分じゃないとのことだから、明るい作風のものを選んで流す。
ホラーが観たいってのは誰もいませんでした。当然だね。
ドンっ! と音がして窓を一斉に向いたりしたが、まあなんとか映画に集中しました。
途中でトイレに行きたいとの人が続いたが、俺が部屋に残るかついてくかでの議論もありながら、結論は廊下にはでるけど部屋の扉前で待機。
結果。直人が部屋に残った時だけ、点滅しましたとさ。
スタッフロールを眺めていたが、視線を時計へと移す。
もうすぐ23時。
感想でも言い合おうかと見渡せば。
「おい、大丈夫か」
直人が耳を塞いでうずくまっている。
「こっちも」
小原さんが天井を見上げ、ボーっと口を開けていた。
全ての小型ランプは点滅しているけど、消えてはいない。天井の室内灯も問題はない。
「入って来ちゃいない。塩(部屋干し)を口に含んで背中を払ってくれ、直人は俺がする」
サキ島さんが彼女へ対応すれば、そちらはすぐに意識を取りもどす。
「酒塩を一口飲ませてやってくれ。飲み過ぎんなよ」
「わかった」
純也がコップに少量の酒を注ぎ、塩を入れてかき混ぜたのち、サキ島に手渡す。
その間も直人の背中を払うが、効果は薄く彼は返事もせず。
「一定時間で塩を舐めせておくべきだったな」
結界外からこの影響力か。やっぱ見誤ってたか。
これは伝えない方が良いな。
「純也君、米汁を……いや」
彼の感覚で一番効果があったのは。
「塩水を振りまいてくれ!」
「わかった」
すぐに動いてくれた。
「先にコイツの周りに」
「直人、しっかりしろ!」
塩を含み直してから、再度背中を祓えば震えが止まり、ハッとした様子で彼は頭を上げた。
冷や汗なのか塩水なのかは分からないが、ビッショリの背中をさすりながら。
「これを舐めろ」
瞳孔の開いた目でキョロキョロとさせたのち。
「わっ、わかった」
「着替えはあるな」
女子2名には壁の方を向いてもらい、純也がバックから出した服を用意する。
「ちっと映画に集中しすぎましたね」
「あたし最後の方覚えてないや」
乾いた声で笑いながら。
「俺なん映画の内容飛んじまったよ」
やっぱこの二人の方が影響を受けやすいみたいだな。
なにかできることはないかと、過去の経験をさかのぼりながら。
「でも無音は避けた方が良いな」
とりあえず動画サイトを適当に流しておこう。
・・
・・
昨日はドアも叩かれたそうだけど、今日は外に面した壁や窓だけだ。
時刻は深夜1時。お菓子などを用意しているが、部屋を汚さないために空けばすぐさまゴミ袋に捨てることになっていた。
あまり手は伸びてないけど、ティッシュなどのゴミはでる。あとはコンタクトを取り換えるとかね。
「そうだ、コンタクトしてる奴は今すぐ眼鏡にかえろ。裏側に回り込まされて血が流れたって例があるらしい」
「ちょっと泉ぃ!」
「先に言え!」
これは俺の失態だ。
「すまん、俺自身は経験がないから抜け落ちてた」
眼鏡姿になったサキ島さんと純也君。
「しばらく離れてたんだろ、こっち系から。しゃあねえさ」
「そう、だね」
時刻は深夜1時20分。
この2人の方が疲労は上だな。
残りのスティック菓子を食べ切り。
「2時になる前にゴミ袋、いったん階段に出しとくわ」
汗で汚れた直人の服も。
俺は立ち上がっていくつかの袋を手にも持つ。直人くんのおしっこが沁み込んだパットのゴミ袋もね。
小原さんも俺につづき。
「じゃあ、あたしトイレ」
ベランダの確認とお供え物を窓から覗きこんでから。
「では行くかね」
「うん」
深呼吸をするのを見届けてから、俺と小原さんは部屋から出る。酒瓶も持ってくか。
「サキ島さん、扉のこっち側で待機してくれ」
開けっ放しにはしない。階段まで一緒に行き。
「部屋の前で待ってるからな」
「うん」
酒を縄に注ぎながらもどる。
「今待機中」
扉の向こう側から。
「泉、点滅してる。あと天井からなんかバタバタ音も」
俺には聞こえないが、たぶん彼らには聞こえてるんだろう。
「直人は」
「大丈夫。純也が背中を叩いてる、意識もあるよ」
水の流れる音がして、扉が開かれた。
「なんかあったの?」
