1-03『根々川会議』
「立ち上がろう、みんな! 妖精自治領に集いなさいっ!」
神紀4999年、夏至後42日。
「ここに妖精自治領は独立を宣言する!」
空には大きな入道雲が浮かび、蝉が騒つくこの日、雷雨に見舞われた根々川国妖精自治領は大きな決断を下した。
通告が根々川千鶴の元に届いたのは、正午過ぎの頃合いだった。
「……なに?」
臣から紙をもらった千鶴は、そこに書かれた文字に目を落とす。そしてしばらく睨めっこすると、
「……あー、面倒臭い」
読むことを放棄して筆で落書きすると、それを臣に突き返した。
その落書きを見て、臣が目を丸くする。
「良いのですか?」
「うん。この国のものじゃなくなれば金輪際私が手を焼く必要がないもん」
千鶴はそう返すと、肩を回してほぐすと机に突っ伏した。
「で、でしたら千鶴様。お認めの宣言をなさらないと……」
「あー、そっか。連邦に知らせないといけないのかー」
面倒臭そうに千鶴は言うと、机に顔を乗せたまま覇気のない声で言った。
「根々川国はー、妖精自治領からの独立の誓願を受け入れー、妖精自治領を国として独立させることを宣言するー」
すごく棒読みで、とてもやる気を感じられない声だったが、これが正式な宣言となった。
これを以て妖精自治領は根々川国から独立し、ひとつの国となったのだった。
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ーーー
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……なんて、なるはずないかー。
あーあ、なんでこうなった? 面倒臭いなぁ。
「……づる? ねぇ千鶴! あんたちゃんと聞いてるの?」
あー、うるさい、うるさい。聞いてる、聞いてる。
正面に座った青髪おばけ……じゃない、靜あおいが厳しい形相で言ってくる。
「私はもう手に負えないし、国の中にあんな連中置いておきたくないの。面倒だし」
私が言うと、周囲にいる神々が珍しそうな表情を浮かべている。
そして騒つく声の中に、「千鶴が意見を言うなんて……」という文言が聞き取れた。
……たしかに珍しいか。今まで面倒で会議とかまともに参加してこなかったし。和歌読んでた方が面白いし。
でも、さすがに責められたんなら、私だって反撃しなきゃいけない。面倒だけど、神としての最低限の務め。
それに、これで意見を言わないと靜の決定が全てになる。なるべく濱竹や沼の顔色を伺いながら、我が国から妖精自治領を手放す方向に持っていくことができれば私の勝ち。
連邦神議会。
これは恐ろしいものだね。なんでも靜の意見で決まっちゃうからさ。序列って面倒。
でもここで、靜に対抗できる勢力がある。それが西部の超大国濱竹と、東部諸国のリーダー沼。猪頭はあんまり発言力がないから当てにならない。
そして、忘れてはならない存在がいる。関わるのが面倒で好まないけど、靜と対立するなら味方にしておいて損じゃない奴。
「だがよ、妖精を独立させるのだって悪い話じゃないぜ?」
井谷俣治。隣国だけど、めっっっっっっっちゃめんどくさい。
ただ、今はめっっっっっっっちゃ頼りになる。
都合よく頼ろ。
「はぁ? 何がよ」
あおいは俣治の言葉に顔を顰めながら返す。するとそれに返したのは意外にも沼蛇松だった。
「連邦中の妖精をその国に集め、神類の統治域から完全に妖精を排除できるという利点がある」
沼蛇松はめちゃくちゃ頭が良い。靜からも頼られているし、靜の代理を務めて連邦を治めたこともある。
そして何より、客観的な見方ができる数少ない奴。
「そういうことだ。ここ数日で、連中と俺たちが相容れない存在であることは証明された。そしてそれは妖精だって同じ思いだろう。だから独立を訴えたし、千鶴だってそれに気付いて支持したはずだ。それを靜が独断で問いただし無かったことにすれば、連中はまた暴れ出すぞ?」
