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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。

君を、殺したい

作者: ひょく
掲載日:2026/07/13

よければ、二周目してみてください。見方かわるかも

小さな教会だ。神官は俺含め、5人いや、4人だ。

今日も俺は盗み見てしまう。彼を。ロジアトを。


髪が垂れたときは左手で、左耳にかけ直す。

笑う時に目がくしゃっとなる。

笑うときは口に手を添える上品な笑い方。

よく笑う………


あの笑顔を独り占めしてしまいたかった。


ロジアトと一緒に喋っているやつ。名前を思い出す気になんてなれない。あいつといる時に、よく笑ってる。しかも、ロジアト。と呼び捨てまでしている。


胸の奥がムカムカして、何かを吐き出したいのに。吐き出せない。そんな不快感が波のようにやってくる。

だけど、二人の間に割って入る勇気なんてでなくて、横を通り過ぎて自分の部屋へと戻った。



倒れるように、布団に飛び込む。

それでもモヤモヤとした何かが離れてくれなくて、目から溢れ出した。


なんで自分だけを見てくれないのか。なんで、話しかける勇気が出ないのか。

あぁ。いっそ。ロジアトが今、ここに来てくれたらいいのに。


「ロジ……アト………」

声にならないような声がぼそっと口から溢れ出た。


その時だった。

コンコン

扉をノックする音が聞こえた。


はっとして、急いで瞳の涙を拭く。涙をもう片方の腕で拭きながら扉を開けた。


「どちら様で……」


そこにいたのはロジアトだった。

なわけないだろう。そんな、まさか夢だ。

扉を閉めた。


「ちょ、ちょっと。」


その声は正真正銘のロジアトの声だった。

反射的に扉を開ける。 


「あっ、ごめ」

謝るつもりが、声が出てこなかった。少しの間、呆気にとられる。

彼の細い指が俺の瞳の下に触れた。


「どうしたんですか。綺麗な瞳が腫れてるよ」


彼の言葉で我に返る。

「あっ、えっと……」


「言いたくないなら無理には聞かない。けど、いつでも言いに来てくれていいから」


「あ、ありがとう…ございます」


彼はニコッと笑って廊下の奥へ歩いていった。



外は太陽が高めの位置にあった。


もう、祈りの時間か……


教会の方へ向かう。

教会へ向かう途中、ロジアトを見つけた。町の子供達と楽しそうに遊んでいる。子供達もロジアトに懐いていて、楽しそうだ。


優しいな、とほっこりしながら、子供達と自分が入れ替わりたい。なんて思ってしまう。

子供にまで嫉妬とはな……


彼から視線を反らして、足早に教会へ向かった。



「おー。アージアントじゃん。お前もお祈りか?」

と、俺を呼ぶ声。周りを見渡す。


「後ろだ」

と言われて、振り返る。


「奇遇だな。ちょうど俺もお祈りに来た所だ」


「珍しいな。よく引きこもってるのに」


「おいおい、ただの引きこもりじゃねーよ。魔術式の研究をだな」


「そっか、そっかー」

と、棒読みで返した。


「だからなー。俺が研究してるのはただの魔術式じゃなくてな……」

と言いかけたところで俺はその場から、急いでお祈りのところまで逃げた。

こいつのこの話はいっつも長くなる。


「おっ、おい!アージアント!!」




教会の聖堂。膝をついて祈りのポーズをした。


なのに、ロジアトのことが頭から離れなくて。彼の笑顔ばかりが繰り返される。


あぁ。なんということでしょう。神様、私はここまで醜くなってしまったのか。

教えてください。私はどうすればいいのですか。

私は間違っていないのか……


お祈りを終えたところで帰路につく。


帰る途中、さっきの引きこもりがロジアトと会話しているのを目撃した。

木陰のなか二人だけで。

やっぱり、誰かに魔術式の話をしたくて部屋から出てきたのか。


ロジアトは嫌そうにせずに真剣に聞いている。


そのまま少し遠回りをしようとも思った。

けど、話しかけないと変われないじゃないか。そう思って少しロジアトに近づいた。


「でも、この魔術式は命を代償にしないといけなくて、そこが改良中なんですよー」


近づいたはいいものの、話しかけることができなくて、そのまま横を通り過ぎた。


「あっ、アージアントも聞いてけば……」


変な意地か?変なプライドなのか?立ち止まれなくて、そのまま部屋へ歩いていった。



まただ、自分が嫌になる。枕を殴りつけて鬱憤を晴らしながら頭の中で言う。


あいつの話を聞きたくないなんて、理由がカッコ悪すぎる。こんなの知られたら絶対に幻滅される。


枕に顔を埋めて、「ばーーーか!!」

と大声で自分を罵った。


一瞬で真顔に戻る。

次こそは……。

顔をパしんと叩く。一旦この部屋から出た。



ガチャ___


あっ

「ロジ、アト……」

扉の前にロジアトがいた。


「ごめんね。アージアント君。邪魔しちゃったかな?」


「い、いえそんなわけ。ない、です」


「そう?ならよかった」


「それで、なんの用で?」

おいおい待て待てアージアント。用を急ぐなんて、話したくないと言ってるようなもんじゃねぇか。

最悪だ。何やってんだおれ。


「もうそろそろお昼だからさ。呼びに来たんだ。一緒に行きませんか?」


“一緒”!!

