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『おろちばーす』  作者: ワニ
1章:とあるワニとアルマジロ
3/6

『ハッピーエンドを名乗るにはまだ早い』

感動の瞬間を見たい読者の方には申し訳ないが、このディノスとアルマの再会のときは彼ら2人だけのものであり、それらを事細かに伝えるのは彼らに対しての冒涜と判断して描写しないことにした。ご理解のほど、よろしくお願いしたい。



「ということで僕が噂のアルマっす。以後、お見知り置きを〜」


「想像の5倍くらい陽気でびびる」


さて、家主が普段好んで居座っている和室で、アルマと5つ首のヘビが話していた。家主である彼もまた、ディノスと似たような境遇である。ディノスだけがーというわけではなく、こういう境遇の者はかなりいる。ただ、今はそれどころではない。

メギドラが少し冷めたお茶を啜りながらこう尋ねた。


「それで?もちろん親友が帰って来た、というのは嬉しい話でしょうが…問題はこれからどうやって生活するかですね」


「そうなんだよな…オレの稼ぎじゃオレ1人ならともかく2人となると…」


ここはゲームの世界ではなく現実世界である。当然、社会のルールに則って行動しなければならない。「これから」について彼らは頭を悩ましていた。


「でも聞いてる限りだとアルマの方は力を失ってないみてぇですの。それなら治安維持の方面で働いてみるのがいいと我は思いますの!全員殺戮ですわ!」


「この見た目で女性でしかもお嬢様なんっすね」


その巨体に反しまさかの女性である『覇龍』はそう意見を述べた。でもそれはかなり良き提案だった。


メギドラやこのオムレツなどは基本異次元の戦いをしている。アルマは一応拠り所の世界がおろちばーすではあるのだが、彼らには到底敵わない。もちろん彼らが対峙している相手にも到底敵わない。


しかし、やれることはある。メギドラたちは戦闘員であり、治安維持も担当している。まずそこら辺の相手に負けることはない。ただし、分身が複数いるわけではないのだ。当然、彼らの手に届かないところでトラブルがあったら駆けつけれないし、『本業』が忙しくて行動できないことも多々アリ。そこでスポットライトがあたったのが…


「なるほど、この僕ってわけっすね。有給はどれくらいもらえます?」


「あんまないですね」


このアルマなのである。そういうワケで、今後についての話はカイケツ。これからは、まったりと安寧に過ごしていこうではないか。



貪り、喰らい、捕食する魔物。歌で全てを狂わせる魔王。

復活したのはアルマだけではない。

怪物が顕現するのも時間の問題…しかし、それをまだ彼らが知る手段はない。






「あ、あの…何度も言うっすけど、僕一人でやれるっすからね?」


「あーいや、それはわかってるんだが…またどこかに消えないか不安でな…」


「そもそも消えたのはアニキの方じゃないっすか」


「確かに」


さて彼らは何をやっているのかというと、治安維持活動…といえば聞こえはいいが、実際はほぼ散歩みたいなものである。木に登ったはいいものの降りれなくなったネコちゃんを助けたり、風船が木に引っかかって困ってる少年に風船を撮ってあげたりなどのことはした。でもそれくらいである。1番の功績は、こんひ


「でもお前って結構人気あるよな」


「そうっすか〜?やっぱ見た目がクールかつキュートなのが原因なんっすかね」


「社会からルッキズムをなくしたい」


アルマはゲーム世界の住民であるとはいえ、その見た目が可愛いらしいのが原因かそこそこ人気がある。どうやらこの世界は可愛いが正義らしい。


「でもアニキも魅力的だと思うっすよ。例えば、えーっと、その、コワモテだけど中身は結構優しいところとか?」


「それはあまりフォローにはなってないかもしれないな」


まあディノスの方も上手い演奏をするギターのワニお兄さんとしてアルマほどではないが1部の子供から人気である。本人は知る由もないのだが…



「おっと、そろそろ時間だ。じゃあまた後でな」 


「バイバイっす、お金稼ぐのも大変っすね〜」


さてディノスの方も働かなければならない。馴染みの酒場にでも寄って、ギターを弾いてこなければ。

未だに力はほとんど戻らないが、まあ仕方ない。アルマが戻ってきただけでも大金星だ。


これは平和な、平和な日常であった。


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