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クズはゴミ箱へ  作者: 天方主
第一章 クズは牢獄へ
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クズは牢獄へ 第12話

 気まずい……。


 確かに、彼女のケツを公然で堂々と揉んだのは黒水だ。


 一発、ぶん殴られることは覚悟しておこう。


 彼女は早歩きで黒水に近づいた。


 黒水は覚悟を決め、歯を食いしばったが――。


「黒水様ですよね!お会いしたかったですう!」


「……へっ?」


 彼女の予想外の言葉に、黒水は素っ頓狂な声を出す。


 殴られるどころか、むしろ無理やり握手をさせられた。


「あたし、2年の佐野亜紀さのあきと申します。これからよろしくです!」


「あ、あのお――」


「いやあ、それにしても素晴らしかったです、今朝の痴漢!あんな堂々と女の子のお尻を揉めるだなんて感激です!あたし、ここまでのクズ人間に出会ったの初めてかもしれないです!」


「……………」


 褒められているのか、貶されているのかよくわからない……。


 というか、本当に今朝痴漢された子で合っているのだろうか?


「あっ!あたし、クズに憧れてここに来たんですよ!だから黒水様のようなナチュラルクズがほんっと羨ましいんです!」


「やっぱ俺のこと貶してるだろ、お前」


「そんな滅相もございません!黒水様にお尻を揉まれたとき、あたしは運命を感じました。あのとき感激して叫んでしまったくらいです!もうあたしの中では黒水様は神様のような存在なんです!」


「そ、そんなかあ……」


 亜紀は目をキラキラさせて黒水を見た。


 その目を見る限り、嘘偽りない本気が感じられた。


 黒水にとっては、逆に恐怖でしかない。


 痴漢をして喜ぶ女とか、なんていうエロゲだよ……。


 ゴミ箱にはこれほど現実離れした人間が集まる場所なのか……。


 黒水が頭を抱えていると、パンッと正面のほうから手を叩く音が聞こえた。


 見やるとそこには朝礼台に立つ、鬼の形相をした奏の姿があった。


「クズ共は黙りなさい。これから今年度初めてのゴミ箱集会をはじめるわ」

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