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クズはゴミ箱へ  作者: 天方主
第ニ章 クズは学校へ
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クズは学校へ 第9話

「はあ~、疲れたあ。アッキー、足揉めよお」


「何を言ってるんですか!あたしの憧れるクズ人間は人の足は揉みません!足下をすくうことしかしません!」


「うまいこと言ったつもりかよ……」


 『罪滅ぼし』であるゴミ拾いが終わり、結局風紀委員にゴミ箱まで連行された黒水たち。


 名前のない地下の教室に四人の囚人が投獄されている。


 いまはくだらない話をしている者が三人と――


「うわあああああああん!風紀委員にタバコとられたああああ!」


 大号泣している元風紀委員長が一人――。


「別にいいだろあんな吸い殻……。貢献ポイント下がらなかっただけましだろ。いい加減泣き止めよ……」


「あんた、ほんとヘビースモーカーの気持ちがわかってないわね!三日間絶食と禁煙をして、食べ物とタバコどっちが欲しいと言われたら、タバコを選ぶのよ!一番の親友とタバコが崖に落ちる寸前でどちらか片方しか助けられないってなったとき、タバコを選ぶのよ!」


「ヘビースモーカー最低だなおい!」


「たとえ地面にへばりついていたとしてもタバコはタバコよ。私の命の灯をあいつらは奪ったのよ……」


 奏は再び、声を上げて泣き始める。


「そのタバコへの執着!素晴らしいです、奏様!クズ人間の鑑です!あたしもはやくタバコ吸いたいですよお」


「ああー、うちもタバコちょっと興味あるかも」


「おいおい、これが女子高生の会話かよ……」


 エロゲの知識しかないからわからんけど、これが現実なのだろうか……。


「ほんと、タバコ取られるわ、教室では驚くほど注目されるわ、噂話流されるわ……。今日はやっぱり人生最悪の日ね」


「確かに、至る所で奏様のこと話されてましたよね!もうクズ界の偉人ですよ!」


「……ちょっと、さっきからこの娘、私のことバカにしてない?ぶん殴っていいかしら?」


「かなでん、貢献ポイントすごい下がるからやめとけー」


「……………」


 ――やっぱり、こいつらがおかしいだけだわ


 黒水は心中で呟いた。




 午後六時三〇分。


 晩御飯の支給までまだ一時間ほど時間がある。


 とはいったものの、ここは何もないただの教室。


 暇つぶしと言ったら黒板に何か書くことくらいしかない。


 斧研が黒板に亜紀の似顔絵をなかなか上手に描いていた。


 それをボーっと眺める黒水と奏。


「暇だな……」


「まあ、あんたみたいなゴミ人間はこういう時間も無駄に過ごすのでしょうね」


「お前だって今ボーっとしてるじゃねえか……」


「あんたと一緒にしないでほしいわね……。今私は、世界を一気に平和にさせる制度を考えていたところなのよ!」


「お前が一番考えちゃいけない内容だな……。世界が滅びそうだ」


「うっさいわねえ!」


 そう言って奏は、床に座っていた黒水の腕を引っ張り無理やり立ち上がらせた。


「なんだよ!」


「あんたはこの時間も無駄にしちゃいけないわっ!」


「どういうことだよっ!」


「あんた、強くなりたいとは思わないの?」


「……………」


「私たちのテリスには<身体能力の大幅な向上>をさせる機能がインストールされていない。その分、私たちは強くなる必要があるの!でないと、善良な市民たちのおもちゃになるだけよ!」


 黒水は頭の中で今日一日を振り返った。


 ヤンキーたちにボコボコにされて――。


 周りの人から嘲笑されて――。


 斧研とクラス委員の女子に助けられて――。


 なんと、情けないことだろうか。


 変わりたいと思ってこの世界に来たのに、中学のときから何も変わっていないじゃないか。


「もう一度聞くわ、あんたは強くなりたくないの?」


 奏の言葉はいつもと違い、真剣なものだった。


「ああ。強くなりたい!」


 だからこそ、黒水は真剣な眼差しで正直な言葉を奏にぶつけた。


「そうこないとね!それではこれからこのクズ男のための特訓をはじめるわよお!」


「……………特訓?」


 奏の言葉がまるで合図だったかのように、ガラガラッと教室の扉が勢いよく開いた。


 身長が高すぎて顔が見えないが、体格だけでわかる。


 ――シモンだった。


「元私の右腕!このクズ男に特別メニューを与えて頂戴!」


「イエス、マダム」


「嫌な予感しかしないぞ……」

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