表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界帰りのアルバイター  作者: 糸島荘
4/62

1-4


「さて、自己紹介も無事終わったところで、今回の事後報告でもしておこうか」


 そう言うと、今回の犯人、火を操っていた男について話し始める。ただ、生い立ちや今後の彼への処遇なんかはどうでも良いので、黒はほとんど聞き流していた。


「それで彼が今回事件を起こした動機なんだが、唆されたと言うんだ」


「つまり誰かが背後にいたと?その割には知性が感じられなかったですが」


 これまで彼が起こした事件や実際に相対してみた印象から言うに、後の事を何も考えていない輩だという印象がみられた。


 自分の快楽を優先するクズ男、それがあの男だと思っていたが、それも計算されての事だったということか。


「奴に下されていた命令は簡単だ。ただ暴れて目立てと。場合によっては、人を殺してみるのも良いとも言われたそうだ」


「そいつにあまりメリットがあるとは思えませんね。それで、その背後に居たというのは一体誰なんです?」


「それがわからないと言うんだ。異能力を使って喧嘩を吹っ掛けて回っていたら、偶々そいつがボコボコにしたらしい」


 それで、強者の言うことに従っていた。なんともわかりやすい事だ。


「その後、火の男は何度かそいつと会っていたらしいんだが、名前や目的などは一切教えてもらえなかったらしい」


 なんともきな臭い話だ。そんな奴にホイホイ乗せられる男も男だが、指示をした奴のいまいち目的が見えてこない。チームに加えるため手を施したならわかるが、これでは完全な放し飼いだ。


 今得られる情報ではそれが限界らしい。男がどれだけ馬鹿なのかがわかる。ちなみに男は監視付きでブタ箱行きだということだ。今後、彼の異能力は管理され、自由に異能力を行使できなくなるだろう。


「今回の報告はこれくらいだ。2人共、何か質問はあるかい?」


 アハトが家にくるという事実以上に、多少背後の存在は気になりはするものの、興味がそそられる内容はなかったので返事はしない。


 しかし、当のアハトがここに来て質問をした。目黒は当然、内容を促す。


「今回の事件とは直接関係ありませんが、2人の能力を教えてもらう事は可能でしょうか?今後の参考にします」


「これまた直球だな。俺はこれだよ」


 目黒は耳に手をトントンと当てる。戦闘前に黒と話していた正体がこれだ。どこからでも話す事ができる異能『テレパス』。戦闘ではあまり役に立たない分、後方支援という面では充分に役立つ異能力だ。


「把握しました。それで先輩はどんな能力なのですか?男相手に、ボコボコにされていましたけれど」


「うるさいな!俺の能力はこれだよ、ほら!」


 アハトに、火の玉で貫かれ血だらけになっていた箇所を、服を脱いで見せる。変態だから脱いでみせる訳では決してない。


「傷が……なくなっていますね。すごい回復力です。これが異能力という訳ですか?」


「そうだ。俺は普通の人間より頑丈なんだ。このくらいの傷なら30分あれば治る」


 一般的に見れば、凄い能力だと思われるだろう。しかし、異能力をAからGまでランク付けした時、この能力はCとなった。


 上から数えた方が早いとはいえ、1人でできる事に限界がある。その点を考えれば、他のCランクに劣ってすらいる。


「それで、俺達は異能を明かしたんだ。お前の異能も教えて貰えるんだよな?」


 男を潰していた巨大な青い手、あれがアハトの能力である事は間違いない。しかし、火の玉をどうやって消したのかが、黒にはわからなかった。


「もちろんです。私の異能も見てもらう方が早いでしょう。少し下がっていて下さい」


 言われた通り、2人はアハトから数歩離れる。アハトはそれを確認した後、右手を上げて何かを呟く。すると何もない場所から一瞬で青い腕が出現する。


「これが私の異能、『天使の腕』です」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