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第123話 ずっと一緒

 水曜日が来た。母は午前中にエステのお客さんが来ていたが、さっさと終わるとお客を帰し、夕飯の準備をするために、買い物に出かけた。

 手伝うことができたらいいけど、なにしろ、食べ物の匂いが駄目なので、キッチンに近づくことも、私にはできない。


 でも、なんとなく気分が良かったので、私は家の近くの公園に散歩に出た。

 太陽が、ぎらぎらと輝いていて、蝉がここぞとばかりに鳴いている。もう梅雨が完全にあけたんだな~。

 聖君は夏が好きみたいだけど、今年は泳ぎに行ったのかな。あ、そうか。伊豆で潜って来たんだっけね。


 8月は私が聖君の家に泊まって、お店の手伝いをしたり、伊豆のおじいさん、おばあさんの家に、遊びに行くはずだったのが、聖君がうちに来て、聖君のおじいさん、おばあさんまでが、私に会いに来てくれることになっちゃった。


 この急展開に、まだついていけてない私がいるけれど、でも、どこかでこうなるようになっていたんだな~~って、そんなことも思っているんだ。それに聖君との結婚も、夢見てたことだから、実際に叶っちゃったんだよな~~なんて、漠然と思ってる。

 だけど、「やった~~!」とはさわげない。まだ実感がない。どうしてかな。夢を見ているかのようだ。


 明日の朝になったら、すべて夢でした。ちゃんちゃん。なんてことにはならないよね。

 起きたらまだ、片思いしてました、なんてことないよね。


 公園のベンチに座った。そういえば、初めてこの公園に聖君と来たとき、いきなりキスしてきたっけな~。聖君、そういうの平気なくせに、女の子が苦手なんだって言うから、不思議だよな~。

 

 木々の間から、木漏れ日がきらきらしてる。光のダンスをしているようだ。

 お腹に手を当ててみた。それから、また空を見た。そうだ。聖君はいつもこんなふうに、風を感じたり、緑を見てたりしてたっけね。

「見えてる?きれいだよね、木漏れ日」

 お腹の子に話しかけてみた。

 来年は3人で、公園に来てるんだろうか。


 しばらくぼ~~ってしてから、家に戻った。

「お姉ちゃん、いないからびっくりしちゃった」

 母と買い物に出かけたひまわりが、玄関に慌てて来て、そう言った。

「え?どうして?」

「具合でも悪くなって、病院にでも行ったのかと思ったよ」


「まさか。一人で行ったりしないよ」

「だよね~」

「お母さんは?」

「ケーキも買うからって、駅の方に行っちゃった。私は先に荷物持って帰ってきたよ。だって、くそ暑いんだもん。お姉ちゃんもこんなくそ暑い中、出かけちゃ駄目だよ。出るなら夕方にしなよね」


「ありがとう。でも夕方って、夕飯作ってる匂いがくさくて、出られないんだ」

「うちの?」

「他の家の」

「え~~~。匂うの?」

「うん。くさい。特に味噌汁とか、ご飯の炊ける匂いとか」


「大変なんだね」

「それより、水。喉乾いた」

 水を一気に飲み、リビングに戻って、ソファーに座った。

「あ~~~。涼しい~~」

 リビングはエアコンがきいてて、涼しかった。


「はい」

 ひまわりがひざ掛けを持ってきてくれた。

「ありがとう」

「お腹は冷やしちゃ駄目だからね!」

「う、うん」

 ひまわりの方がしっかりしてる…。


「ねえねえ、お姉ちゃん」

「え?」

「聖君が、うちに住むようになったら、どこで寝るの?お姉ちゃんの部屋?」

「え?!」

 声が裏返ったよ~。もう、びっくりするな~。何その質問。


「夫婦になるんだから、同じ部屋で寝泊りするよね?」

「さ、さあ?」

「さあって、聖君とそういう話しないの?」

「しないよ」

「そうなんだ。ふうん」


 ひまわりはソファーに寝そべって、ゲームをしだした。

「ねえ、お姉ちゃん」

 う、今度はどんな質問~~?

