クズは牢獄へ 第19話
「おい,クズ共!そろそろ消灯の時間だぞ!いつまで食べてやがるっ!」
「はい,すびばせんっ!」
黒水は里芋とほうれん草を同時に口の中にかきこむ。
まだ少しごはんと味噌汁が残っていたプレートを風紀委員は容赦なく回収した。
風紀委員の言葉を聞き、口いっぱいの食べ物をもぐもぐさせながら黒水はふと気づく。
これから消灯の時間、これはこの教室で女子三人と一緒に寝るというということを意味していて――。
「はあ、明日から学校かあ。まじだる」
「斧研さんと黒水様ははじめての学校ですもんね!オレンジ色のテリスを着ていると色々大変なこと多いですが頑張りましょう!」
「明日は私が逮捕された話で持ちきりでしょうね。ああ!もう学校行きたくないわあ!」
「こんな時間に発狂したらまた貢献ポイントなくなるぞー、かなでん」
そんな話をしながら女子三人は寝る体制に入る。
布団やベッドのようなものはなく、そのまま固くひんやりとした床の上で寝そべった。
彼女らの姿を見て、黒水の心臓の鼓動が高まる――。
この世に生を受けて十五年、女子と付き合うどころか触れることすらなかった。
今朝、思い切って痴漢してしまったのが初めてである。
――柔らかかった。
黒水はあのときの感触を思い出すように、自分の両手を見つめた。
――バタンッ
大きな音とともに、辺りが一瞬で暗くなる。
「みなさん、おやすみなさーい!」
亜紀の明るい声には誰も応じず、静まり返った。
そんな中ひとり立ち尽くす黒水。
少し先のほうに飛び込めば、女子三人の体――。
奏と亜紀はエロゲでしか見たことない巨乳だし、斧研だってモデルくらいスレンダーでいい体をしている。
――俺は公衆の面前で、亜紀のケツを触った男だ。もう何も失うものはないっ!
心中で叫び、黒水の決意が固まった。
黒水が力強く、一歩を踏み出した瞬間――。
――カチャリ
黒水の手首と足首にヒンヤリとした感覚が広がった。
「な、なんだこれはっ!」
「なんだこれはじゃないわよ。あんたみたいなクズエロ男とそのまま一緒のところで寝られるわけないでしょ。これから寝るときは手首と足首に手錠を付けてもらうわ!」
「なんで囚人が手錠をもってるんだよ!?」
「現風紀委員長に事情を話したら、快く承諾してくれたわ」
「なんでだよチクショー!――あ、痛っ!」
黒水はバランスを崩し、バンッと大きな音を立てて倒れた。
『ゴミ箱消灯時間にもかかわらず、五味黒水による騒音が検知されました。貢献ポイント、-10 pt。明日は学校がありますので、はやめの就寝を推奨します』
「チクショー……」
右耳から聞こえる、冷淡なテリスの声。
黒水は叶わなかった夢と将来の不安を思い、冷たい床に涙をこぼした。