内心とても嬉しい。死んでもいい。

だけど、喜んでるのを見破られたくなかった。


「別に、いいけど」と言ってしまった。

やらかした。何やってんだ俺。上から目線すぎるだろ。


「そう?よかった」

と言って俺の手を握ってくる。

俺の無愛想に愛想よく返してくれて、手まで……惚れますよ。もう惚れてるけど。



食堂まではとにかく緊張して何も覚えてない。


ルーダ。始めにロジアトと会話してた憎きやつだ。

そいつはもう席についていた。


やはり、魔術式オタクは来てない。今日もか。


「遅かったじゃん。先に食べてしまおうかと思ったよ。ロジアト……とアージアント」


「ごめんね。ルーダ。遅くなってしまいました」


ルーダの視線が真っ先にロジアトの方に向いたのを見逃さなかった。

言うなれば、彼は俺のライバルだ。絶対にこいつもロジアトを狙ってる。


敵対心が溢れてしまったのか、少し、ロジアトの前に出た。

ところで、またやらかしたと察した。

カバーするように前に出た足で、食事の席についた。



席はみんな決まってる。

幸運なことに俺はロジアトの真反対。つまり、自然に顔を拝める。

だが、ルーダはロジアトの隣。一番会話しやすいところだ。気に食わない。


今、話してる瞬間でさえ俺へのマウントのように見えた。


ふと、パンの置いてある皿に目をやった。下に何か紙が置かれている。


なぜか、二人には見られないように机の下で紙を見た。

『夕方、教会裏の森』とだけ書いてあった。


一瞬、喜んでしまった。

ロジアトの字のように見えたが、

違う。細かい癖が。


へえ、ロジアトのことをよく知ってるやつの宣誓布告ってわけか。いいじゃねえか。のってやる。



夕方、教会裏。今日の最後を名残り惜しく、蝉の声が響いていた。


ロジアトはさっき部屋の中にいたからここにはいないはず。あのオタクの可能性も否めないが……


「おい、いるんだろ。出てこい」


森の奥で少し葉が揺れる。

へえ、森の中。つまり誰かに見られたくないってことか。


森を掻き分けて、少し奥に入っていった。

少し進んだところで、開けた場所が現れた。

そこにフードを被った人物が一人。


「フードを外せ、隠す必要なんてないだろ」


フードからちらりと瞳が見える。

やっぱり。

目の前のやつがフードを外した。


「やっぱり、ルーダか」


「その様子だと何の件なのか分かってそうだな。

__簡潔に言う。もうロジアトに近づくな」


また、呼び捨て。しかも自分の所有物のように。

沸々と湧き上がる数々の感情を抑えて、とにかく冷静に答えた。


「何を言ってるんですか?さも、ロジアトを自分の所有物かのように。そんなあたなのほうが近づくべきではないと思います」


「お、お前が……ロジアトをストーキングしてるのは知ってるんだ。お前の方こそ危険人物じゃないのか?」 


「へえ、証拠もないのによくそんなことをつらつらと言えますね。妄想過多症ですか?」


突然、背後(教会側)から草の音が聞こえた。

咄嗟に振り返る。


……何もない。


「それこそお前のほうだろう。勝手に俺の行動を変なふうに解釈してるお前が妄想過多症だろう。

……おい、人の話は最後まで聞けよ」 


「もちろん、聞いて……


突然だった。


辺りの鳥の声、虫の音が全て無音になった。

ルーダも異変を感じたように辺りを見回す。



「おい、走れ!」


という声と同時にルーダが俺の所に駆け寄ってくる。

腕が引っ張られて、俺の後方へ連れられた。


バキバキッ!!


木の割れる音がすぐ後ろで響いた。

背筋に冷や汗が走る。


何かが来ている。

魔物なんてこの周辺にいるわけない。はずだ。


ドスッドスッという重い足音。

水が垂れ落ちる音。

粗い息遣い。

そのすべてがすぐ後ろにいるのは魔物だと物語る。


いつの間にか、ルーダは少し前を走っていた。

どれだけ足を回そうとも、ルーダに追いつけそうにない。


耳に響く音が少しづつ大きくなってくる。


嫌だ。嫌だ。嫌だ。 

死にたくない。

なんで、こいつは生き残って、

俺はしなないといけないんだ。

なんで、こんなやつに

ロジアトをとられなきゃならないんだ。


俺だって、死にたくない。



最後の全力を振り絞って、ルーダの腕を掴む。

力の限り腕を引いた。

ルーダの体はバランスを崩すように俺の背後へ倒れ込んだ。


「なんで………、なんでだよ!!アージアント。おい……!!待てよ、とまれ!!まって、まってくれ。行くな。やめろやめろ。離せ。嫌だ嫌だ嫌だ。離せよ!!

