表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの空の下で  作者: 里桜
4/30

4. 幼なじみ

「あの…シャンパン、どこでもらえますか?」

「あ、良かったら僕が取ってきますよ」


「どうぞ」

新しいシャンパンのグラスをセンセイに渡した。


「ありがとうございます」

ニコッと笑って、センセイは俺の手からグラスを受け取ると一気にグラスを傾けた。


おいおい、一気飲みかよ…。


「もう1杯、持ってきましょうか?」

「あ…いえ…もう大丈夫」


パタパタと手で顔を扇いで、落ち着かない様子でセンセイは言った。


「実はこれから、友人の結婚式でスピーチをするんですけど、もう朝から緊張しっぱなしで…。でも、シャンパン飲んだら落ち着きました」

「そうですか、良かった」

「ありがとうございました。それじゃ」


友人の結婚式でスピーチ…。

もしかして、結奈ちゃんの幼なじみって…センセイなのか!?


「あ、あの! もしかしてスピーチって、結奈ちゃんの…」

「あ、そうなんです。結奈のお知り合いの方ですか?」

「あ、いえ、僕は新郎の…大樹のスピーチをすることになっていて…」

「そうなんですね、松島さんのお友達の方でしたか」

「あ、いや、僕は友達ではなくて…」

「?」

「大樹のマネージャーなんです」

「え? マネージャーさんがスピーチされるんですか!?」

「もう10年の付き合いなので、やって欲しいって頼まれて」

「そうだったんですか。頼まれたら、断れないですよねー」


ふふふ、とセンセイは笑った。


「私、青山 みな です。どうぞよろしく」

「あ、山下 和也です。こちらこそ」

「山下さん…。初めまして、じゃないですよね。少し前に、本屋さんの前で…」



覚えてたのか…あんな一瞬のこと。


俺はあの後、本屋の中で店員とのやりとりを見ていたけれど、センセイが俺を見たのは、拾った紙を渡した、あの一瞬くらいだったのに。


俺が頷くと、

「やっぱりそうですよね! 背が高いなぁって印象に残ってました」



そこからは、何を話したのかあまり覚えていなくて、ニコニコ笑って話すセンセイの顔を、しばらく見ていた気がする。


微笑んだ時にできる、えくぼがかわいい…。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