第30話『日渡の上神種家』
靜から日渡に帰ってきたのは、その翌日の午後のことだった。
裁判は終わったものの、やるべきことはまだ山ほど残っている。
……そりゃあもう、嫌になるくらい。
でもこの日は長旅で疲れていたから、やるべきことを翌日に回してゆっくり休むことにした。
「それで、ここからが重要なんだけど」
翌日、本殿に集まった僕らに向けて、神様がそう言葉を口にした。
「次の臣、誰にしよう?」
そう、僕らの前に立ち開かる課題とは、兄の後を誰が継ぐかである。
といっても、候補はたったの二人。
僕か、大志か。
「わたしとしては、大智にやってほしいなって思うんだけど……」
「断固反対ですっ!」
神様の言葉に対してそう言ったのは花菜だった。
僕もやりたくないから花菜がそう言ってくれるのはありがたいんだけど、それはそれで少し悲しいというか、断固反対という強い言葉を使う必要があるのかなぁ。なんか傷つくし。
「私は大智に臣が務まるとは思いません。神治に対する意欲は皆無だし、自由人だし、自分勝手に神治しそうだし。臣は神様に次ぐ日渡の顔です。そんな大役が大智では舐められますよ」
花菜はそう言って、僕に「ね?」と同意を求めてきた。
……心底、複雑な気分だよ。
花菜が言っていることは正しいし、僕も支持したい。でも、でもだよ。なんだかなぁ。
「僕だって継ぎたくないよ。臣になったら本読む時間もなくなっちゃうし、外交とか不安でしかないもん。人と話すことはちーにぃの方が得意じゃん。そういう点じゃちーにぃの方が向いてると思うけど」
大志がそう言う。
「だけど、大智じゃいつか他の国に無礼を働きそうよ? 日渡の名前に泥を塗りそうで怖いよ。その点大志なら安心できる。色々弁えてるし、礼儀作法だってしっかりしてるもん。そう思わない?」
花菜は大志を説得にかかる。大志は「うーん」と唸って考えている。
「でもさ、大智は法律の改正をしたいんだよね? この前も言ったけど、それなら臣になった方がいいよ?」
神様がそう僕に言ってくる。
「それでも嫌です。臣という大役が僕に務まるとは思えませんし、花菜の言う通り舐められて終わりですよ」
「そんなこと言ったら、大志だって若すぎる……というか子供だし。舐められると思うけど?」
神様が僕の言葉に反論する。
僕もまだ成人はしてないんだけどな……
「行動や言動で舐められるのは救いようがありませんが、歳で舐められるなら全然挽回の余地があると私は思います。大志が臣をやったら、最初は舐められるかもしれませんが、次第にこんな小さいのにすごいねって言われるのは目に見えますよ。大智だと絶対にそうはなりません」
神様の言葉に花菜が言う。
「そうかなぁ……」
神様は、左手で髪の毛をくるくる弄りながら唸った。
そして不満気に言う。
「わたしは大智みたいな臣がいてもいいと思うんだ。というか、安久斗や恭之助みたいな新しいものを積極的に取り入れていくスタイルの神々ならわたしと同じ考えを持っていると思うの。それに正直、堅苦しいだけの臣には飽きたんだよ。大智みたいな異端分子がいてもいいと思うけどなぁ」
いや、堅苦しいだけの臣って……
しれっと兄や父をディスってませんか?
