表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/4

1

 気が付くと、俺は暗い洞窟の天井を見つめていた。


 あれ? 洞窟? さっき女神と話していたところと同じか……?

 辺りを見渡そうとしたが、身体が動かない。は? あれ? 一体どうなって……


 と、困惑する中、俺の視界に緑色をした人間のような頭が入ってきた。これ……ゴブリンか!? 間違いない、この緑色で小汚ない顔と尖った耳と鼻。ゴブリンだ。

 どういうことだ!? そこで俺は思い付く。そういえば、俺は転生したんだった。つまり、俺は赤ちゃんなわけで……


 ま、まさか!? 俺はゴブリンの子供になった!? 嘘だろ!? 最高の転生先だとか言ってたのに……あの駄女神~!


「赤ん坊がゴブリンに襲われているぞ!」


 だがそこに、男の怒声が聞こえてきた。それと同時に、炎の玉が飛んできて、ゴブリンを吹き飛ばしてしまった。


 なにがなにやらわからぬまま、動けない俺は、ふわりと宙に浮いた。抱き上げられたのだと気が付いた。

 俺の顔を安生したような表情で覗き込んできたのはメガネの男。優しそうな風貌をしている。


「よかった……無事だ」


「なんでこんなところに赤ん坊が?」


「わからない。ひょっとすると、ゴブリンが浚ってきたのかもしれない」


「親御さんが心配しているかもしれない……今回のダンジョン攻略はここまでにして、一旦地上に連れて帰ろう」


「そうするか」


 メガネの男は、仲間たちと話し合って俺を連れて帰ることにしたらしい。よかった。ゴブリンに育てられずに済む。

 ともかくこれで無事(?)に俺の転生生活が始まりそうだ。





 世界各地にダンジョンが現れて15年。世界は変わった。突然現れたダンジョンは混乱をもたらしたが、同時に人類にとって益のあるものでもあった。ダンジョンから強力な武器防具や、便利な道具が発見されたからだ。

 それを求め、世界に広め、この世はちょっぴり便利になった。


 そう、あれから15年。俺は赤子に転生し、ダンジョンでとあるメガネの男に拾われた。俺はそのまま男の家族――一条家の子供として生活していた。

 両親は優しく、身寄りのなかった俺を実の子供のように育ててくれた。素晴らしい人たちだ。


 そんな今の俺の名前は一条勇。前世では冴えない容姿だった俺だが、今はイケメンに生まれ変わった。ありがとう、女神。駄女神とか言ってごめん。


 とにかく、素晴らしい両親に、素晴らしい体。理想とも言える環境で、俺は心機一転やり直し人生を楽しんでいた。中学では運動会で活躍したり、勉強だってめちゃくちゃできた。

 まあ義務教育の範囲なんだから、できてなきゃおかしいが。


 俺も今日から高校生になる。やっぱり青春と言えば高校時代だ! ようやくこの時が来たかと、俺は内心ウッキウキだったのだ。


 現在俺は、始業式の真っ最中。先生や来賓の話を聞き流しつつ、俺はこれからの生活に思いを馳せていた。


 これから俺が通う学校は普通の高校ではない。日本のダンジョン攻略機関……通称ギルドが設立した、冒険者育成学校だ。名前は東京冒険者高等学校。通称トウボウだ。


 これは、ダンジョン攻略をする冒険者の卵を育てる高等機関となる。

 つまり、ダンジョンの深い知識のアレコレを学びつつ、実践も交え、ダンジョンを攻略する冒険者になるための力を着けていく学校なのだ。


 俺は昔から、こういう世界に憧れていた。ネット小説や漫画で見た、ダンジョンがあってモンスターのいる世界。そんな世界で活躍する夢。退屈な日常なんてない、刺激とスリルに溢れた世界だ。

 当然俺は、冒険者になる道を選んだ。


 春から始まる学校生活を想像していると、始業式が終わっていた。さすがに東京の冒険者学校なだけあって、国のお偉いさんとか有名な冒険者とか来ていた。まあ何言ってたかほとんど覚えてないが。


 式が終わったので、あとは家まで帰るだけだ。家と言っても実家ではなく、借りたマンションだ。実家は神奈川にある。

 マンションの一室を借りての独り暮らし……とはいかなかった。


「ゆうくんおつかれ! 帰ろっか!」


 その原因が来た。俺と同じく真新しい制服に身を包む、ボブカットの美少女。俺の妹、一条綾乃だ。もちろん義理である。15年間同じ屋根の下で暮らしてきたので、もう本当の兄妹同然で仲も羨ましがられるほどいい。

 こいつも俺と同じ学校に通うことになったのだが、部屋はひとつしか借りなかった。つまり、二人暮らしということだ。


 俺は独り暮らしを満喫したかったのだが……まあ父と母がこいつの面倒を見てくれと言うもんだからしょうがない。


 俺たちは、二人で新居へと向かうことにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