「大丈夫だ、ゆっくりこっちに」
意識を彼女の部屋に向け過ぎていた。そして階段を警戒して、戻って来る彼女も逆側の壁にも寄っていた。
二階には子供部屋だけでなく、夫婦の寝室などもあり。
「……ぃ!」
音もなくその扉が開き、足から寝室へと小原が引きずり込まれる。
「やられた」
瓶から酒を左手に注ぎながら、夫婦の寝室に向かう。
「いぎゃぁぁ! やだぁっ あ”ぁあっ!」
なにも見えないが、倒れ込んだ彼女は片方の足を、虚空へと蹴り続けていた。
スウェットのズボン。足首の部分が不自然ににギュッと搾られる。左手でそこを叩き。
「動けるか」
「あ”ぁ もうっ い”やぁ」
腰が抜けている。
「だいじょぶ!?」
「小原を運んでくれ!」
環奈が大声で純也を呼びに行く。ナイス判断。
未だ濡れている左手を右の指先でなぞり、気配のする方向に飛ばす感覚で、腕を振り抜いて指を鳴らす。
「去れ」
続けて手の平を叩き合わせ、大きな音を全体へと響かせる。
人差し指の噛みつかれ痕が痛みを強め、真冬の空気に晒されたように右手も冷える。
「引かんと消すぞ」
できればここで止めたい。
純也が彼女の両脇を抱え、部屋へと引きずっていく。
「やだあ”ぁ、やめてよ!」
「俺だ、瑞樹! 俺だって!」
混乱した様子で。
「へっ えっ」
視線を彷徨わすが、なんとか落ち着きを取り戻したか。
直接触れて来やがったか。
良く観ると、寝室前の縄が切れかかっていた。
扉の前でこちらを見ていた直人に。
「和紙と糊をもって来てくれ」
「わかった」
すぐさま部屋にもどり、紙垂を手にこちらへと。
「そっちじゃない、普通の和紙だ」
「わりぃ、勘違いしてた」
力ずくで縄をちぎり、結び直す。
「すまん、俺も説明不足だった」
結んだ位置に和紙を巻きつけ、米糊で接着する。
酒で湿らそうと探すが、瓶が倒れて中身が漏れていた。残り僅かな酒で作業を終わらせた。
「俺は縄を伸ばしとくから、先にもどっててくれ」
「わかった」
乱れたそれをピンと張って廊下の中央へと直す。
部屋に戻ると、小原さんがガチ泣きしていた。
「もうやだぁ」
足首には人型の指で掴まれた痣。
「すまん、油断してた」
「自業自得なのはわかってるけどさぁ、なんでこんな目に合わなきゃいけないの。もう帰りたいよ!」
「ここ瑞樹の家だろ」
そんだけ追いつめられてるんだ。
・・
・・
4人は限界か。特に小原。
もうトイレは無理だと、バスタオルで隠しながらリハパンをはいたよ。
時刻は深夜1時45分。
なにかできることはないか。
机上に設置された、お習字経験がある小原さんの書いた[不動明王]
「日本人は、昔ほど宗教に熱心じゃない」
それはしゃあない。
タブレットを操作して、ワードを打ち込む。
「般若心経の現代語訳だ」
難しいのは避ける。歌で大まかに訳したものにした。
すべては「空っぽ」であるため悩む必要はないという本質を、ポップで分かりやすく表現していた。
死や恐怖も最初から存在しないため、こだわりを捨てて気楽に最高のハッピーを目指そうというメッセージが込められている。
最後の呪文部分も「みんなで最高の世界へ行こうぜ」という明るいニュアンスで超訳。
「みんなスマホでこの動画を流せ、ループさせるんだ」
泣き崩れている小原にはタブレットを渡す。彼女はベソをかきながらも、鼻をすすりながらグシャグシャの顔で動画を見つめる。
俺は自分のスマホを取り出し、実際の坊さんが投稿している般若心経の動画を流しては変えていく。
どれも効果はある。でもこれだって感じた奴を選び、それを最大音量で流す。
「これだ」
霊能関係の決め事は、なるべく直観に頼っている。
黒い画面に漢字とフリガナの白文字だけが浮かび上がっていた。
いや、これは見やすいように、白寄りの灰色だ。
「えっ ちょっと、そんなんで良いの?」
「電波越しでもプロが投稿したやつだ、俺なんかが唱えるよりずっと意味がある。ちゃんとその現代語訳を頭に刻み込め」
もうすぐ、時刻が2時を回る。
「30分だ、乗り越えるぞ!」
丑三つ時。
・・
・・
直人と小原が天井を。
