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初めて出会う人外は吸血姫!?



チュン、チュンチュン


心地よい朝日が差し込むなか、布団にくるまり寝息をたてる少年。


彼の名前は天草結城。頭がよく、イケメン、お人好しな自称一般人である。


結城は気持ちよく寝ているが、彼の枕元においてある目覚まし時計は、お構い無しに鳴り響く。


ジリジリッ!ジリジリッ!


「んあぁ、うるさいな……あと10分。」カチッ、


一度は起きた結城だが、目覚まし時計を止めると、またくるまり寝息を立てた。



~~~10分後~~~



結城が二度寝してから10分丁度たったとき、いきなり起き上がり時計を見る結城。


時計が刺すのは9時10分。時計を見た彼の顔は青ざめ、ついには白くなっている。


「やらかしたぁぁぁぁぁぁぁ!!」


突如叫んだ彼は急いで着替える。今日は彼にとって大事な高校入試の日。今日を逃せばチャンスはない。故に、彼は焦っていた。


「なんで今日に限って……親が記念旅行で居ねぇんだよぉぉぉ!」


結城は親がいないことを完全に忘れていた。



─────────────────────────



「いってきまーす!」


家の戸締まりを忘れずにすませ、朝食を簡単なもので済ませた結城は急いで高校へと向かう。


「(ヤバイヤバイヤバイヤバイ!少しでも遅れたら試験場に入れない!)」


今の結城の速度なら余裕で高校につくだろう、だが、今日の彼の運気は最高に不運である。友達の後ろ姿かと思い声をかけたら別人だった位不運である。結果────


「…………………………」


高校にはついたが閉じられた校門。案の定、時間に間に合わなかった。結城は地面に膝をつき、まさにorzの体勢。


理由は簡単。ここにつくまでに全ての信号に引っ掛かったのである。当然ながら時間は待ってくれない。


少年はゆっくり立ち上がると、幽鬼のような足取りで帰路についたのであった。



──────────────────────────



帰り道は商店街を通って帰るが、商店街に店を構える人たちから見たら、結城がいつもと違うことぐらいわかるだろう。


「あぁ………どうしよう………はぁ、」


声をかけようにも結城の周りの空気が話しかけないでくださいと物語ってる。




家がある住宅街についた結城は、その手前にある公園に腰を下ろしていた。


「怒られるだろうなぁ………また、あいつとの約束を破っちまった。」


あいつとは結城の幼馴染の新庄真理恵である。向こうが結城のことをライバル視しているが、結城からしたら良き友達と思ってる。


周りからみた結城と真理恵は新婚夫婦みたいな感じらしい。何故だ。


「………か…………け……て」

「ん?誰かいるのか?」


人気のない公園の何処かから声が聞こえたのを結城は見逃さなかった。


声のする方は小さな林の向こう側。気になったので見てみると………


「っ!?おいっ!大丈夫か!」


結城より少し背が小さい女の子が顔を青白くして倒れていた。




────────────────────────────





一先ず少女を背負い家まで運ぶとベットに寝かせ、水を渡した。


「ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ、ぷはぁ!いや~助かったよ。」


ははは、と笑う目の前の少女は驚いたことに、人間じゃなかった。



「………あんた、亜人か?」

「そうだよ。吸血鬼族、名前ぐらいは知ってるでしょ?」



────吸血鬼族、亜人の中でも位の高い『五貴』とよばれる五種族のなかの一種族。人間に積極的に関わろうとしていることで有名で、確か亜人代表者も吸血鬼だった。



「じゃあ、そんな高貴な種族のお方がこんなところで行き倒れてなにやってんだよ。」

「す、好きで行き倒れた訳じゃない!ただ、ちょっと道に迷って………」

「迷子か。」

「うぅぅ~~」



顔を赤くして布団にくるまる吸血鬼。



「……あんた、名前は?俺は天草結城だ。」

「うぅぅ……グスンッ、僕はメルシィール・ダンピー……皆からメルシィと呼ばれてる。」



結城は、顔を赤くして泣いている吸血鬼の少女──メルシィに手をのばす。



「仕方ねぇからつれてってやるよ。場所を言え。」

「………え?」

「え?じゃねぇよ。今日は高校の試験に受けれなかったから機嫌がよくないんだよ。気が変わらない内に早く言え。」

「……私立魔境人外学園。そこに僕の母様がいるんだ。」



結城は耳を疑った。私立魔境人外学園……そこに母親がいることに。



「それよりも結城。」

「ん、なんだよ。」

「ちょっとだけ……血を飲ませて貰っていいかな。喉が渇いてしょうがないんだ。」

「…………そういえばお前吸血鬼だったな。いいよそのぐらい。」



結城は袖をめくるとメルシィの前にだした。



「じゃあ、失礼するよ。」カプッ

「ッ………!」



噛まれた際の一瞬の痛みに顔をしかめるが、お構い無しにメルシィは吸い続ける。

10秒ほど吸われつづけてようやく離れた。



「……とっても美味しいね。結城の血液。」

「そりゃどーも。さっさといくぞ。」



そうして二人は並んで家の外にでるのであった。



しかし結城は気がつかない。この出会いが、結城の運命に大きく関わることを、運命の歯車は、今、動きだす。

どーも作者です(´ー`)ノ


今回、結城君が血をあげましたね。戸惑い無くあげたのには一応理由があります。


設定としては、人類はできるだけ亜人の要望に答えるよう、みたいな法律があると考えて頂ければ良いです。


では、また会いましょう。

次回、ようやく学園に到着します。



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