「でも堅苦しさも大事ですよ? 靜様なんか絶対に異端分子なんかみとめなさそうじゃないですか。みんながみんな萌加様のような神様ばかりじゃないと思いますけど……」
花菜がそう言うと、神様はムキッとして言う。
「あーもう、そうだよ、そう! わたしみたいな神ばかりじゃないのは知ってるよ。でもね、でもだよ、わたしは堅苦しくなくてもいいって思うんだよ!」
うわー、子どもだぁ……
自分の主張しかしてこないじゃん。
と思っていた時、神様がひとつため息を吐いて言った。
「でもそれで日渡の印象を下げるのも嫌なんだよなぁ。印象下げてまで型破りな臣を採用するってのも違うだろうし。はぁ……」
そう言った神様はボーッと庭を眺めた。
そして、こう呟いた。
「いっそ、臣も巫女も総入れ替えしてみようかな……」
「へ?」
「は?」
「はい!?」
その言葉に、大志も僕も、花菜も驚く。
「いや、神様。総入れ替えもなにも、日渡の上神種はここに全員揃っていますよ? それに巫女を入れ替えるのは不可能じゃないですか? 上神種の女子は私だけですし、大智や大志に女装させて巫女をやらせるつもりですか? そんなのダメです! 断固反対です〜!」
花菜は神様に対してギャーギャー物申す。
ほんとにうるさい巫女だな。
でも花菜の言う通り、今この場にいる僕らだけで日渡にいる上神種は全てだ。総入れ替えなんて不可能ではなかろうか。
「それがね、居るんだよ」
神様は、花菜の言葉にめんどくさそうに返す。
「なにがですか?」
花菜がそう訊くと、神様は僕らを見て言った。
「あなたたち以外に、上神種が。ここ日渡に」
僕らは全員、驚きに包まれた。
「「「えぇぇぇぇぇぇ!!」」」
日渡に、僕ら以外にも上神種がいる。その事実を明かされてから3時間ほどが経った。神様は外出なさって、僕ら3人は本殿に取り残されていた。
ちなみに神様はその上神種を呼びに行くと言って出て行った。……が、遅い。他の上神種がどこにいるかは知らないが、日渡国内だったら神様は5分以内で飛んでいけるはずだ。そこから歩いて連れて帰ってくるとしても、2時間くらいで来れるはず。
まさか、なにかあったんじゃ……
「お待たせ。連れてきたよ」
僕がそう思った時に、庭から声がする。
庭に目をやると、そこには神様と3人の男女がいた。
そのうちのひとりは既に知り合いで、兎山明さん。元兎山国の神様だ。
他の二人は初見さんだ。
「はじめまして。日渡派の上神種家のみなさん。御厨こずえと申します」
肥えた中年の女性が僕らに挨拶する。
「同じくはじめまして。鎌田淳太郎だ」
こずえさんの横にいたひょろひょろの男がそう名乗った。
「日渡国巫女、豊田花菜です」
次に名乗ったのは花菜だった。
僕も続かないとな。
「日渡国臣家次男、磐田大智です」
「同じく三男、磐田大志です」
僕が続くと大志も挨拶をした。
「これはご丁寧にどうも。日渡派の皆さんは臣様が亡くなって苦しいでしょうに。本当にお可哀想……」
こずえさんはそう言って、わざとらしく憐れみの声を上げる。……なんだろうな、結構この話し方怒れるな。
にしても、引っかかるなぁ。さっきからこのおばさんが言っている『日渡派』ってなんだ?
「やめなさい、こずえ。『日渡派』という表現は良くないわ。あなたたちも今は『日渡上神種家』の1家なんだから」
こずえさんに声をかけたのは明さんだった。
「あの、その『日渡派』ってなんですか?」
僕は明さんに尋ねてみる。
明さんは少し気不味そうな顔をしながら答えた。
「簡単に言えば、日渡国を認めていない立場が使う言葉よ。今から350年くらい前、兎山では日渡に国を譲ることに賛成派と反対派が混在していたの。その賛成派は『日渡派』、反対派は『兎山派』と呼ばれたわ。何年か論争が続く中で、互いに仲が悪くなってギスギスしていった。そんな中で神治するのに私も嫌気が刺して、決着がつかないまま萌加に国を譲っちゃったの。国を譲ったときに、日渡派の上神種家は臣と巫女になって国を仕切るようになったわ。でも対立していた兎山派は神治に関与することが許されず、今やその存在すら忘れ去られている状態。それで今に至るってわけよ」