至極真っ当な意見を述べる俣治。対して靜は気に入らないのか、
「でも神のいない国など国として認められない! もしそれが国だと認められるなら、自治領は等しく国として認められることになってしまうよ」
靜するががそう反論した。
そしてするがの反論に乗っかるように、宇治枝、島谷、谷津、銀谷が乗っかる。本来なら私も乗っかるが、今回は乗らない。なんかいつもと違う感じ。新鮮だけど疲れる。
靜と対立するのは面倒。やめたい。
「自治領は国から任命されて領祖が置かれ、国の庇護下で統治をする。あれは国ではない。歴とした国家に組み込まれた存在だろ」
反論を展開する安久斗。
「じゃあそこが独立したいと訴えたらどうするの? 独立させるの?」
「時と場合によるんじゃないか? 別に神がいなくとも、統治形態が確立されていれば国として独り立ちしてもいいんじゃねぇか?」
安久斗は強気でするがに言い返す。しかしその意見は神々になかなか受け入れられない。
「おい安久斗、それならもし、日渡の兎山……じゃない、渡海自治領が独立したいと訴えてきて、萌加が独立させたとする。お前はそれを認めるのか?」
西部諸国の最東端、そして連邦最南端の国、古田崎の神、悠生が安久斗に質問した。
「ちょっと悠生、明は独立なんてしないよ!」
反論する日渡萌加。しかし今それに反応を示してしまうのはお門違いだと知った方がいい。萌加はこの面々の中じゃ少し浮いた存在だからいつものことだけど。
「感情論じゃ意味をなさんだろ。それに仮定の話だ。それを崩したら意味がない。というか俺は安久斗に聞いているんだが?」
「むむむ……」
萌加は何か言いたそうだったが引き下がった。これで少し議論の時間が延びた。早く帰りたいのに。
「明が独立を宣言すれば、それはそれで歓迎するぞ? 変な動きを見せれば制裁を下すし、国になってくれた方がいくらか扱いやすい面もある」
安久斗はその質問にそう返す。
「なあお前らよぉ、いつまで古い観念にこだわるんだ? 俺もこればかりは安久斗と同意見だ、癪だがな。神がいなくても統治形態がしっかりしていれば独立したって問題ないだろ。それに国になってくれた方が、俺たちにとって扱いやすくなる面も少なからずあるだろ」
俣治が珍しく安久斗に乗った。
「じゃああなたたちは、妖精自治領の独立を認めるというの?」
あおいが質問すると、安久斗と俣治は「そうだ」と肯定する。
「神がいないのはおろか、神類までいないぞ?」
「そんなの国じゃない」
「無神妖精国など聞いたことないぞ」
「なぜ独立を認めることができるんだ!」
「妖精の国など認めないっ!」
神々は安久斗と俣治を批判する。西の野蛮国家として知られる濱竹と、北の反統率国主義の井谷の意見となれば、神々の反発も必定といったところか。私も本来なら反発したいけど、こればかりは黙っておく。
珍しいのは、濱竹と近しい西部諸国も良い顔をしていないことか。流石に無神妖精国は認められない様子。
「だが、さっきも言った通り利点もある」
次に声を上げたのは蛇松だった。一同の視線が彼に集まる。
「妖精を一箇所に集めることで、各国の負担は一気に減る。妖精も国を持てて少しは安定するだろう。統治権は連邦が首長を任命し、連邦の庇護下でやらせれば歴とした国だ。奴らが嫌がるかもしれないが、連邦から独立させることは難しい故これで納得してもらうしかない。だが国としての独立は認めてもよいのではないか?」
蛇松の言葉に、神々は押し黙った。反論したい奴らもいたみたいだが、靜が何も言わなくなったため反応できないという様子だ。
濱竹、井谷と、連邦の国力トップ2の国に加え、東部と猪頭で影響力を持つ沼までもが認めたことを受け、靜は最終的に決断を下した。
「はぁ、分かったよ。それなら妖精自治領を含めて、靜、根々川、濱竹、井谷で話し合おう。みんな独立についてそれぞれ思うところがあることは分かった。国を絞った方がまとまりやすそうだから、4ヶ国でまた話し合おう」
