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第30話 彼の優しさ

 お昼には、みんなで海から上がり、れいんどろっぷすに帰った。お客さんがいたので、玄関から入り、ひまわりと杏樹ちゃんと私の3人で、バスルームに行った。

 聖君と聖君のお父さんは、海岸にあった水道で、体をバシャバシャ洗ってて、二人して、

「つめて~~!つめて~~!」

とさわいでいた。そんな姿も可愛い…なんて思ってしまった。


 3人でバスルームに入っても、ちょうどいいくらい、バスルームは広かった。たまに聖君のお母さんとお父さんは一緒に入ってるらしい。杏樹ちゃんが教えてくれた。私とひまわりが驚くと、

「おばあちゃんとおじいちゃんも、一緒に入ってたよ。だから、うちのお風呂場って広くできてるんだって」

と、杏樹ちゃんが淡々と話してくれた。


 そうか。榎本家では不思議なことじゃないんだ。そうか。代々受け継がれてる習慣なんだ。じゃ、もしかして私と聖君も…。なんて思ってから、私の体を見たら、駄目だ~~。この貧相な体じゃ~~!と落ち込んでしまった。


 聖君のお母さんはスタイルもいいし、美人だ。杏樹ちゃんだって、背が高く、すらっとしてる。そうだ。今日もれいんどろっぷすで、お手伝いをしてる桜さんだって…。ちらりとさっき、窓から見えたけど、今日も桜さんは奇麗だったな~。


 バスルームを出ると、

「ご飯、食べようよ」

と聖君が、私とひまわりを呼んで、お店のカウンターに座った。

 お店は家の廊下から行けるようになっている。キッチンはお店の中に大きいのが一つ。榎本家にはダイニングがない。ほとんど、お店のカウンターでご飯を食べているようだ。ただ、夕飯はリビングでみんなで、くつろぎながら食べているらしい。


「夜は、リビングでのんびり食べようね」

と、聖君は、キッチンから次々に、私たちのランチを運びながら、そう言った。

「手伝うよ」

と言ったが、聖君が、いいから座っててと言うので、私もひまわりもカウンターの椅子に座ったままでいた。


「運ぶわよ、聖君」

と、桜さんも言ったが、

「いいよ。お客さんいるし。杏樹手伝って!」

と、聖君は杏樹ちゃんに、手伝わせていた。

 杏樹ちゃんは、手馴れた手つきで、トレイにお皿を乗せ、どんどん運び出した。きっと、杏樹ちゃんも、普段から手伝っているんだろうな~。


「それじゃあ、いただきます」

 カウンターに杏樹ちゃん、ひまわり、私、聖君の順で座って、ご飯を食べだした。カウンターには4個しか席がなく、聖君のお父さんは、リビングに自分でお皿や、カップを運んでいた。

 お昼は、れいんどろっぷす特製ソースがかかった、カニクリームコロッケ。中があつあつで、柔らかくって、めちゃくちゃ美味しかった。


「聖君のお母さん、天才」

と私が言うと、

「うん、めちゃ旨いでしょ?」

と、聖君は目を細めて、美味しいって顔をしながらそう言った。

 ああ、こんなご飯を毎日食べられるなんて、聖君、幸せ者。それに、私頑張らないと、こんな美味しいもの作れないよ。


 みんなお腹も空いていたので、黙ったままあっという間に食べてしまった。それから、ひまわりは、杏樹ちゃんに、

「私の部屋に来ない?」

と誘われ、2階にあがっていった。

 聖君は、食後のコーヒーを飲みながら、ぼけっとしていた。多分、ご飯の余韻や、コーヒーの美味しさを今、味わっているんだろうな。


「聖君、今日塾は?」

「ないよ。しばらくお盆休み」

「そうなんだ」

「うん」

 ああ、そうか。世の中は今、お盆休みか。だから、海も今日、ものすごく混んでいたのかな。

「お店はお盆、休まないの?」

「ああ、うん。だって、先週みんなで伊豆行っちゃって、休んでたからさ」

「あ、そうか」

「お盆に伊豆行くと、めちゃ混むし、大変なんだ。だから、毎年、それを避けて行ってるよ」

「そうか~」


「桃子ちゃんのお父さんは、お盆休みってないの?」

「ないよ。連休取れることなんて、ほとんどないし」

「へえ、そうなんだ。夜も遅いよね?大変だね」

「うん。だから、家族で旅行もできないんだよね」

「そっか~~」

「いいな、聖君ちは、みんなで伊豆に行けて」

「来年は行こうよ。なんなら、ひまわりちゃんも一緒に」

「え?」

「杏樹が喜ぶよ」

「そうだね」

 なんだか、とことん妹思いなんだなって思って、また、羨ましくなった。


 カウンターでのんびりしていると、いつの間にかお店がすいて、お客さんが一人もいなくなっていた。

「さあ、今のうちに桜さん、ご飯食べて」

と、聖君のお母さんがカウンターに、桜さんの分のお昼を持ってきた。

「あ、母さんも食べるよね。ここもう、どくね」

と、聖君がコーヒーカップや食器を持って、キッチンに向かった。私も慌てて、空になったお皿や、カップを持ち、聖君のあとを追った。


 キッチンに行き、

「ごちそうさまでした。すごく美味しかったです」

と、聖君のお母さんに言うと、

「ありがとう。そうだ!桃子ちゃん、ちょっと来て!」

と、聖君のお母さんは私の手をひっぱって、リビングにあがっていった。

 な、なんだろう?