「私、ずっと聖君って呼んでていいのかな。それとも、お兄ちゃんとか、そんなふうに呼んだ方がいいと思う?」

「さあ?ひまわりはなんて呼びたいの?」


「お兄ちゃん!」

 ひまわりの目がきらきらと輝いた。

「じゃ、そう呼べば?」

「いいと思う?」

「うん」

「きゃ~~~」

 ひまわりが奇声を発して喜んだ。


「お兄ちゃん、なんて素敵な響き!聖君をお兄ちゃんって呼べる日が、本当にくるなんて!」

 ひまわりは立ち上がり、天井をあおいで目を輝かせた。ひまわり、そんなに嬉しいんだ。

「聖君がうちで暮らすようになったら、友達じゃんじゃん呼ぼう」

「え?!それはやめて」

「なんで~~?」

「聖君、女の子苦手」

「ああ、そっか~」


 ひまわりはがっくりとしていた。まったく、そんなに友達に聖君のことを、自慢したいのかな。

「お姉ちゃんは友達に、自慢したくないの?」

「え?!」

 今私が思っていたことを、聞かれたかと思った。

「自慢も何も、不釣合いだとか言われそうだし、それに聖君に友達が惚れちゃっても困るし」

「あ~~、そうだよね。取られたら悲惨だよね」

「……」

 この前は、聖君はお姉ちゃん一筋!なんて、おばあちゃんに言ってたくせに。


「かっこよすぎる彼氏を持つって、大変だよね。わかるよ、それ」

「へ~~。わかるんだ」

 ひまわりはいきなり私の前に座り、私の手を取り、

「わかる。だって、私の彼ももてるからさ~~~」

と、一オクターブ高い声を出した。

「彼?」

「かんちゃん」

「え?!」


 ひまわりがちょっと、顔を赤らめた。

「付き合ってるの?」

「うん。ついこの前、付き合おうって言われたんだ~~」

「え~~~!」

 なんだよ、ひまわり。アピールするって言ってたけど、もう告られたんだ。すごいな~。


「かんちゃん、バイト仲間からもててたんだ。でも、ひまわりちゃんといると楽しいし、付き合っていきたいって、そう言ってくれたんだ」

「へ~~~!」

「8月1日、江ノ島で花火あるでしょ?」

「うん」

「二人してシフトいれないで、その日花火を見に行こうって約束してるの」


「え?ここから?遠くない?」

「聖君、車出してくれないかな」

「出してくれないと思う。花火見ないって言ってたし」

「え~~。行かないの?」

「うん、私が行けないから、聖君も行かないって」


「え~~~!そんなに聖君はいつも、お姉ちゃんと一緒にいたいわけ?」

「え?」

 そんなことを言われ、ぽっとホッペが赤くなってしまった。

「まあ、しょうがないか~。電車で行くか~」

「すごい混むんだから、気をつけなよね?」

「うん、わかってるよ~」

 そうか。デートか。やるな~~、ひまわり。


 母が帰ってきて、

「ひまわり、ちょっと手伝って」

と言って、掃除や夕飯の支度を始めた。私は、キッチンからの匂いで、一気に気持ちが悪くなり、2階の自分の部屋に逃げ込んだ。

「は~~~」

 臭い。この世のものとは思えない匂いがする。これ、いつまで続くのかな。


 しばらくベッドの上で、ぼ~~っとしていた。それから、母が昨日買ってきた、出産のための本をぺらぺらとめくった。

 見てるだけで、こんなにいろいろと大変なの?とクラクラしてしまう。

 戌の日って何?それにラマーズ法って何?産むときの呼吸法?何それ。ヒッヒッフーってやつ?

