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クズはゴミ箱へ  作者: 天方主
第ニ章 クズは学校へ
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クズは学校へ 第6話

「お前ら、何時だと思ってんだ!朝礼はもう始まってんだぞ!」


 教卓の前に立っていたのは、眼鏡をかけた真面目そうな中年男性。


 1年E組の担任の先生である。


 彼は教室に入ってきた黒水と斧研を見るなり、怒号を発した。


「……………」


「はーい、すみませーん」


「お前らはただでさえクズなんだから、もっと善良な行動を心がけてだな――」


 クラスメイトを目の前にして、担任による説教が続く。


 黒水の顔にできた痣は完全に無視だった。


 むしろクラスメイトのほうでちらほら、クスクスと笑い声が聞こえてくる始末だ。


「もういい、お前らクズには構ってられん!黙って自分の席についてろ!」


 黒水と斧研は黙ってそれぞれの席に戻る。


『五味黒水から悪質な行動が確認されました。貢献ポイントを20 ptマイナスします』


「掃除二回分、か……」


 テリスの声を聞いて、黒水は諦めるように机に顔を突っ伏した。




 退屈な一限と二限が終わり、昼休みになった。


 授業中、静まり返っていた教室もいまは生徒たちが思い思いに行動をしている。


「おい、シモン。俺の昼食はどこだ?」


「……………」


「俺、朝も食べてないんだけど?腹がさっきから鳴り止まないんだけど?」


「……………」


「ゴミ箱に入ったら朝食も昼食も食べれねえのかよ!?それはあんまりだろう!?」


「ゲラウト」


「……ん?」


「ゲット!アウト!」


 シモンが眉間にしわを寄せた。


 怒り寸前の巨体の男を目の前にして、黒水はさすがに身を引いた。


 英語で「立ち去れ」って意味だろうか?


 というか、こいつは日本語理解できる癖に英語しか話さないのはなぜなのか――。


 謎である。


「しかし、どうしたものか……」


 黒水は席に戻り、お腹が鳴らないようにお腹を強く押さえた。


 水道の水でもがぶ飲みしようかと思い、再び席を立とうとしたそのとき――。


「黒水さん、だよね?」


 ひとりの女子生徒が黒水に話しかけてきた。


瑠璃川茉奈るりかわまなっていいます。1年E組のクラス委員です。これからよろしくね!――あっ、クラス委員は昨日私ひとりに決まったんだよ!」


「そ、そうか――」


 茉奈はもちろん青いテリスを着用していた。


 にもかかわらず、茉奈は黒水に対し常に笑顔で優しい雰囲気を醸し出していた。


 優しく接してくれるだなんて、黒水にとってはこの世界に来て初めての出来事である。


「これ、昨日配られたプリントだから!ちゃんと目通してね!じゃっ!」


 そう言って、茉奈はふてぶてしく座る斧研のほうに駆け寄っていった。


 茉奈が振り返った瞬間、柔軟剤の香りが黒水の鼻孔をくすぐる。


「こんなの、好きになっちゃうだろぉ……」


 彼女の青みがかった巻き髪が、黒水にはキラキラと輝いて見えた。

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