「そ、そうなんですね……」
初耳だ。日渡伝書にだって書いてなかったじゃないか。そんな大事なことは書いておいてほしかった。
まぁ、そんなことはどうでもいい。
とにかく、僕ら以外にも上神種がいるなら、この後継騒動終結に光が射すかもしれない。
日渡の建国を認めない兎山派というのは、きっと目の前にいる御厨家と鎌田家のことだろう。そうなると、彼らは僕らのことを快く思っていないはずだ。
ではなぜ、快く思われていないのか。きっとそれは、僕と花菜の先祖が彼らを神治に参加させなかったからではないか。
家ぐるみで仲が悪いと言っても、僕と花菜には彼らの情報は一切ないし、印象もなにもあったものじゃない。だったらこれから、彼らに「今の日渡派は昔とは違うんだ!」と見せつければいいのではないか。
そのためには……
僕の頭をひとつの案が過ぎる。
上神種家が4家あるなら、このアイデアは実現可能だ。
そう思い、僕は声をかけた。
「あの、暑いですし、立ち話もなんなので本殿にあがりませんか?」
僕のその声で、一同は本殿に上がった。
本殿にあがり、萌加様と明さんが正面に座る。僕と花菜と大志は東側に、そしてこずえさんと淳太郎さんは西側に、僕らと向かい合うように座った。
「ひとつ、提案があります」
僕はそう切り出す。
「なんでしょう?」
こずえさんがそう聞いてくる。僕は提案内容を語った。
「次の臣は、濱竹を参考にして上神種家で試験をして決めませんか?」
「えぇ!?」
「はぁ!?」
僕の提案に、花菜と大志は目を丸くした。
「待ってよ、濱竹を参考にするって、家庭代表で試験やって決めるってこと?」
花菜がそう聞いてくる。
「そうだけど?」
僕が答えると、大志が言う。
「それはできないんじゃない? そもそも、その制度は分散神治じゃなきゃできないでしょ。日渡は集中神治だから、神治制度が根本的に異なってるよ」
反対する花菜や大志。しかし、兎山派からは肯定的な意見が出てきた。
「それができれば、ワタクシたちが神治に返り咲くことも夢ではないですわ。ワタクシはその意見を支持します!」
「そうだな。320年ぶりに神治の座に返り咲けるチャンスがあるなら、それに縋るのが賢明だろうな」
そうして意見は賛成派と反対派に分かれてしまったが、決定権は神様と明さんにある。
そして、決定権を握る神様はというと……
「いいじゃん、大智! それ、採用っ!」
と、ノリノリで僕の提案を決定してしまったのだ。
「ちょっ、神様!? 集中神治制なのに……」
花菜は焦る。
「大丈夫だって。この際だから大きく改革しちゃってさ、この国も分散神治にしちゃおうよ。ついでに巫女の入れ替えもやろっか」
相当ノリノリな神様。計画性があるか怪しいけど、本当に大丈夫なんだろうか。
「分散神治にするって言っても、そう簡単にできるのかしら?」
明さんが神様に訊く。
「法律上、安久斗とあおいたちに許可取ればできるはずだよ。しかも状況も状況だから、それを説明すればすんなり許可してくれるんじゃないかな」
しかし神様はさらりとそう返す。
分散神治にするということは、役職を増やすということなのか? 今の状態でも日渡は小国だから正直賄えているはずだけど……
「じゃ、わたしは靜に行ってくるね。すぐ帰ってくるから!」
そうして慌ただしく出て行く神様。
思いついたら即行動、後先考えずにただただ突き進んでいるようにしか見えなくて、かなり不安に思えてくる。
「はぁ。大丈夫かしら」
明さんもかなり心配しているようで、そんな声を漏らしていた。
「大智! あんたなにぶっ飛んだ提案してくれちゃってるのよ!? 神様その気になっちゃったじゃない!」
花菜が僕を激しく揺する。
「落ち着け、落ち着け。せっかく僕ら以外にも上神種家がいるんだったら、全員で手を取り合って国を前に進めていけばいいじゃん。なにも僕らだけで神治を牛耳る必要はないわけだし、今僕らが抱えている後継騒動だって試験制にしちゃえば一瞬で片付くじゃん」
