表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

季節は変わり続けるが、小さな硝子玉に映る君はとても綺麗だ。

作者: 紀希



新人看護婦さん「~さん。調子はどうですか~?


おかわり、ありませんか~?



御飯美味しかったですか?


何かあったら呼んで下さいね。」



目に映る景色は人によって、


見え方や色の具合やらの、


ばらつきがあったりするけど、



場合によれば、


存在すらも異なるのだろうか。



"とても綺麗だ。"



僕はいつからか彼女の虜になってしまった。



何故こうなったのか、



どうしてそこに居るのか、



どうゆう構造なのか、



僕には何もわからない。



"ただ、彼女はこの小さな硝子玉にしか映らないようだ。"



声を出そうにもそれは口に出す前にかき消され、



僕の腕では彼女の世界に届くはずもないだろう。



ただ、過ぎ去る時間と共に彼女との季節を過ごす。



ベテラン看護婦さん「~さん。体調はどう?


おかわりないかな?


お薬の時にまた来ますね。」



外の景色は時代と季節と共に変わりゆく。



だが、私の居る環境は何の代わり映えもしない。



でも退屈等はしない。



彼女を観ているだけで、それだけで、私は幸せだ。



とても、温かく、


何処か懐かしいような、


そのような感覚にも囚われそうになる。



そんな感情に捕らわれると、恥ずかしくも涙が出る。



一体どうしてこうなってしまうのか、わからない。



新人看護婦さん「~さん。調子はどうですか~?


おかわり、ありませんか~?


~さん泣いてるんですか?


何処か痛いんですか?」


ベテラン看護婦さん「~さんね、たまにそうなるのよね。


ずっと何も喋らないで、ビー玉を見つめてて。


~さんには何か見えているのかも知れないね。


まあ、あんな事故があったんじゃ、


報われないわよね、、」


新人看護婦さん「、あの事件ですか??


バスジャックの、巻き込まれたってやつの、、」


ベテラン看護婦さん「そう、、


あまり、こうゆうのしちゃいけないんだけどね、


犯人が旅行客の大型バスをジャックして、


暴走したあげく、そのまま何台か巻き込んで、


運悪くちょうど土砂崩れかなんかで、道路が使えなくて、


横転した車から引火したみたいで、そのまま、、」


院長「んんっ、、」


ベテラン看護婦さん「あぁ、あ、次の仕事が、、」


院長「、、、



もう少し、早く処置を施せたら、


助けられたのかも知れなかった、



だが、この世界では


たら。


れば。


等は無いから。



命は儚いのだよ、



少しでも私の力で誰かを救えるのなら、

医者として、冥利に尽きることはないよ。



、君も頑張ってくれ。」


新人看護婦さん「、、はい。」



ゆっくりと進んでいるようで時間は刻々と、過ぎていく。



私の見えている景色が着実に変わるように、


私の体もゆっくりとシワが増えて、


歩くのもやっととなってくる。



元新人看護婦さん「~さん。調子はどうですか?


~さんとの付き合いも長いですよね~。


私も歳をとりましてね、、


先輩も定年退職しちゃったし、、


私も後輩が出来て、なかなか手がかかりましてね、、



は~ぁ。この景色も最後ですかね。


老朽化が進んで、新しく近くに建てるそうですよ。


なんか、寂しいですよね、、」


新人看護婦さん「先輩、、すいませーん。


~さんが、、」


元新人看護婦さん「はーい。今行く。


また御飯の時に来ますね。今日はおでんですよ。」



何度目の季節だろか。


君の居る季節にはどれも花が咲いている。


春は桜。


夏は向日葵。


秋は金木犀。


冬には君の好きな黄色い水仙が。



思い返せば、君は私から離れる事はなかった。


ずっと見守るように、優しく微笑んでくれたね。



でもどうやら、


君との大切な時間とやらは待ってはくれないようだ。



呼吸が乱れ、


起きている時間が段々と、



短くなってくるのを感じるよ。



君と会えないのは寂しくて何だか心細い。



?、、



そうか、、君は、、、、



新人看護婦さん「~さん!!


すいません!誰か、、、」


元新人看護婦さん「~さん!!


大丈夫ですか、?、、、」



目映い光と共に優しくも温かい、


まるで日差しのような温もりに包まれる。



奥さん「おかえり、、」



男「ただいま。」


























評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