第9話:迫りくる影と二人の絆
朝の淡い光がカーテンの隙間から差し込み、私の部屋を優しく包み込む。
けれど、心は安らかではなかった。昨夜の出来事がまるで昨日のことのように脳裏を巡る。
クロード——レオン様の影武者でありながら、私を狙う者。彼の声の端に隠された葛藤が、私の胸を締め付ける。敵でありながら、ただの悪役ではない。その複雑な存在に、私は戸惑いを覚えずにはいられなかった。
そんな私に向けられたリリアの瞳は、いつも以上に強く私を捉えていた。
「アリシア様、ご無事で何よりです。昨夜はよく眠れましたか?」
彼女の言葉は優しいのに、その奥に秘められた情熱はまるで鋭い剣のように心を貫く。ヤンデレな彼女の愛は、時に私を縛り、守り、そして独占する。
私はそっと微笑み、言葉を返す。
「ありがとう、リリア。大丈夫よ。もう怖くない。私は逃げない。強くなるしかないの。」
その言葉に、リリアの表情が柔らかくなり、私の手を握る。彼女の掌から伝わる温もりに、胸が熱くなる。
その後、私は王宮の闇に立ち向かうために味方を探し始めた。
密かに会ったのは、レオン様の信頼する側近、エドワード。
彼の落ち着いた声が部屋に響く。
「アリシア様、危険は迫っています。しかし、あなたには私たち味方がいます。共に戦いましょう。」
その言葉に、胸の奥の不安が少しだけ和らいだ。孤独ではない。誰かが側にいることの安心感が、私の心に光を灯す。
夜、リリアはいつも以上に私のそばを離れなかった。
「必ずお守りします、アリシア様。」
彼女の言葉は愛情の証であり、時に私を束縛する縄のようでもあった。
しかし私は知っている。リリアとの絆が、私の最大の武器であることを。
迫りくる危機の中、私は彼女と仲間たちと共に、強く立ち向かう決意を新たにした。
闇は深いけれど、私たちの絆が光となるのだと信じて。