「視線をタブレットから反らすな」
「うそ、だろ」
「あっ あ、あ……あ」
俺には分らん。
「環奈さん、純也。二人の背中を」
「わかった」
スマホに視線をもどし、文字と言霊を脳に映す。
天井の光が点滅していた。
「全員、部屋の中央に集まってくれ」
暴れる彼女を純也が無理やり引きずる。
四つん這いのまま、直人が身体を痙攣させながら近づいてくれば、それを環奈が支える。
恐らく四方のランプは消えているだろう。
でもそれを伝えはしない。
右指の痛みに意識を取りもどす。
スマホの画面は黒いまま何も映さず。
「泉! 瑞樹の意識がない!」
口から塩をこぼしながら、彼女に覆いかぶさるようにして顔だけをこちらに向けている。
「なんでここに居るのよ!」
震える直人を抱きかかえながら、環奈が周囲を見渡していた。
「幻覚だっ! 俺たちが実際にいるのは小原の部屋だ!」
ボロボロの畳には物が散乱している。
服やら紙に書類。
ガラス戸は割れ、ひび割れた食器も。
木目調の天井には黒い染み。カビが壁にまで広がっている。
開かれたアルバムからは、家族写真らしきものが。机を囲んだ大勢での食事風景。
親戚の集まりか。
開かれている破けた襖。奥の部屋は手前の畳だけが確認でき、あとは闇に包まれてなにも見えず。
「さっきまで見ていた動画の内容を思い出せ!」
返事はない。
「なにも見るな、目をつぶってろ!」
破れた障子からの視線。襖の奥から、畳を這う誰かの音が複数。
男女の区別がつかない呻き声。
この発狂は誰なのだろうか。
生者か死者か。
もうどちらでも良いや。
「観自在菩薩。行深般若波羅蜜多時。照見五蘊皆空。度一切苦厄」
俺にも本来の意味は分からない。
「舎利子。色不異空。空不異色。色即是空。空即是色。受想行識。亦復如是」
ただあの歌を脳裏に浮かべながら。
「舎利子。是諸法空相。不生不滅。不垢不浄。不増不減」
あんま考え過ぎんな。
「是故空中。無色。無受想行識。無眼耳鼻舌身意。無色声香味触法。無眼界。乃至無意識界」
気楽に行こう。
「無無明。亦無無明尽。乃至無老死。亦無老死尽。無苦集滅道。無智亦無得。以無所得故」
辛い時は唱えりゃいいんだ。
「菩提薩埵。依般若波羅蜜多故。心無罣礙。無罣礙故。無有恐怖。遠離一切顛倒夢想。究竟涅槃」
ああ、もう分けわからん。
「三世諸仏。依般若波羅蜜多故。得阿耨多羅三藐三菩提」
アレ、なんか指が痛てえ。
「故知。般若波羅蜜多。是大神呪。是大明呪。是無上呪。是無等等呪。能除一切苦。真實不虚」
せっかくだから、木魚の代わりに指でも鳴らすか。
「故説。般若波羅蜜多呪。即説呪曰」
リズムに合わせて。
「揭諦揭諦。波羅揭諦。波羅僧揭諦。菩提薩婆訶」
あ、濡らさんと。
「般若心経」
なんかベタベタする。嫌な予感がしたので、薄目で手元を確認する。
汗でビッショリだな。
噛まれた牙の痕から、激痛は感じるけど血は出てないな。
なら、大丈夫だ。
強敵ではあるけど問題はない。
いや。敵も味方もないか。
指鳴らしの本質は成仏じゃなくて消滅だ。
魂への冒涜かもね。
生きてるあいだは問題ないけど、休ませず酷使するたびに死後が怖い。
そう俺の直感が言っている。
だから弾くのを止め、左手で床を叩く。
それは畳ではなく、カーペットの感触だった。
「観自在菩薩。行深般若波羅蜜多時。照見五蘊皆空。度一切苦厄」
指鳴らしは使わない
・・
・・
目覚めると、もう夜が明けていた。
「あっ 起きた」
目もとを押えながら、上半身を起す。
全員が憔悴しきっていたが。
「やったのか」
「消えちゃいないさ。去っただけだよ」
「そっか……あそこ、行きたくないなぁ」
「謝罪なんてそんなもんよ」
帰り支度を整える。
「それを乗り越えて、それでも謝罪に向かったからこそ、相手はその誠意に向き合ってくれるんだ。
めっちゃ強力な霊だった。だけどさ、やっぱ殺す気は感じられなかった。
まあ、俺の感知能力は自信ないんだけど。
「片づけは良いのか?」
そんくらいは自分たちでやると返された。
制服に着替え、玄関にて。
「本当にありがとうな。泉がいなきゃ、マジでどうなってたか」