 そして、リビングのソファーの上にあった袋を開け、その中から、黄色とピンクのパジャマを取り出した。

「黄色のひまわりの模様が、ひまわりちゃんので、ピンクの水玉模様が、桃子ちゃんのなの」

「え?!もしかして、手作りですか?」

「慌てて作ったから、ちょっと縫い目が雑になっちゃった。ごめんね」

「いえ、そんな!!」

 すごい!聖君のお母さんが作ったパジャマ!


「ひまわりちゃんは、杏樹と背格好似てるって聖が言ってたから、杏樹の寸法で作ったの。桃子ちゃんは、それをちょこっと小さくしてある」

「うわ~~。すご~~い。ひまわりも喜びます。ありがとうございます」

 私は胸がいっぱいになっていた。

「喜んでもらえて、嬉しいわ。聖なんて、ちょっと母さん、やりすぎじゃない?ってかなり気をもんでいたから」

「そんな。すごく嬉しいです。感激です」

 私は本当に、うるうるしてしまった。聖君の言ってた、お母さんが張り切ってるって、このことだったのかな。


 聖君は、まだ、お店にいるようだった。時々、桜さんとの笑い声が聞こえてきた。

「じゃあ、お昼食べてきちゃうわね。桃子ちゃん、ゆっくりしててね。あ、テレビつけて観ててもいいから」

と、言われ、私はリビングのソファーに腰掛け、テレビをつけた。

 聖君のお父さんは、すでにご飯を食べ終わり、自分の部屋に行ったようだった。そういえば、さっきまで、お父さんのあとをしっぽを振って、クロがついてまわっていたが、部屋にも一緒にあがっていったのかな。


 リビングはいい感じにエアコンが効いてて、そのうえ、お腹もいっぱいだったし、テレビの音がまるで、子守歌のように聞こえてきて、私はソファーで、うとうとし始めてしまった。

 ああ、海で泳ぐと、いい感じに疲れるよね。なんだか、フワフワいい気持ちだ…。なんて思いながら。


 そして、その次に気がついた時には、目の前に聖君がいた。

「あれ?」

 私はしばらく、ぼ~~ってしていた。夢でも見てるのかな。なんで、私の部屋に聖君がいるんだろうか。

 周りを見回すと、どう見ても私の部屋じゃない。

「あ!」

 聖君の家だった!

 そこで、やっとこ私の目が、しっかりと覚めた。


「わ、私、寝てた!!!」

 そう言うと、聖君は、

「うん、獏睡してた」

と、にっこりと笑って言った。

「……、お、起こしてくれても」

「だって、よく寝てるから悪いかなって。それに寝顔、超可愛かったし」

 嘘だ~~。もしかすると、よだれ垂れたり、ひどい顔で寝てたんじゃないかな。私はちょっと、口の辺りを触ったりして、確認した。


 聖君をちらりと見ると、まだ、私を見ていた。目はすごく優しかった。でも、

「ごめんね、寝ちゃって。こんなところで寝てて呆れなかった?」

と聞いてみた。

「疲れてたんでしょ?朝早かったし、海ってけっこう疲れるよね」

「うん」

 聖君は、すごく優しい笑顔でそう言ってくれるから、安心した。

「どんな夢見てた?」

「え?」

「夢」


 はて…。どんなだったっけ?

 なんだか、薄ぼんやりと覚えている。確か、海にいた。私は浮き輪もつけず、すいすいと聖君と泳いでいた。それがすごく気持ちよかった。それで、途中で大きな波が来て、

「きゃ!」

 なんて言って、聖君の背中に抱きついた。杏樹ちゃんのように。聖君の背中は広くて、たくましくて、めちゃ嬉しくて…。なんて、すっごく幸せな夢…だったな~~。そういえば。


