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story7

今回はまさかの先生のターンです。

 武は兄馬鹿、俗に言うシスコンたということが発覚してから二日がたった。

 思い出すだけで「あー」と叫び、耳をふさぎたくなるほどの義妹愛を悠馬に語っていた。

 そしてそれに反撃して私の昔の赤裸々な過去を無駄に暴露していく幼馴染。

 それに対して母さんは凄い勢いで食いついていた。

 全力で武と悠馬の顔面を殴っておいた。

 まったく酷い心にダメージを受けたGWだったが、結構楽しかった。

「どーしたの明日香」

「嗚呼、ちょっとゴールデンウィークが騒がしくて」

 現在、昼休み。周りが雨で茶道室に行く気力がなかったので珍しく教室で昼食をとっていた。

 声をかけてきたのが椎名梓さん。

 この作品の主人公。完全なる美少女。もう食べてしまいたいほどの。

 まぁ、今もまだ絶賛男装中。どうにか説得した末に許可を下してもらったが、高卒までに婚約者を作らないといけないのだ。

「助けてアズえもん、僕のライフはもうゼロだよ」

「しょうがないな、明日太君は。ててってて~ん『飴』」

「今日の天気とかけて見ました、って感じかな?ありがとね」

 ええ子や、なんてええ子なんやろ。

 ああ、もう百合な道開いてもいいですか?

「それでどうs『2年A組多賀明日香、2年A組多賀明日香、至急生徒会室までこい』……これ?」

「違う、違くないけど違う」

 ここ最近、ゴールデンウィーク少し前からよく生徒会室に呼び出しを食らう。

 話した感じ的には私が気に入らないそうだ。

 成績は大抵一番だし、そこそこ有名な家柄だし、何より、梓さんと仲がいいのが気に食わないそうだ。

 ……酷いよな。

 嫉妬心を焼いた小学生かよ。

 はぁ、今日はどんなお説教だ?




 ……えっと、笑いがこらえることができません。

「なんで梨乃にぃ靡かないの!」

 私が生徒会室に入ってきた直後に、あのビッチギャルと名高い松原梨乃が乱入していた。

 そうするとすぐに会長の近くに行ってこのゲームの会長のイベント的なことの確信をついて話をしてくる。

 そして、会長の一言。

「いい加減にしろよ、このストーカー女」

 それに対して松原はぶちぎれる。

「いや、普通に考えてないと思うんだけど」 

 と見た目平凡キャラだけど龍族の末裔と言うハイスペックな身体能力を持つ竜ヶ峰幸りゅうがみね さち

「完璧な私のどこがなのよ!?」

 わーお、これで自分が完璧と思ってる時点でかなり驚き桃の木三種の神器だよ。

「せめて完璧と仰るならそこの多賀みたいな成績を取ってから言ってください。先生からの報告によれば担当の先生によってずいぶんと学業の成績が違うようですし」

 わー典型的な逆ハー狙いだね。

 と言うか副会長。それ一応褒めてもらっていると受け取っていいんですよね。

「「いや、そもそも、色々と小さいうえに化粧厚すぎだし、変な声撫で声で喋ってくるし、第一にビッチギャルはお断り」」

 見事なステレオボイスなのは双子の会計、南条佐助と南条祐介。

 一卵性双生児のショタっ子。しかも珍しい銀狐であると同時にその種族の王と呼ばれるほどの強さを持った九尾でもある。

「…目が恐ろしい」

 そうつぶやくきとどめを刺したのが、わんこ書記こと丹篠緩奈にしの かんな

 わんこキャラで、そのまんま狼。切れるとガブリと噛まれます。

 けれどもデレたらもう可愛くて仕方のないキャラクターである。

 何か忠犬を連想させるキャラである。

 割とショタ好き女子は大抵、双子の次にわんこだと前世の妹はいっていた。

「あーっ!あのクソ役立たずの駄女神め!」

 そう言って去っていった。

 あーナイスコンビネーション生徒会。


「それで、なんの用でしょうか?」

「今後一切、椎名梓に近寄らないでもらいたい」

 ……とうとう来たか。

 ある意味王道中の王道発言。

「椎名が最近来なくなった。理由を聞いても友達に相談した結果しばらくボイコットするとしか言わねえ。あいつの親しい友人と言えばお前と一年の浜井暗いし思いつかねえんだよ。それにゴールデンウィークに出かけるのに誘っても返事がなかった」

「キス魔の会長が何をおっしゃるので?」

 ―――そう言った瞬間、生徒会室が凍った。

「ガリ勉野郎、それ本当なの?」

 ガリ勉野郎は失礼だろう。まぁ、反論できないのは事実なのだが。

「はい、本人から、会長に突然唇を奪われたのだがどうすればいいと。そう相談されました」


「「「「それは会長(東)(和弘)が悪い(よ)(です)」」」」


 見事なツッコミ。

 ってか、お前らも知らないで協力してたのかよ。

「だ、だけどな―――」

「彼女への反省の言葉をすぐに考えなさい。それとすみませんでした多賀さん」

「そうだよ馬会長様。変に疑ってごめんね多賀君」

「「ごめんなさい、ガリ勉野郎」」

 謝るならしっかり謝ってくれ双子。

「それでは失礼しても構いませんか?」

「ちょっとm「ええ、大丈夫です」だからまt「急がないと次の時間に間に合わないからさっさと行った方がいいぞ」……」

 ありがとう。副会長と庶務!

 ああ、そうだ。

「会長。まず自分が椎名さんと恋仲になることはまずありません。それですので安心してください」

「なんでそう言い切れるんだ」

「椎名さんから見て私は話のしやすいお姉さんキャラだそうですし、そもそも私も

気になる異性くらいいますので」

 そう言って生徒会室を後にした。

 え、気になる異性?