僕は揺さぶられながらそう花菜に伝える。
「そうだけどぉ〜!」
僕の言葉を聞いて花菜はそう言う。理に叶っているとは思っているようだが、何かが納得できないのか僕を揺さぶることはやめない。
お願いだ、やめてくれ。酔いそう……
「ちーにぃ、やるからにはちゃんと勉強してよ……?」
揺さぶられる中、大志からそう言われた。
「な、なんのことかな?」
僕がそう答えたら、大志はジト目で僕に言う。
「もしかしなくてもちーにぃ、勉強しないで家庭内試験に挑んで、僕に負けて臣になることを避けようとしてるんでしょ?」
「うぐっ」
そ、そんなことはない…………と言い切れないんだよなぁ……
このタイミングでようやく花菜の腕が疲れてきたらしく揺さぶりが終わった。
あぁ、死ぬかと思った。
「はぁ。それは許さないからね? 提案したからには精一杯まで勉強して僕と戦ってよ? でないと、僕は白紙で答案出すよ?」
大志が僕にそう言った。
「二人とも仲良く0点取るとどうなるんだろうね」
僕がそう返すと、大志はイラッとした表情で僕に言った。
「追試だよ、つ、い、し!」
「じゃあ追試でも……」
そう僕が言った時、明さんが僕らに向けて言った。
「試験で手を抜いたら死刑にするようにしようかしら。臣が決まるまで実権は私と萌加にあるのは覚えているでしょう? 試験法って法律を作っておくわね」
「……………」
それはやばいな。
試験で手を抜いただけで死刑とか、恐怖政治にも程があるでしょ……
とはいえ、それは大志にも適用される。
こうなると、僕に勝ち目はなくなってくる。
いや、ある意味勝ちなのか? 家庭内試験で落ちることができれば、どう足掻いても臣になることはない。つまり僕は、この訳の分からない法律のおかげで助かることになるのかもしれない。
うん、素晴らしい。
一方、大志もそのことに気付いているようで、ひとりで絶望に浸っていた。
「ふっ、計画通り」
僕がそう言うと、本気の舌打ちが返ってきた。
こりゃかなり不機嫌なご様子で。
僕は彼を少しそっとしておいてあげることにした。
ーーーーー
ーーー
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神紀4997年、夏至前2日。靜国にて。
日渡萌加は3日ぶりに静岡神社にやってきた。
3日前とは打って変わって、現在の靜国はかなり騒がしい。というのも、あと2日で夏至、すなわち『逆元旦』であるからだ。
逆元旦は、神類文明において半年の経過を祝う大事な日という位置付けになっている。そのため、靜連邦では毎年ここ靜国で、逆元旦に『祝賀祭』が催されている。現在、その準備中というわけである。
そんな状況の静岡神社に押しかけた日渡萌加は、早速靜の三大神の長女、あおいと話をする。
「あのさ、日渡の臣を決めるために分散神治制度を取り入れようと思うんだけど……」
萌加がそう尋ねると、あおいは目を丸くして訊く。
「いや、やること自体は全然構わないけどさ、日渡って上神種家は2つしかないんじゃない? それで分散神治は……」
あおいは日渡国に上神種家が4家あることを知らない。兎山国の時代にはまだ連邦は成立していなかったため、彼女はかつての兎山の実態を知らないのだ。
「ううん、実はね、日渡には上神種家は4つあるの。だからこの際、分散神治制を導入して臣も巫女もそう入れ替えしちゃおっかなって」
あおいは初めてその情報を聞いて驚いた。しかし、それなら分散神治をするのに何ら問題ないと考えて許可を出す。
「いいわよ。萌加の国なんだから、あなたが思うようにやればいいじゃない。他国の内政不干渉の条約があるから、これ以上は私たちが口を出せる話じゃないわ。安久斗にも一応話を通しておいてね」
「うん」
まずは靜から許可を取ることができた萌加は、続いて西へと飛んでいく。
そして濱竹の浜松神社へとやってきて、安久斗に話をした。
濱竹安久斗は、それに対して笑った。