 それに、それに、産むときってすんごい、痛いんだよね…。ああ!不安だ。絶えられるのかな、私。


 ピンポーン。チャイムが鳴った。

 あ、あれ?いつの間にか寝てた?時計を見たらもう、6時を過ぎていた。

「お姉ちゃん、聖君たち来たよ」

 ドアを開けて、ひまわりが入ってきた。

「うん、今下に行く」

「私、先に下りてるね!杏樹ちゃんも一緒みたいだし」

「うん」


 ひまわりはドタドタと階段を、下りていった。

 私は鏡を見て、髪を直し、それから一階に下りた。なんだか、変に緊張をしてる。

 う!

 一階に下りたとたん、キッチンから匂うご飯の炊けた匂いで、気持ちが悪くなった。


 慌ててトイレに駆け込むと、

「桃子ちゃん?大丈夫?」

とリビングにいた聖君が、すぐに気がつき飛んできた。

「大丈夫…じゃない」

 私は吐いてしまった。


「桃子、ここだと匂いがきついわね。自分の部屋にいる?」

「う、うん」

「あ!そうだ。リビングだと匂っちゃうけど、客間なら襖を閉めちゃったら、大丈夫なんじゃない?今、テーブル出したりするから待っててね。ひまわり、手伝ってくれる?」

「うん」


 母が客間に行き、準備をして呼んでくれた。それから、聖君のお父さんとお母さん、そして母、それから父が客間に移動して、私と聖君も客間に行った。

 杏樹ちゃんはひまわりの部屋に行った。ここにいても、うるさいだけだろうからと、父が部屋に行ってなさいと、追い出してしまったのだ。確かに、二人してきゃっきゃ、きゃっきゃしてたからな~。


