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プロローグ2

 完全に見覚えのない洞窟。今まで居た社長室の鉄の壁とはまるで違う石の壁。ここは一体……?


「う、うわあああ! ば、ばけもの!?」


 社長の悲鳴が聞こえたので、そちらに目を向けると、


「よくぞここまでたどり着いた……矮小なるものよ。この魔王サタンが最後の試練をくれてやろう」


 巨大な人型の生物が立っていた。その外見は……ファンタジーとかでよく見る魔物そのままだった。しかもその魔物はサタンと名乗っている。

 それは……ゲームや漫画を愛する者なら一度は聞いたことのある名前。魔王の名前だ!


「こ、こっちに来るな!」


 社長はサタンから逃げようとしているみたいだが、腰が抜けていて立てていない。そのままあっけなく、社長はサタンに殺された。


 スッキリした……なんて言っている場合ではない。このままでは俺もサタンに殺されてしまう。どうする……!? こういう時、主人公ならどうすればいい!?


 サタンの攻撃が迫る。俺は咄嗟に、手を前に突き出した。すると、サタンは何かに弾かれたように吹っ飛ばされた。


「な、なんだ……!?」


 俺の手が黒いモヤモヤに包まれている。これは一体……


「貴様……! 人間のくせになんなのだ、その力は!」


「……さあな。敵に教えてやる義理があるのか?」


 なんて言ってはみたが、俺自身にもよくわかっていない。だがこの力は、俺の強い意志によって操れそうだ。

 凄まじい力を感じる。これならば……やれる!


 サタンが無駄にデカい翼を拡げ、飛び掛かって来た。その手には、燃え盛る黒い炎。


「インフェルノ・ブラスト!」


 その炎が、俺に向かって放たれた。俺はそれに対抗するように、手を突き出す。そして念じる。

 黒き力よ……俺の力ならば、その使命を果たせ!


 再び黒いモヤモヤは竜となる。そしてサタンの攻撃とぶつかる。両者は拮抗していたが、やがて俺の竜がサタンの炎を喰らい尽くした。


「バカな!? 我が獄炎が喰われ……い、いや……これは……喰らったモノを力としているのか!?」


 どうやら竜は大食いの質のようだ。腹を空かしていて、なんでも食べる。それが敵の攻撃であっても。

 そして喰らえばそれは、竜の力になる。竜は、サタンの炎を纏い、さらに強大になっていた。


「く……! ならばこれはどうだ!! 地獄の獄氷! コキュートス・ブレイク!!」


 今度は巨大な氷だ。部屋いっぱいの氷は、竜の大きさを遥かに越えていた。その大質量が、迫り来る。

 巨大な敵だが……俺ならばできる!


 竜が氷に喰らい付く。竜は自分よりも巨大な相手に果敢に挑み、そして喰らい尽くしていった。


「そんな……バカな……バカなァァァ!!」


 必殺技の再びの敗北。サタンはもはや、絶望の表情で打ちひしがれている。


 俺は再びサタンに両手を突き出した。黒いモヤモヤは竜の形を取り、サタンに向かっていく。そしてサタンをも喰らい付いた。


「ぐおおおおおお!!」


 そのまま竜はサタンを喰い殺してしまった。凄まじい力だ。こんな力が……俺の中に……?

 俺は年甲斐もなく、ワクワクしてしまった。


 サタンを倒した竜は、俺を見詰めている。すっと顔を近付けてきた。近くで見ると怖いな。てか戻らないのか? いや、どこから出てきたのかわからないんだが。


「怪我はないか、我が主」


 し、しゃべった!? 竜がしゃべったぞ。自我があるのか、こいつ。

 それに我が主って……やっぱりこれは、俺の力なのか?


「この姿のままだと話にくいか」


 竜はそう呟くと、その姿を変えた。細長く巨大だった体は、みるみる俺より小さくなり、人の形になっていった。


「これならどうだ。我本来の姿なのだが」


 そして、不敵に笑う美少女の姿になっていた。


 少女は、この世のものとは思えないほど美しかった。白い肌に燃えるような赤い髪のアクセント。瞳も情熱の赤だ。あの真っ黒な竜が変身したとは思えない。


「お前……何者なんだ?」


「ん? 言っただろう? 我はご主人の力を具現化した存在だ。ご主人の手となり、足となり、ご主人の敵を屠ろう」


 これが……俺の力?

 なにがなんやらわからなかったが、どうやらこれは俺の真の力。秘められた俺の実力らしい。


「そうだ。お前名前は?」


「ないぞ。好きに呼ぶといい。どんな名前でも、ご主人の付けた名前ならば、嬉しいぞ」


 ポッと顔を赤くするな。可愛いけど。


 名前か……本来の姿とか言ってたし、可愛い名前を付けてやるか。


「ドラコ」


 ……で、考えついた名前がこれだ……。俺にネーミングセンスはないらしい。


「ドラコ……ドラコか。あいわかった。これから我の名はドラコだ」


 だがドラコは嬉しそうにしてくれていた。


 さて、一段落ついたところで、今のこの状況を整理すべきか。


「なあドラコ。ここはどこで、一体何が起こったのか知ってるか?」


「我もよくわからぬな。突然ご主人から自我が与えられ、目の前に敵がいたのだ。ご主人を守るために必死だったからな」


「そうか」


 やはりわからないか。あのサタンの言い方からすると、ここは魔王城かダンジョンの最奥ってところか?

 パッと見魔王城には見えないがな。魔王城が洞窟なんてゲームや小説、見たことがない。


 物思いにふけっていると、奥にあった巨大な扉が開いた。光が差し込んでいる。進めというわけか。

 俺は躊躇いなく扉をくぐった。

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