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明日も寒い日でありますように

「はぁ、寒い」


 朝、通学路を歩きながら両手に息を吹きかけた。生暖かい風が手のひらを気休め程度に温める。


「手袋、忘れたの?」

「うん。急いでて忘れちゃった」


 うそ。わざと忘れた。

 前髪をセットするのに十五分かけられるくらいの余裕もあった。


「こんな寒いのにドジだなぁ。ほら、僕の使って」


 彼は自分のつけていた手袋を外し、渡してくれる。

 ほんと、優しいんだから。


「……ありがとう」


 私は、両手に彼の手袋をはめた。温かい。


 でも、そうじゃないんだよ。

 手袋は、片方でよかったの。

 もう片方の手は、繋ぎたかったの。


 やっぱり、少女漫画みたいに上手くはいかないよね。

 

「なんか、湿ってて気持ち悪い」

「え?! うそごめん! やっぱり返して!」

「やだ」

「ええ?!」


 察してよ、なんて言わない。

 素直に手を繋ぎたいって言えない私が臆病だから。

 

 だから、この手袋は私が預かっておきます。

 明日は二人とも手袋はありません。


 明日も寒い日でありますように。

 

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