「ここなら、大丈夫?桃子」

「うん、どうにか」

 母に聞かれ、そう答えた。私の隣には、聖君が座っていてくれた。


「わざわざ、遠くからお越しいただいて、ありがとうございます」

 母は、そう丁寧にお辞儀をした。

「いいえ、ずっと挨拶にも来れなくて、すみませんでした」

 聖君のお母さんも、頭を下げた。そういえば、母と聖君のお母さんって、同じくらいの年かな。ちょっと母の方が若いのかな。

 でも聖君のお父さんは、父よりも断然若い。


「はじめまして、桃子の父です。よろしくお願いします」

 父が、深く頭を下げながらそう言った。

「こ、こちらこそ」

 聖君のお父さんとお母さんも、思い切り頭を下げた。


「まあ、足はくずしてくださいね。それから、お茶もどうぞ」

 母は、いきなりにこやかになり、そう言った。

「あ、そうですよ。遠慮なく、ゆったりとしてください」

 父もそう言って、場をなごませた。ようやく、父も母も、聖君のご両親も、顔がほころび、緊張が解けたようだった。


 聖君はというと、まだ緊張しているようだ。さっきから一言も発していない。それは私もだった。こんなとき、何をどう話していいかがまったく、わからない。

「本題にいきなり、入ってもいいですか?」

 聖君のお父さんが、話し出した。

「はい、もちろん」

 父がうなづいた。


「まず、聖が婚姻届を持ってきたので、桃子ちゃんに書いてもらって、明日、大安吉日だから、聖が出してきたらいいと思うのですが、いかがですか?」

「え?!」

 母も父も、一瞬目を丸くした。

 その驚いた様子を見て、聖君のお父さんも、目を丸くした。

「いや、早い展開なので、ちょっと驚いて。でも、そうですね。桃子はつわりもあって、外に出るのは大変でしょうし、聖君に出してきてもらうのが、一番ですね」

 父は動揺を隠しながら、そう言った。


「籍を入れてから、聖は、こちらに住まわせてもらっても、いいんでしょうか?」

「はい、それはもちろん。桃子もそのほうが安心すると思いますし」

 聖君のお母さんの質問に、母が答えた。

「いろいろと、迷惑をかけちゃいませんか?」

 聖君のお父さんが聞いた。


「うちはまったくかまいませんよ。むしろ家族全員、喜んでいます」

 父がそう言うと、聖君のご両親はほっとした表情になった。あれ?何か心配してたのかな。

「聖は、今まで何度か、泊まったりお邪魔していますが、その、何か粗相はしてないですか?」

 聖君のお母さんが、言いにくそうにそう聞いた。


「は?いいえ、粗相なんてあるわけないじゃないですか。いっつも家族全員が、大喜びで歓迎してますよ」

 父が嬉しそうにそう言った。それは本当のことだ。聖君が来ると、家が一気に明るくなるし。

「そうですか。そう言っていただけると、ほっとします」

「これ、お世辞でもなければ、安心させるために言ってるわけでもないですよ」

 父が聖君をにっこりと見てから、聖君のお母さんにそう言った。

「え?」

 聖君のお母さんとお父さんが、同時に聞き返した。


「聖君とは、釣りにも行きましたが、本当にいつも、楽しいんですよ」

「あ、釣りに連れて行っていただいて、本当にありがとうございます。それに、釣りの道具までそろえてもらったとかで」

 聖君のお父さんが、恐縮しながらそう言うと、父は、

「いやいや。こっちこそ、お礼を言いたい。なにしろうちは娘だし、釣りに一緒に行ってはくれないから、聖君が付き合ってくれて、本当に嬉しいんですよ」

と、聖君のお父さんに嬉しそうに答えた。


 父の本当に嬉しそうな顔を見て、聖君のお父さんとお母さんは顔を見合わせ、それから聖君の方を見た。

「聖、本当に桃子ちゃんのご家族みんなに好かれているんだな~。よかったな~」

 聖君のお父さんが、聖君にそうぽつりと言った。すると聖君は、嬉しそうに目を細めた。


「聖君が今日は運転ですか?」

 父が聞いた。

「はい」

「では、聖君のお父さんは、お酒を飲んでも大丈夫ですね?」

「あ、はい。大丈夫ですが…」

 父の質問に、聖君のお父さんは、ちょっと躊躇しながらそう答えた。


「じゃ、夕飯を食べながら、一杯どうですか?」

「え?そうですね。いいですね」

「そうね、じゃあ、今準備をしてくるわ。桃子はここにいる?それとも部屋に行く?ご飯食べられないでしょ?」

「うん。部屋の方が、匂いがまったくしなくって、いいかな」

「そうね、じゃ、そうしなさい」


「俺が一緒に行くね」

 私が客間を出ると、聖君が一緒についてきた。

「聖君はダイニングで、みんなと食べて」

「いいよ、桃子ちゃんといるよ」

「じゃあ、ご飯済ませてから、来て」

「うん、わかった」

 

 私は一人で2階にあがり、ひまわりの部屋をノックして、

「ご飯、もうすぐ用意できるから、杏樹ちゃんと食べてきなよ」

と声をかけた。

「は~~い」

 二人はすぐに部屋から出てきて、一階に下りていった。ほんと仲いいよな~~。


 部屋に入った。婚姻届も持ってきた。さっき、聖君から渡された。

 ドキドキ!これに記入して提出したら、もう私、聖君のお嫁さんなんだ。ああ!信じられない。

 それも、明日出しに行くんだよね。っていうことは、明日にはもう、私は榎本桃子になっちゃうってことだよね?!


 ぼけ~~~。しばらく婚姻届を見ていた。それから机に向かって、正しく座り、丁寧に記入をした。

 そしてペンを机に置き、深いため息をついた。相当緊張していたみたいだ、私。

 それから何気に、左の薬指にはめている指輪を見た。これ、エンゲージリングになっちゃったな、なんて思いながら。


 聖君はいつから、私がずっと隣にいたらいいなって思ってくれるようになったんだろう。この指輪をくれたときには、もうそう思っててくれたんだよね。だって、次はお給料何か月分かのをあげるって、言ってたような気がする。

 気がするっていうのは、指輪をもらっただけでも、舞い上がっちゃって、会話を覚えていないからなんだけどさ。


 結婚。

 夫婦。

 妻。

 奥さん。

 お嫁さん。


 あ~~~~~~。やっぱり信じられない。私が聖君の、奥さん!!!!!