なんで……助けた、のに……」


後ろは振り返らなかった。魔物音が、何かが砕ける音が徐々に遠ざかっていく。

力の限り、死に物狂いで教会まで走った。



俺は悪くない。俺は悪くない。俺は悪くない。俺は悪くない。

ただの事故。そう、事故だ。だれも魔物が来るなんて知らなかったじゃないか。

だからあれはただの事故だ。俺は何も悪くないんだ。何も、何も……



「さっきからずいぶんと怖気づいてるよな。

ロジアト、行ってやったらどうだ?俺は騎士団に討伐要請でも出してくるよ」


「ありがとうございます。アージアント君は僕に任せてください」



コンコン。という、ノックが聞こえて、背筋がぴしゃっと伸びきる。

ガチャッという音と同時にロジアトが現れた。 


「白湯を持ってきたんです。とりあいず、飲んで落ち着きませんか?」


あっ、あっ………。

彼を見たことによる安心感か罪悪感か、優しさに感動したのか。涙が溢れてきた。


彼は何も言わずに俺の横に座る。


「アージアント君は何も悪くないですよ。何も。何も悪くないですよ」


情けない。きっとそう思われる。

けど、今はとにかく胸を借りたかった。



翌日、朝食。

珍しく魔術式オタク。エリオが食事の場に参加していた。


「アージアント……」


「はっ、はい」

声が上ずってしまった。


「えっと、その。騎士団呼んだから。あとはそいつらが片付けてくれる。今日は教会の仕事は俺達に任せてくれ。なっ、ロジアト」


「そうですね。アージアント君。落ち着くまで部屋でゆっくりしておいてください。仕事は本当に気にしないでいいので」


「あっ、ありがとう、ございます」

ホッとして胸を撫で下ろす。なんだ。ただの心配か……


だけど、朝食の間。ずっとエリオが俺を見てくる。

ぼろが出るまで見張ってるぞ__と言われているような視線。


とにかくその場から離れたくて早々に食事を切り上げ、逃げるように部屋へ向かった。


エリオとロジアトはまだ食べきってなかった。こっちまでは来ないはず。

大丈夫。大丈夫。

バレるわけがない。あの場に俺以外いなかった。


歩く速さが段々と早くなる。

一刻も早く部屋に戻りたかった。


自分の心臓の音しか聞こえない。

冷や汗が首をつたる。

自分の足音が段々大きくなる。 


この世界で自分だけ浮いているような感覚だった。

今の自分を見られてしまったら絶対に犯人だとバレる。

ルーダを殺した犯人だと。 



そんな時だった。


後ろから足音。

ポンッ

と肩に手が置かれる。


「ひっ」

反射的に振り向いた。


「あー。わりぃわりぃ。驚かせちゃったか」


エリオだ。

