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エッセイシリーズ

いま、飛ぼうとしているあなたへ

掲載日:2016/11/24


あのね。

べつにね。

そんなあなたを止めるような権利もなんもないし、

「生きてりゃいいことあるよ」なんてね、

簡単には言えないんだけどね。


飛ばれたことある身から言わせてもらいたいこと、

あるから言うね。


そのあとの、あなたのお通夜での、

あなたのお母さんの顔、本当に見たいの?


ほんとうに?


わたしは、見たことあるんだよ。

友達のお母さんの、そんな顔。


どんな顔だったと思う?

そんなときのお母さんに、なにが言えたと思う、わたしが。


「苦しまなかったでしょうかね」って、

掠れた声で言っただけだよ。

あとはもう、声にもならなかったさ。


あのね。

死ぬって簡単にいうけどね。

ほんとにそれでいいの?


「生きてるって素晴らしい」なんてね、

簡単に言えないのもわかってるよ。


世の中、きれいごとじゃ動いてないし、

汚い野郎どもやら女どもがうようよいるし。

そんなこたあわかってんのよ。


でもね。


「生きたい、生きたい」って、喉からほとばしるようにして思ってても、

生きられなかった人がたくさんいるんだって、本当にわかってる?


わたしはね。

目の前でがれきに埋まって、

お父さんやお母さんにも掘り出してもらえなくて、

苦しんで死んでった小さな子供や若い人たちが、沢山いる街に住んでいる。


だからこれは、ただのお願いだ。

べつにあなたを縛るわけじゃないんだよ。


……たださ。


ねえ。

簡単に、その命をなくしてしまわないでくれないかな。


おばちゃんにも、いろいろあったさ。

ほんと、十代のころにも、二十代のころにも、

「ああ、もう死んじまおうか」って思ったことも何度もあるよ。


でもさ。

目の前で、「生きたい、生きたい」って思いながらも死んでった、

そんな人たちを見てきたらさ。


「そんなことはできねえよ」って、やっぱり思ってしまったんよね。


だから今、わたしはここに生きてるよ。

勿論、いつかは死ぬ命。

そんなこたあわかってんのよ。


んだからこれは、よくあるおばちゃんのお節介。



飛ぶな。


生きろ。


生きてこその、命じゃんかよ。



ご感想の中で、「ただ闇雲に『死ぬな』と言っている」「命令された」と誤解をなさったかたがあるようなので、補足をしておこうと思います。


そのようなことを「命令」できる人などいません。

作中にも、「そんな権利はない」とも書かせていただいております。

ですから、これは、ただ身近な人に勝手に逝かれてしまったことのある人間の、ただの「お願い」であり、「叫び」です。


それを受け取ってくださる方が、もしも、ひとりでもおられれば、との思いから書いたものです。

いま現在、それぞれのお立場で、非常につらい状況にある方々のお気持ちを無にするつもりも、いっさいありません。

ご理解のほど、どうぞよろしくお願い致します。


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― 新着の感想 ―
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2016/12/23 13:04 退会済み
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