 

 顔を真っ赤にして、恥ずかしがっていると、聖君が、

「入るね」

と言って、部屋に入ってきた。うわ。考え込んでいたからか、足音も聞こえなかった。


「あれ?なんで真っ赤なの?熱でもあるとか?」

「ううん」

 私は首を横に振った。

「あ、婚姻届、記入したんだね?」

「うん」  

 今度は縦に、首を振った。


「あつ~~~っ」

 そう言って、私が顔を手で仰いだら、

「温度下げる?エアコン。でもあまり冷やすのも良くないんじゃない?」

と聖君が聞いてきた。

「え?うん。下げなくてもいい。熱いのは顔だけだから」

 そう言うと、また聖君が、私の顔を覗き込み、

「そんなに顔、熱いの?」

と聞きながら、私のおでこに手を当てた。


「だ、大丈夫。熱じゃないから。ただ、ちょっと今、恥ずかしがってただけだから」

「恥ずかしい?え?何が?」

「婚姻届」

「え?」

「もう聖君の奥さんになるのかと思ったら、一気に顔が…」

「ブフッ!」

 聖君がいきなり、ふきだした。


「それで、恥ずかしがってたの?あはは、おかしい。でも桃子ちゃんらしい」

 聖君はしばらく笑っていた。それから、ベッドに座ると、

「桃子ちゃんも、こっちにおいでよ」

とそう言った。

「うん」

 聖君の隣に座った。


「今ね、ダイニングすんごくいい感じだよ」

「え?」

「もう昔から、ずっと仲が良かった親戚って感じ」

「……」

「父さんも母さんも、すごく楽しそうだし、桃子ちゃんのご両親も、ずっと笑ってて。もちろん、ひまわりちゃんと杏樹も、いつものあの調子で、喜んでるしさ」


「……」

 聖君があまりにも優しくそう語るから、涙が出そうになった。

「俺ら、幸せ者だね」

「うん」

 聖君は私の肩を抱いた。そして、

「明日、婚姻届出してくるからね。そうしたらもう、桃子ちゃん、俺の奥さんだから」

と、耳元でささやいた。


 くすぐったかった。聖君の声も、そして「奥さん」って言葉も。

「信じられない。でも、夢じゃないよね?」

 私がそう言うと、聖君は私の顔を覗き込み、ぐにってほっぺを掴んだ。

「痛い」

「でしょ?」


 聖君はくすって笑って手を離すと、

「夢じゃないでしょ?」

とまた言ってきた。

「うん」

 私は思い切り聖君に抱きついた。それからぎゅうって、抱きしめた。


「桃子ちゃん?」

「こうやって、ぎゅってしてたら、夢じゃないって、もっと思えるかと思って」

「え?」

「それに、抱きしめてたら、聖君がどっかに行くことはないかなって思って」

「俺がどこに行くの?」


「……」

「ずっとそばにいるよ?これからずっとだよ?」

「うん」

「おじいちゃんとおばあちゃんになっても、いるんだからね?桃子おばあちゃん」

「うん。聖おじいちゃん」


 くすくす。聖君は笑ってから、私のことをぎゅって抱きしめてくれた。

「これからも、ずっとずっとよろしくね、奥さん」

「え?」

「ね?」

「うん」 

 奥さんだって。わ~~~。照れて顔をあげられなくなった。きっと今、私真っ赤だ。そしてきっと、聖君の顔は思い切りにやついてるんだろうな。


 明日、私は榎本桃子になる。もう聖君の「恋人」じゃなくなる。

 結婚はゴールみたいだけど、そうじゃないね。スタートだね。

 そして、まだまだ聖君とはずっと、ラブストーリーが続いていくんだね。



          ~永遠のラブストーリー 恋人編 おわり~ 



 


長い間、永遠のラブストーリー恋人編を読んでいただき、ありがとうございました。

聖と桃子、これからは結婚して夫婦になります。それは第3部でお届けします。

これからも、永遠のラブストーリーをよろしくお願いします。

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