「俺がいたから怒らせたって可能性もあるんだけどな」
「そんなのわかんないもん」
死者の心情とかを感じ取る能力も低いんだよね。
俺以外の全員が頭をさげてきた。現地へ行く前に、俺への謝罪ってか。
「もうパシリはやらん。悪かったな」
「すみませんでしたぁ」
「ごめん」
「ちゃんと純也にも返す」
おい、彼にも返してなかったんか。
「パシリは止めんよ」
予想外の返事に唖然とした四人を見渡し。
「だって君ら反省してるでしょ。そんで俺は恩人なわけだ、でもパシリを続けさせられてる」
俺なら嫌だね。
「うわぁ」
「あんた性格悪くない?」
「せめて席替えまでにしてくれよ」
「節約するか。いや、バイトするか」
振り返って玄関をあける。
「今日くらい休めば」
「そうしたいところだけど、学校は行っとく」
「話し相手いんのか?」
うるさい。君たちくらいしかいないよ。
「じゃあ気をつけてな」
小原家を後にした。
集落までついて来てとは言われなかったな。
・・
・・
本当は休もうか悩んだんだけどさ。ああ、学校行きたくねえ。
ふらふらしながら電車に揺られる。座ったら寝るから、座席空いてるけど立っておきます。
最寄り駅に突着すると、疎らに我が校の生徒が同じ電車からホームに降りる。
ここ最近やっとこさ自動改札が導入された出口から外に出れば、ニヤニヤ顔の生意気な後輩が寄ってきた。
妹には連絡できるけど、俺が携帯買ってもらったの高校入ってからでね。
「無事に解決しましたよ。まだ終わっちゃないけど」
「なんか凄い顔してますけど、髪も制服もヨレヨレじゃん」
上手いこと報告も出来たし、帰ろっかなと考えていると、ギュッと首を絞められた。
「なにをするんだ、お前は」
「ネクタイ締めたんですよ、ほらシャキッとしてください」
歩き出してしまった。
何度も駅に振り返りながら、とぼとぼとついて行く。
教室ついたら寝よう。今日なら寝た振りじゃなくて、ガチで寝れるな。
「いや、保健室にするか」
「早く!」
眠い。
ああそうだ。
「お前、スマホの番号教えてくれん?」
「え……へぇ?」
こちらに振りむこうとして、足をつまずかせた。
読んでくださり、ありがとうございました。あとがきで補足などを少々。
ちなみに作者は0能力です。妖怪退治の仕事してるけど、何か質問ある?とか好きで、いつかこういうジャンルに手を出したいと思っていまして。
動画の怖い話とかちょくちょく見てます。怖いの駄目なんですけどね、怖い物みたさで。
まず初めに。この作品の相手側として登場した霊は複数なんで、懲らしめてやる派もいれば、怪我くらいさせてやる、重症もしくは精神に深刻なダメージを与えてやるって派もいた可能性もありますね。
でももし謝罪拒否が中心の意見だったら、たぶんお供え物とか最初の段階でひっくり返されてたんじゃないかな。
主人公の指弾きや、両手を合わせた音鳴らしは濡らしてから行う必要があり、水→お酒→原因になった池だか沼の水→噛まれ痕からの出血の順で強くなっていきます。
これは成仏させるものじゃなくて、消滅させるものなので威嚇にしか使ってません。だから血が出ると水や酒とかで洗い流しながら弾いてます。
彼の対処は結界を張ったり、一時的に追い払うだけで、成仏させるのがないので最終的には神社やらお寺、本物の霊能力者に任せるしかないのかな。
理不尽と呼べない恨みは払えないし、祓っちゃいけないと作中で主人公が言ってますが、度が過ぎてれば流石にあれか。
直人君はけっこうな人数から恨まれてますが、後日談で謝罪に行くべきか相談されますが、主人公はやめとけと返しています。俺は反省したんだ、良い人になったんだと傲慢な解釈をされるのが落ちだからです。
それよりもう覚悟を決めて背負いながら生きてった方がいい、ってな感じで返答しました。
あと間宮さんの呪い関係の話ですが、彼女は強力な守護霊が控えてるので、呪いを相手に返せたみたいですね。ただ呪った側も少なからず霊力があったのなら、やばいことになったはずです。霊能力者が恨みを残したまま死ぬとやばいですからね。




