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よくある会話

よくある会話 その4

作者: 温故知新

よくある会話シリーズの第4弾です。

今回は、女上司と会社の男幹部とのやり取りです。

コンコン

「入って。」

『失礼します。』

「すまないね、忙しい時に態々呼び出してしまって。」

『いえ。ところで、本日はどのようなご要件でしょうか。』

「うん。今日来てもらったのは、君の率いている部署の今後についてだ。」

『今後、でしょうか?』

「うん。君の率いている部署は、我が社で1番の実績をあげている。それは、我が社にとっては非常に素晴らしいことだ。」

『お褒めいただき、ありがとうございます。』

「うん。それで、だ。そんな力がある部署の今後なのだが…君の部署に新人を入れないことにした。」

『…えっ?』

「聞こえなかったのかい?今後は君の部署に、新人を入れることを止めると言ったんだ。」

『えっと、それはどういうことでしょうか?』

「うん。君を含めて君の率いている部署は、全員が我が社のエリート揃いだ。そのような部署に、新人を置けば、未来のウチのエースが生まれると思ったのだが…どうやら、こちらが見当違いをしていたようだ。」

『見当違いというのは?』

「実力があるからといって、後身育成が上手いとは限らないってことだよ。」

『っ!?』

「おや、どうやら思い当たる節があるみたいだね。」

『いっ、いえ。特にはございません。』

「そうかい?そう言えば、君のところの新人、今日で辞めちゃったらしいね。」

『はい。私の力が及ばず、大変申し訳ございませんでした。』

「本当に、それだけかい?」

『えっ?』

「本当に、君の力が及ばなかっただけかい?」

『それは、どういう意味でしょうか?』

「はぁ・・・君、新人のことを役立たずと罵ったらしいじゃないか。それも、君を含めた部署全員で。」

『っ!?そっ、それは!学生気分を脱却させようとキツい言い方をしたにすぎなくてですね…』

「そうなのかい?」

『はい!それに、私のところにいた新人は、他の新人に比べて要領が悪くてですね、私を含めた部署全員が、どうしたら早く新人が1人前になるか考えたのですよ。』

「それで、その結果が退社だと。」

『いや、それはあくまで結果論にすぎなくてですね、私も部下達も、まさか新人が1ヶ月で辞めるとは、思いもよらなかったんですよ。』

「そうかい。ちなみに君は、新人にはどうなって欲しかったのかい?」

『はい!まずは、入社当日に最低限のビジネスマナーと部署全員の名前を完璧覚えて、そして、1週間後には基本的な仕事を完璧にこなせるようになり、そしてそのさらに1週間後には小さな案件を自分の力で成功させて、そして、1ヶ月後には大きな案件を成功させて、1人前になって欲しかったです!』

「…ちなみに、君が新人だった頃はそれが出来たのかい!」

『はい、もちろんです!そして、部下達も全員、同じように入社1ヶ月で大きな案件を成功させています!』

「そうかい。あと、君にとってのビジネスマナーとは?」

『はい!目上の者に対しての言葉遣いを完璧にマスターし、常に空気を読んで臨機応変に対応し、コミュニケーションを円滑に出来ることです!』

「言葉遣いを完璧にマスター…か。私も目上の方と話す機会があるが、正直なところ自分の言葉遣いが完璧かと言われたら、自信が無いなぁ。」

『そのようなことを仰らないで下さい!私の立場が無くなりますw』

「そう。なら、大丈夫なのだろうね。何せ、君は言葉遣いをマスターしているようだから。」

『いえ、そのようなことは…』

「何、違うのかい?さっき君は、1ヶ月でそれが出来たって言ってたじゃないか?それとも、私に嘘をついたというのかい?」

『いえ!そのようなことはありません!』

「そうか。まぁ、一先ずは君の部署に、今後は新人を入れないから、そのつもりで。あぁでも、転勤とかで人員を入れ替える場合は、事前に君に声をかけておくようにするよ。転勤のせいで、君のところから苦情がくるのは、僕としても避けたいからね。」

『はぁ、お気遣いありがとうございます。』

「うん、話は以上だ。戻っていいよ。長話になってしまい申し訳なかった。」

『いえ。失礼します。』


「はぁ、新人が辞めたいと言ったその日に退職手続きをしたと聞いたから、何事かと思えば…どうやら僕は、あの部署のことを買いかぶりすぎたようだ。

フゥ、とりあえず辞めた新人のことで外から何かしら来たら、僕が直々に対応しよう。

きっと彼女は、僕が呼び出したのか本当の意味で理解出来ていないんだろうなぁ。

彼女にとっては、今後は自分の部署に『お荷物』が来ないと分かって喜んでいるのだろうけど、新人を無碍に扱っている時点で、会社の損失だとは分からないんだろうなぁ。」

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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