まさか、俺を怪しんで

いや、そんなわけない。目撃者はいなかったじゃないか。


「ちょっと、聞きたい事があってな。後で、落ち着いてからでいいから時間もらえるか?」


……もう。ほとんどバレている。

泳がせているのか。自白させようとしているのか。

ロジアトは……知っているのか。

知られてしまったら、俺はもう。生きていけない。


とにかくロジアトに知られる前に、こいつを殺さないといけない。

今すぐにでも


ハッとしたときには遅かった。

いつの間にか、自分の手がエリオの首に伸びていた。


「……どうした?アージアント」


「……生きてる、と思って」


意味のわからないことを呟いて、その場から部屋へ全力で走った。



部屋に戻ってすぐに片っ端から引き出しを開ける。


ナイフ、ナイフ、ナイフ___。

クローゼット、ベッド、机。


……あっ、、た。


机の引き出しの奥に白いナイフがあった。


震える手でナイフを握りしめる。


自分の手を抑えて、とにかく言い聞かせる。

大丈夫だ。普通に振る舞えば、ロジアトにはバレないはず。


早く、殺さないと……

そうだ。

今日の夜。今日の夜にしよう。

みんな寝たあとに。だったら気づかれないはず。


_____



部屋に入ったら、仲間のふりして近づいて、口塞いで……

これなら、バレないはず。


コンコン。

と扉をノックした。


「エリオ。朝に話たいことあるって言ってたよね?その話をしにきたんだけど」


ガチャッと、扉が開かれる。


心臓が跳ねた。

気づかれるかもしれない、緊張感に包まれる。

体が熱い。


笑顔を取り繕った。


「えっと、気分よさそうだね。寝てスッキリした感じ、かな?とりあえず中に入って」

そう言われて中に入る。


右ポケットにあるナイフにバレないように、左半身をエリオに向けながら入る。


まだだ。まだ、殺さない。近づいた所で、口を塞いで__


「それで、話なんだけど……ルーダの方が運動神経がよかったよね?なんで、アージアントは……えっと、その。逃げられた?のかなと思って」


盲点だった。そういうことか。


すぅーーっ。はぁぁーー。

大きく深呼吸。

少しずつ呼吸を浅くした。


「えっ、アージアント?」

エリオが少し俺に近づく。


「アージアント、だいじょう……、」


口を抑えて、腹をナイフで刺し貫いた。

ぐりっと刃をひねる。


ガッ……ごっ、ゴォっ。


口から溢れるように赤い血液が流れた。


「な……ん、で、……アージ、ぁ……」


エリオが前に倒れてくる。


上手くいった。

なんだ、思ったより簡単じゃないか。



ドンッ!!