「寝ながらにやけてた」

「え?!」

「それに、俺の名前呼んでた」

と、聖君は少し、上目遣いで私を見ながら言ってきた。

「嘘、またそうやってからかって」

「嘘じゃないよ。きゃ!聖君、助けて!ってすごく嬉しそうに」

 わ~~~~~。そ、それはもしや、波が来て抱きついた時の台詞。


「何の夢だったの?もしかして、肝試しとかしてた?」

「肝試し?お化け屋敷とか?」

「そうそう」

「ううん。だったら、もっとぎゃ~ぎゃ~騒ぐもん」

「あはは、そうなの?もしかしてお化け屋敷苦手?」

「だいっきらい」

「良かった。俺も嫌い。俺もきっと、ぎゃ~ぎゃ~叫ぶと思う」 

 そうか。なんだか、また一つ聖君の可愛いところを知ったな。


「で、何の夢?」

「海で一緒に泳いでた。そうしたら、大きな波が来たの」

「ああ、それで、助けてって?俺、ちゃんと助けてた?」

「私が聖君の背中に、抱きついてた」

「杏樹みたいに?」

「うん、そう」

「あはは。よっぽど桃子ちゃん、羨ましかったの?あの時の杏樹」

「かもしれない」


「くす…。いいよ、抱きついても、なんなら今でも」

「え?!」

 聖君はそう言うと、両手を広げて、どうぞって顔をした。私が真っ赤になっていると、

「でも、俺の方からも思い切り抱きついて、それで桃子ちゃんが、嫌だって言っても、俺、止めれるかどうかは、自信ない」

と、そんなことを言った。


「ええ?」

 私が、思い切りその場で固まってると、聖君は声を出して笑って、

「嘘、冗談だって」

と言って、テレビの方を向いて座りなおし、テレビをつけた。

 ああ、もう、どうしてこうやって、時々聖君はからかってくるんだろう。その度に、心臓がドキンって、飛び出しそうになるのに。


「あ、そのパジャマ、母さんが作ったやつ」

 聖君が、ソファーにおいてあったパジャマを見つけて、そう言った。

「うん、ひまわりとおそろい」

「ごめんね。ほんと母さん、張り切りすぎだよね。今日だけは、それ、着てあげてくれる?」

「ええ?今日だけなんて!私、ものすごく嬉しかったよ」

「まじで?」

「うん、ひまわりもすごく喜ぶよ。うちのお母さん、こういうのしてくれたことないもん」

「そっか。良かった」

 聖君は、目を細めてそう言うと、

「ピンクの水玉、桃子ちゃんに似合いそうだね」

と、嬉しそうに笑った。


「え?」

「実は俺のは、ブルーの水玉で、おそろいなんだ」

「嘘!おそろい?!」

「うん。嘘…」

 ……!!!!もう~~~~、またからかってきた。もう~~~!

 私は、言葉にもならず、声も出さずに、聖君の腕をぺちってたたいた。

「いて!」

と聖君は、わざと痛がって、それから、あははって笑った。


 それから聖君は、テレビ何もやってないからって、DVDをつけた。昨日借りてきたらしい、SFものだった。SFといっても、怖いものではなく、どちらかというと、ファンタジーもの。ラブロマンスもあって、じ~~んってきたりもする映画だった。

 途中で、桜さんがれいんどろっぷす特製のプリンというのを持ってきてくれた。

「あ、サンキュー!」

と、聖君はトレイを受け取ると、二つテーブルに置き、もう二つは2階の二人に持っていってあげてた。


「あ、この映画、私も観たことある」

と、桜さんがそう言った。

「そうなんですか?」

「うん。最後はこれ、あ、言わない方がいいわね」

と、桜さんは口を押さえ、ちょっと黙ってから、

「これ、聖君が選んだの?」

と聞いてきた。

「はい」

「ふうん。やっぱり私と聖君って、趣味合うんだよね~~。な~~んだ、一緒にロードショーやってた時、観に行きたかったな」


 そう言うと桜さんは、お店に戻っていった。

 今の、なにか、含んだものの言い方だったな。私の方が、聖君と気が合うわよ、とか。そんな感じにも聞こえた。それに彼女がいる前で、一緒に映画観に行きたかったなんて、言うかな。それとも、私が気にしすぎ?