「いいじゃねーかよ。なにも小国が分散神治しちゃいけねーなんて話はねぇからな。先駆けてやってみりゃいいんじゃねーの? 俺は支持するぜ」
そんな軽い感じで許可が降りて、日渡の分散神治制導入は決まったのだった。
ーーーーー
ーーー
ー
「たっだいまー!」
弾んだ声で帰ってきたのは、もちろん神様だ。
彼女は高らかにこう宣言した。
「許可は降りた! よって、日渡は以後、分散神治制を採用していきますっ!」
とりあえず、拍手。
「おー!」
「素晴らしいわ! これでワタクシたちも神治に復活できますのねっ!」
兎山派はかなり盛り上がっている。それもそうだ。役職数がどうなるか分からないが、上神種家が4家しかないとなると、役職に就ける可能性はグッと上がる。それに今の磐田家と豊田家の学力はお世辞にも高いとはいえない。ガキ相手に大人が本気で勝負をすることになるのだ。それは勝った気でいるのも同然だ。
でもなぁ、なんか気に食わない。
兎山派と日渡派とかっていう訳の分からない構図はもう捨てていいと思うけど、なんか向こうの態度ってこっちを刺激してくる何かがあるんだよなぁ。
それがどうも気に食わない。
最初の「可哀想」という発言も、言葉では表せないくらいにイラついた。兄を失った気持ちが、あんなクソババアに分かるもんか。いや、分かってたまるもんか。
なんだろうな、特にこずえさんなんだけど、かなりウザいんだよなぁ。仲良くなれなさそうな気しかしない。
まぁ、家庭内試験での家庭代表が役職の座を争うことになるだろうから、僕はおそらく本試験では戦わないけど。
でも、それでも大志に頑張ってほしいものである。
精一杯応援しておこう。
……え、他人事? 気にしちゃいけないよ。
「さて、それで分散神治制を採用するに当たって、臣と巫女以外にも役職を作りたいと思います。まぁそれは明とわたしで決めるから、明日にでも伝えるね。てことで、御厨家と鎌田家のおふたりは解散していいよ〜。忙しいのに来てくれてありがとね」
神様は明さんの横に座るとそう言った。
「我々に機会を与えてくださり感謝しますわ。それでは続報をお待ちしています」
「ありがとうございました。失礼します」
そうして2人は帰って行った。
「ふぃぃ……」
2人が完全に見えなくなってから、神様はため息を吐いた。
「変わってないね、御厨家」
そして明さんにそう言った。
「ごめんね、あんな態度で。兎山の臣家だったから、あなたたちに対してかなり敵意があるのよ」
「それをまだ引きずるその器の狭さ。なんていうか、ほんとに御厨って感じ」
神様の口調がかなりキツい。
……もしかしなくても、怒っている?
「私も困ってるわよ。永神種に戻る気はないんですか、神になる気はないんですか、国土を取り返さなくていいんですかって。あなたに国を譲ってからずっと言われ続けているのよ。面倒だから絶対やらないし、戻る気もさらさらないけどさ」
明さんもかなり困っている様子。
「ま、これで神治に参加できるようになるわけだから、日渡嫌いも終わってくれるといいな」
「ほんとにね。それを切に願うばかりよ」
神様と明様はそう言って頷き合う。
ずっと昔からの面倒事を、この際一気に片付けちゃおうという魂胆なのかもしれない。
そう思っていたら、神様と明さんが僕に向けて言った。
「大智、名案だったよ」
「ええ、そうね。本当によく働いてくれたわ」
案の定、そうだった様子。
というか僕ら、上手く使われた……?
臣が決まらないことをいいことに上神種が他にいることを切り出して興味を惹かせ、僕が保身に動き分散神治制を提案することを見越して、そして今に至っているのだとしたら。
うわ、嵌められたなぁ。
「きゃはは! 大智、百面相してる! きゃはは!」
神様がそう笑う。
なんか、すごく負けた気持ちになった。
きっと生前、神治をしていた時、兄さんも何度か同じような気持ちを体験したんだろうな。
……決めたよ、兄さん。
僕はこれから、永神種を侮らないようにするよ。
御厨こずえ 身長155cm 年齢47歳
鎌田淳太郎 身長172cm 年齢47歳