思い切り押され後ろによろける。


「えっ」

冷や汗が流れた。


それと同時に、エリオが立ち上がった。

口からは見たこともないほど血が溢れて、腹部付近は、赤い服に染まれ上がっている。


こんなんじゃ。死ぬのも時間の問題だ。

内心ホッとする。


「おま……え、もしかして、アスも……」


「アス……?」


「お、おぼえてねぇのか!!お前のことが……すき、だっ、た」ゴホッゴホッ。


「あー。数年前に魔物に殺されたやつか」


「おま、おまえ!アスのこ、とを覚えてねぇの、、か!!」

血を吐きながら、エリオが掴みかかってきた。


来ると同時に、咄嗟にもう一度腹を刺した。


エリオの体が、力を失うように俺の肩に倒れ込む。

それきり動かなかった。


「あれは、ほんとに俺じゃない。あん時は、一緒に掃除してたじゃんか……もう、聞こえないか」


達成感のようなものと無力感のようなものが同時に襲い来る。


血がベトっとした感覚。

まだ温かい。


本当にやってしまった。

エリオを。俺の手で。


はは、ははは。


後悔するつもりなんて、なかったのに。走馬灯のように思い出が頭を流れる。


俺はやってしまったんだ。

無実の人を。

神様。なんで、止めてくれなかったんですか。


俺の手は、汚れてしまった。これじゃぁ、もう。

ロジアトの隣には立てないじゃないか。

 

なら、もういっそのこと。

ロジアトにこっちまで堕ちてもらえれば


思いついたように立ち上がり、部屋から飛び出た。



ロジアトの部屋に入ろうとする。


……人の気配がない。

バンッと思い切りドアを開けた。


いない。ロジアトが。


ナイフを片手に強く握りしめて、教会中を駆け巡った。

食堂、廊下、中庭__

どこにもいない。


最後に聖堂の重い扉を開けた。


奥には、祈りのポーズをしたロジアトの背中が見えた。


なんだ、まだバレていないのか。

聖堂の出口はここだけ。逃げ道はない。

自然と口角が上がった。


ふいに、ロジアトがこちらを振り返る。

「アージアント君じゃないで……」


ロジアトの口が少しずつ開かれる。

驚いたように口元に手が置かれた。


返り血のせいでもうバレたんだろう。

聖堂のドアを閉めて、歩いてロジアトの方へ向かった。


「ねぇ、ロジアト。俺さ。ずっとロジアトのことが好きだったんだ。」

ゆっくり歩きながら近づく。


「だけど、もう俺は汚れてしまったんだ。ルーダもエリオも俺がやってしまったんだ。

ロジアト、俺の所まで堕ちてくれない?

この世ではもう結ばれない。でも来世なら。もう一度、きっと君を見つけるよ。約束する」


ロジアトは俺を待ってくれてるかのように一歩も動かないでいてくれた。


「大丈夫。苦しめないよ」

一歩、一歩。大切にしながらゆっくり近づく。


気分は、結婚式で歩いている新郎だった。


ロジアトの前に立つ。

ナイフをロジアトの首に添えた。


「ねぇ、笑って。最後にロジアトの笑顔が見たいんだ」


ロジアトの口角が上がった。

と、同時にナイフを持つ腕を振り払われて、強く抱きつかれた。


「ありがとう。俺の所まで堕ちて来てくれて」


腹部が、熱い。

手で触ったら何かで濡れていた。


「ロ……ジア、ト……?」


「知ってたよ。全部。ずっと君を見てたから」


足元が淡い光で照らされる。

……魔法陣、?


「あー。これはね、口約束じゃない。魂でつながる魔術式だよ。

これで、来世もずっと一緒にいられる」


足から力が抜けて、その場に崩れ落ちる。

ロジアトもつられるように座り込んだ。


ロジアトの背中から、俺の腹部に向かって刃が貫かれていた。


はは……ははは………ははは。

「そっか……来世も一緒か」


今となればこの痛みさえ、愛おしい。


「ロジアト、愛してるよ」


「俺も」


ロジアトに顔を近づける。

彼の顔をこんな間近で見たのは最初で最後だった。

騎士団の団員の書記。


到着したときには、既に手遅れだった。

この小さな教会の神官は、全員が亡くなっていた。

魔物は無事討伐成功。町の平和は守られた。

ただ一つ、気がかりなことがある。聖堂で発見された、二人の神官、ロジアトとアージアント。

二人は、まるで幸せそうに微笑み合いながら、一本の刃に互いを貫かれていた。




【作者からの後書き】

重い話なのに、ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。

よければ、なんですけど感想とかの反応を貰えると、凄く喜びます。

面白かったと思ったらぜひ、反応していただけると嬉しいです。

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