 なんだか、もんもんとしてしまい、プリンも食べずに、うつむいていると、

「あれ?まだ食べてなかったの?」

と、2階から下りてきた聖君がそう聞いてきた。


「あ、うん。今食べる」

 私は一口、プリンを食べた。すごくクリーミーで、美味しかった。

「美味しい!」

と叫ぶと、

「でしょ?ひまわりちゃんも、まったく同じリアクションしてたよ。さすが、姉妹だね」

と笑った。


 でも、私はまた、桜さんの言葉を思い出し、もんもんとした。

「どうしたの?もっと嬉しそうに食べるかと思ったのに」

「ご、ごめん。考え事してた」

「何?かなり深刻?」

「ううん、そんなわけじゃ、ただ…」

「うん」

「これ、きっとやきもちだから」

「へ?」


 聖君にはまったくなんのことだか、わからないよね。きょとんとした顔で、聖君はプリンを食べたスプーンをなめていた。ああ、そんな顔まで、可愛い。

「やきもち?誰に?」

「桜さん」

「桜さん?え?なんで?」

「今、この映画を観て、聖君がこのDVDを選んだって言ったら、自分と趣味が合うって」

「ああ、そう。そうかも、けっこう気は合うかも」 

 うわ、そんなこと言うんだ。聖君も。


「それで、ロードショーも一緒に行きたかったなって言ってた」

「ふうん。でも、かなり前にやってた映画だし、そりゃ無理な話だよね。あれ?で、なんでやきもち?」

「違うの。私がきっと、性格悪いの」

「え?桃子ちゃんが性格悪いの?どこが、どんなふうに?」

 聖君の目が輝いた。どっからどう見ても、楽しんでいる。


「だって、その…」

 ああ。またからかわれるかな。ちょっと言うのを躊躇してると、

「大丈夫。性格悪くても、俺好きだから」

と、聖君はにっこりと笑った。ああ、そんなこと言われたら、言わずにはいられないじゃない。

「趣味が合うって言われて、私よりも桜さんの方が聖君とは気が合うのよって、言われてるみたいに聞こえたの」

「ふんふん」

 聖君は、うなづいた。目はちょっと楽しげだった。


「それに、彼女の前で、聖君と映画観に行きたかったなんて、普通言うかなって思っちゃって。今、もんもんとしてた」

「え?まじで?」

「え?」

 聖君が、驚いたから、こっちがびっくりした。

「へ~~~!桃子ちゃん、俺の彼女だって、自覚出てきたね」

「え?」


「だって、彼女の前で、そんなこと言うかなって、今」

「あ…。うん」

「そうか~~。やっとこ、そんなふうに思えるようになったか~~」

と言いながら、なぜか、聖君は私の頭をなでた。

「な、なんでなでてるの?」

と聞くと、

「だって、自覚できたから、いい子いい子って」

 どうして、そうなるかな。

「今、私性格悪いなって、自分で思ってたところなのに?」


「え?それって性格悪いの?普通じゃないの?そんなふうに思うのは。俺も桃子ちゃんの立場だったら、かなり頭に来るかも」

「ほんと?」

「うん。あ、そっか。俺も性格悪いのか」

 そう言うと、聖君はあははって笑った。

「まあ、桜さんも悪気があったわけじゃ…。う~~ん、桜さんの場合は、もしかすると、本当にそう思って言ってたりもするかもしれないけど」

「え?」


「ほら、彼女がいるって言ってるのに、付き合ってとか平気で言う人だから」

「……」

 う~~ん、ますます、もんもんとしてきた。

「自信があるんだね」

「え?」

「桜さん、奇麗だもの」

「でもさ、桃子ちゃんも、私が聖君の彼女なのよって、どうどうとしてたらいいんだよ」

「は?」

「だって、そうじゃん。桜さんの言うことなんてほっといてもいいからさ」

「……」

 そういうもの?


「あ、そんな話をしてる間に、映画終わってた。やばい。ちょっとさっきのところまで、巻き戻そうね」

「うん」

「それに、プリンも食べかけだよ」

「あ、うん」

 プリンを食べながら、映画の続きを見た。ラストは、号泣するくらいの結末で、ボロボロに涙を流して見ていると、

「はい」

と、ティッシュを渡された。


「ありがと」

と言いながら、涙をふいたり、鼻をかむと、くすって聖君は笑った。

「あ、呆れてる?もしかして」

と聞くと、

「ううん。可愛いなって思ってさ。母さんも泣き上戸だよ。この映画昨日の夜中に観て、号泣してたらしい。父さんが言ってた。ティッシュの箱を抱えて泣いてたらしいよ」

「え?聖君のお母さんが?」

「うん、昔から泣き虫。あ、でも、父さんに会ってからかな」


「え?」

「母さん、それまで、ずっと泣くのを我慢して生きてきたらしいから」

「そうなの?」

「くす」

 あ、また聖君は笑った。

「桃子ちゃんは、素直に、泣きたかったら泣いていいからね。俺、その泣き顔も好きだから」

 聖君の言葉に、今度は照れて真っ赤になると、

「あはは!忙しいね、泣いたり、照れたり」

と笑われてしまった。


 なんだか、今日の聖君は、さらに優しさを増したような気がする。なんていうのかな。前から優しかったけど、大きな心で全部を受け取ってくれてる、そんな感じだ。目も笑い声も、笑い方も、話しかたも、話す内容も、すべてが、私を包みこんでくれてる。そんな気がして、私は思い切り、安心した。

 そうか、そうだよね。うん。桜さんが何て言おうとも、もんもんする必要はないね。だって、聖君はこんなにも優しい。

 聖君が私を見ている、優しい瞳に、とけそうになりながら、私はその優しさに酔いしれていた。



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