代替品
あなたは誰を見ているの?
あなたは僕を見ちゃいない
あなたの瞳は僕じゃない誰かを見ている
僕と唇を重ねながら、僕じゃない誰かと唇を重ねてる
互いの唇に架かる橋は僕とあなたを繋いでない
あなたにとって僕は何なの?
誰の代わりなの?
僕は一番になれないの?
あなたは酷い人だ
人のことを弄んで……
その嬌声だって僕に向けてじゃない
僕を押し倒したその指だって、僕に触れちゃいないんだ
あなたは酷い人だ
甘い声で僕に囁く
今日こそは絶対にと思っても、気づけばあなたに頭を撫でられている
幸せな気持ちになっている自分がいる
そんな自分が嫌い
僕はあなたが大嫌い
狡くて優しくて意地悪なあなたが大嫌い
でも、あなたが去った部屋であなたの残り香に包まれて眠ると気持ち良いんだ
嫌な夢を見ないんだ
あなたは酷い人だ
玄関のチャイムが鳴る
あなたはドアの向こうでどんな顔をしてるの?
苦しむ僕をせせら笑ってるの?
僕は自分が嫌い
都合のいい自分が嫌い
ドアのチェーンを外して鍵を開ける自分が嫌い
あなたの顔を見て満たされる自分が嫌い
「待ってた………」
今夜もあなたに心を溶かされる自分が大嫌い