神議会はこれで幕を閉じたが、これからも問題は続くみたい。
残念、ここで解決して欲しかったのに。
仕方ないか。無神妖精国なんて、そう簡単に受け入れられるはずもないし。妥当な判断か。
……面倒だけど。
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神紀4999年、夏至後46日。根々川国川根神社で靜の主宰で会議が開かれた。
招集されたのは、根々川、井谷、濱竹の3ヶ国だ。靜は連邦の妖精自治領独立反対派の代表として会議に臨む。
「んで、君らはみんな妖精自治領の独立を望んでいるようだけど、それぞれ理由を聞いてもいいかな?」
靜から会議に参加したのは珍しくしみずだった。彼は右手の人差し指の爪を弄りながら訊く。
「これ以上妖精を迫害し続けても良いことはないだろう。妖精にとって理想郷となり得るような場所を作れば、神類国家の今以上の安定と、無駄な戦いを減らすことができるだろう」
濱竹安久斗はそう主張した。
「同じ独立賛成派でも異議しかねぇな。妖精を甘やかしてもいいことはないぜ? 独立させれば奴らは必ず今度は連邦からの支配脱却を願うだろうよ。だが、そうなる前に攻め込んで滅ぼす。根々川の自治領である現状では千鶴の加護がかかり神類同士の戦争になりかねないが、独立させちまえば神類対妖精の戦争が堂々とできるようになる。つまり妖精を殲滅するのに都合がよくなる」
安久斗に続き主張したのは井谷俣治だった。
「つまり俣治は、神類国家を巻き込まずに妖精自治領を滅ぼしたいから独立させるわけか」
しみずが俣治の主張を分かりやすくまとめた。
「おいおい、妖精だって使い道はあるぞ? 迫害しても意味はないと……」
「安久斗、黙って。まだ千鶴の意見を聞いていない」
安久斗が俣治の意見に反論しようとしたが、しみずがそれを止めた。
そして意見を促された千鶴は、
「妖精自治領の管理がとにかく面倒。独立してくれた方が楽」
と簡潔に答えた。
「じゃあ根々川は、妖精の国に対して独立保障をかけるつもりは無いの?」
「断じて無い」
しみずの質問に千鶴はそう答えた。
根々川は、妖精自治領を独立させた後は一切の面倒を見ないと宣言したのだ。
「となると、靜としては尚更独立させるわけにはいかなくなっちゃったなー」
しみずはその答えを聞いてようやく顔を自分の爪から面々に移した。
「…………」
しみずの発言の意図を察して、安久斗が俣治を睨んだ。
「お、なんだやるか? 皇神種風情が」
対して俣治はニヤリと笑って安久斗に言う。
「曲がりなりにも統率国なんだが。立場を理解してほしい限りだ」
安久斗はムッと顔を顰めながら返す。
「妖精を匿う国が統率国だと? 笑わせるな、善を装った野蛮国家が」
俣治が強い口調で安久斗に返す。
「んだとコノヤロッ! 野蛮はどっちだ、この荒くれ者!」
俣治の言葉に安久斗は憤慨し、そう言い返した。
「どの口が言う。戦局に応じて味方を易々と裏切る者の方が荒くれ者だと思うが?」
「いいや、それは処世術だろ。それ以上に弱者を甚振ることを快楽として火力自慢ばかりしている奴の方が野蛮で荒くれ者だと思うがな」
俣治と安久斗の口論は続いた。お互い「ぐぬぬ」と睨み合って引かない。
それを眺める千鶴は飽きた表情を浮かべて机に突っ伏した。しみずはしばらく口論を黙って見ていたが、
「どっちもどっちでしょ」
と俣治と安久斗に言った。
「で、井谷と濱竹の意見が合わないのは分かったけど、立場は違ってもお互い独立させたいと思っているわけだね?」
しみずがそう確認すると、俣治と安久斗が睨み合うのをやめて「あぁ」と肯定する。
「またややこしくなってきたけど、靜としては無神妖精国を認めない立場を主張するよ。いろんな国の代表で出ているわけだしね」
しみずがそう言って、
「じゃ、ここに当事者を呼ぼうか。神類だけじゃなくて、奴らの言い分も聞いてもう一度考えてみよう」
そういうわけで、妖精自治領の代表、久野脇じなが会議に投入された。
「妖精自治領としては、度重なる神類の妖精迫害を許すわけにはいかず、妖精を守るためにも神類国家の中で留まり続けるのは難しいと思っています」
「でも実際、根々川の国に留まっているからこそ神類に攻め込まれていない現状もあるんだよ? 独立したら攻め込まれて滅ぼされる可能性に晒されるわけだけど、その辺は理解しているの?」
じなの主張にしみずが尋ねると、じなは頷いた。
「様々な脅威に晒されることも覚悟しています。そもそも井谷をはじめ、周辺国が妖精をよく思っていない現状があり迫害などという惨事が生まれているわけです。根々川国内で声を上げ続けても直らないのなら、いっそ大きな行動を起こした方が影響力があるはずです。なにしろ根々川に許可を取らずに妖精を匿えるようになることは魅力的です。神類にとっても国から妖精がいなくなるのだから前向きなことも多いのではないでしょうか?」
その言葉に頷く神類陣営だったが、正直言って神類にとってのメリットなどそのくらいしかない。言い換えれば妖精を良くも悪くも一掃できるチャンスになり得るというだけだ。
「でもなぁ、ボクは認めないよ。そもそも国になるためには神がいなきゃいけない。神類ならまだしも、妖精だしさぁ」
しみずが言う。じなが顔を顰めて、
「そういう神類第一主義的な考えが気に食わないのよっ! いい? 私たちは妖精なの! 妖精の国が独立するなんて前代未聞なんでしょうけどね、大昔にはあったんだからね? 妖精自治領はその時の統治形態に倣っているの! 長、右翼、左翼という役職が置かれて、その下で国が統治される。それが妖精の国の在り方よ! 真似したのは神類の方よ! それを我が物顔で『神が、統治形態が』とか言うなんて話にならないわ!」
と捲し立てるように怒る。
「だそうだ、しみず。ちなみにだが今の話、嘘ではないぞ。祖神種だったら覚えているはずだろう? 神治制確立の頃の世界の有り様を」
「安久斗の言う通りだ。妖精は統治形態を確立している。たとえ神や臣、巫女がいなくても、それに代わる役はある。それだけで理論上は国としてやっていけるはずだ」
安久斗と俣治が妖精を援護した。じなは俣治が自分の肩を持ってくれたことに心底驚き、少しばかり独立に希望を抱いた。
それを表情から感じ取った千鶴は、じなに哀れみの眼差しを送りながらこれまた机に突っ伏した。
妖精、濱竹、井谷から迫られた靜は、彼らの予想に反して割と簡単に折れた。
「はぁ、仕方ない。そこを突かれると弱いんだよね。妖精自治領の統治形態って他の神々はあんまり知らないみたいだけど、実情としてはまんまかつての妖精国家そのものなんだよねぇ。神類に滅ぼされて世界から消滅したあの貧弱国家の復刻版みたいな感じだけど、神治制の参考になったことは間違いじゃないし、否定できるもんじゃない。それを否定すれば、間接的に神治制を否定することになるからね」
しみずは珍しく長く喋ると、
「でも、ここで独立の結論を出すわけにはいかない。一回連邦最高議会を開いて、全加盟国で採択を行おう。それで認められれば晴れて独立、認められなければ今のまま自治領として存続。それでどう?」
しみずは始めからこの結論に持っていくことが今回のゴールと見ていた。つまり議論がどうであれ、この場で結論を出す気がなかったからあっさり折れたわけだ。そして靜は妖精国家など認めたくないわけであり、絶対に認めない流れに持っていきたいのだ。
安久斗、俣治、千鶴は、最高議会という言葉を聞いて全てを察した。
「おい、しみず。それはダメだろ。今ここで結論を出せ。なんのための会議だったというのだ?」
俣治がしみずに迫る。
「落ち着きなよ、ちゃんと話し合ったじゃないか。ボクは連邦諸国の代表として意見したし、独立賛成派の君たちの意見をしっかり聞いたよ。でも君たちくらいなもんでしょ? 独立賛成派なんてさ。この会議はもとより少数意見を聞くためだけに開いたわけ。いつ誰が独立の賛否を決める会議だって言ったかな? 独立反対派の方が圧倒的多数なわけなんだから、この話し合いをもとに君たちが議会で主張して説得して、賛否はそこで採択するのが筋でしょ?」
しかししみずは会議の目的をここではっきりと言った。
「この……! 後付けだろ、そんな目的は!」
「違うさ、俣治。靜は最初っからそのつもりだよ」
「黙れっ!」
俣治は痺れを切らして机を叩き立ち上がった。しかし直後、しみずが冷酷に告げた。
「黙るのは君のほうだよ、俣治。ボクは祖神種、君は始神種。ボクは統率国、君はただの加盟国。どちらが格上か忘れちゃったかな?」
空気が緊張に包まれた。俣治は舌打ちしながら椅子に座る。直後にしみずのため息が続いて事が収まる。
「これもいつもの茶番だったということか」
それを見て安久斗は口許に呆れたような笑みを浮かべながら静かな声で言った。
「…………はぁぁ」
千鶴は深いため息を残した。
「ま、そういうわけだから。近いうちに臨時の最高議会を開くね。それまでに君たちは、妖精自治領を独立させたらどんないい事があるのか取りまとめておいてね。加盟国の説得、がんばれがんばれ〜」
掌をひらつかせながらしみずは席を立って会議室を後にする。
「……おい安久斗、休戦だ」
唐突に俣治が言った。
「奇遇だな、乗ろう」
安久斗も俣治に返す。
「千鶴、お前もだ」
「……はぁ。靜とは正面から戦いたくない」
俣治の言葉に千鶴は渋った。しかし今度は安久斗が彼女を説得する。
「いいや、これは靜から売られた喧嘩だ。それに俺が付いてやる。もれなく西部も一緒だ」
「…………それなら、乗る」
千鶴が仲間に加わる。すると千鶴が、
「じな。少しの間、神治への参画を許可する。幹部として妖精国家の強みを取りまとめて」
そう指示した。
「えっ!? ち、千鶴、どうしたの……?」
じなは困惑する。
「私だって働くときは働く。極力やりたくないだけ」
千鶴は簡潔に返す。
「それよりじな、井谷にいる妖精をそちらに送ろう。今までの迫害についてはひとまず謝罪する。すまなかった。だがこの状況となった今、井谷と妖精自治領が直接交渉して妖精の引き渡しを行う環境を整えようじゃないか」
俣治はここぞとばかりにじなに近づいた。
「え、いきなりすぎる。怖すぎなんだけど」
じなはそう言うが、有難い申し出であるため断らずに俣治の言葉に乗った。
「よし、これで全員とりあえずは良好と呼べる関係性になったか」
安久斗はそう言うと、
「これより、根々川妖精自治領独立に向けた臨時の対策議会を立ち上げる。名称を募集する」
と言った。
「妖精自治領独立会議」
「安直すぎだろ、却下」
千鶴の意見を俣治が蹴った。
「妖精国生成会議」
「生成……? なんか違和感」
じなの意見を千鶴が蹴る。
「妖精国家独立戦線」
「物騒よ、却下」
俣治の意見をじなが蹴った。
「決まりそうにないから後回しにするぞ。とりあえず仮称として『根々川妖精自治領独立に向けた臨時の対策議会』な。んでこれの代表国は濱竹にしようと思うが異論はあるか?」
まとまらないと判断した安久斗が議題を変える。
「井谷でもいいぞ」
俣治が言うと、
「却下。印象が悪い。皇神種だけど統率国の濱竹の方がまだマシ」
と千鶴。俣治はひとつ舌打ちをしたが、「ま、いいけどよ」と言って折れた。
「じゃ、代表は濱竹、筆頭加盟国が井谷、続いて根々川。んで、濱竹はこの議会の議長に久野脇じなを推挙するが異論あるか?」
「「なし」」
「じゃ、じなが議長」
「えっ、私!?」
じなの驚きには誰も触れず、話し合いは続く。
「今後加盟国が増えることを見越して、会場は濱竹国浜松神社の小議事室とする。議会は今日を含めて5日に1回、暮れ方より始める」
安久斗が言うと、各々が頷く。
「よし。これから頼んだぞ」
安久斗の言葉で解散となる。
こうして妖精自治領の独立に向けて、とりあえず3ヶ国が動き出した。