 そんな人いませんけど何か?

 いや、だってこうでも言っておかないと会長しつこそうだから。

 そうして珍しく昼食をゆっくりと食べることができたのでした。


 


 ○○○○○○○○○○○○○○○




 放課後、旧茶道室。朝のうちに一度ここによって荷物を置いて行った。

 それは、着物。

 一着お義母さんに買ってもらい、それは実家で着ることになり、ここにあるのはお下がりの着物だ。

 一応GWの二日目に着付け方を教わったので自分一人で着ることはできる。

 ちょっと夢だったのが和服を着てゆったりとお茶を飲むことだ。

 我ながら長間女として生きてきたからなのか、こういう服を着てみたいとかはちょっとだけあった。……いや、正確にはお義母さんに植え付けられた。

 こんな服を着て××とかにいって夕日を見るもっていいわよね、とか。

 ある意味洗脳だ。

 そこら辺の男子高校生(?)が和服を着て茶をたてるなどかなりの美形でないと成立しないと思っているので、着物を着て、ウイッグを外し、軽い変装をしてみた。

 旧茶道室の近くには小さな池があり、小石が周辺にちりばめられており松の木もある。放課後になる頃にはもう雨が止んでいたのでここにきてのんびりとお茶を飲むことにした。

 少し時間がかかってしまったもののちゃんと着ることができた。

 髪を結う知識なんてほとんどないのでうなじのあたりで一つにまとめて縛って前に流しておいた。

 胸元にはいつも基本的に外すことのない首から下げられた十字架のアクセサリーは和服には少しミスマッチなので外して鞄にしまっておく。

 私が捨てられていた段ボールの中に一緒に入れられていたペンダントだそうだ。チェーンはちょっと小さくなったりするのでよく交換するが。

 必要な道具を持ち出し、一度茶碗などを清めてから始める。

 一人だからこんな本格的にやる必要は無いのだけれど、悪い癖で始めたことはとことんやってしまうのだ。

 冗談紛いで植木に「疲れたからマッサージしてくれ」と言われ、ネットで調べたり、本を読んだりして、その結果。

 ―――植木からはゴットハンドの称号をもらった。

 一番、上手かったと言われたのが足つぼマッサージだったか。

 ……まぁ、それはどうでもいい。

 障子を開けて外の風景を眺め、心を落ち着かせ、茶を頂く。

 これって結構贅沢なのかもしれない。

 抹茶も母さんから結構いいのをよく送って貰ってるし。

 あー、日頃の疲れが取れていく。

「…………あー、お前誰だ?」

 何時ぞやの母に呼ばれた時の様な不自然な動きで声の主を見ればダルダル先生こと大原真坂先生がいた。

「私は多賀ですけど?」

 どうにか誤魔化すためににこやかな笑顔でごまかす。

「…………まさか」

「いえ、多賀です」

「……確かにアイツは女顔ではあるが、こんな美人ではなかったしな…」

 聞いてない!?

 取りあえず足に熱湯をかけて現実に意識を戻す。

「あっ!?お前いきなり何しやがる!」

「先生が自分の世界に入り込んでいるので現実に復帰させてあげました」

「変なところでSっぽい……お前、多賀か」

「いや、さっきからそう言ってるはずですが」

 ……まさか先生Mですか?

 一応狼男で、犬の仲間に入るわけですからマゾ犬なんでしょうか?

 ゲームでは主人公をちゃんと守ってるいい人なんたけどな。

「お前さっき絶対失礼なこと考えてたよな?」

「え、はい。生徒にお湯をかけられて喜ぶ変態教師なのかと考えていました。……もしかして先生エスパーですか?」

 そう言うと珍しく先生がキレた。

「おいちょっと待て!どこをどう考えれば俺はマゾヒストになるんだ!」

「…23歳独身。男子生徒、もとい教え子に足に熱湯をかけられようやく人を見分ける……どっからどう考えても変態マゾでしょうが!」

 中学校の時に私が男子と話してて、たまに喜びのあまり抱きつくことがあって、その時にやたらテンションあがってた同級生に言わせれば『受けもしくは猫!もう生徒と教師の禁断の恋愛とかマジジャスティス!』とって言う所だろう。

 ……これを考えるのはやめておこう。

「なんでそこにムキになってるんだお前!?」

「いや、そこは言っておかないといけない気がしたんです」

「急に冷静だなおい!」

「え、ダメでした?」

「……もういいや」

 何かやる気を失っている。

 はて、何があったのだろうか(*確信犯)

「常温ですけど缶コーヒーどうぞ」

 一度用具室兼更衣室に入って自分の荷物から缶コーヒーを取り出す。

 一度抹茶を出したのだが、それが不評で「コーヒーの方がいいや」と言ったので一応この茶道室に缶コーヒーひと箱(24本入り)を置いてある。あと確か8本だったか……。

「お、ありがとよ」

 旧茶道室の畳の部分と地面は60㎝ほどありそこで靴を脱いだりしている。

 そこの段差に腰を下ろしていてその横で正座をして話をする。

 取りあえず一つ言いたいことがある。

「先生、うなじをちらちらと見るのをやめていただけませんか?」

「ぶっ!?ごほっ、ごほっ。いきなり何を言い出すんだお前は!」

 豪快にコーヒーを吹きこぼす先生。

 いや、だって本当にチラチラと見てるのだもの。確かに髪型的にも、和服的にも見えるけどそこは自嘲しておきましょうよ。

 そういえば、ゲームでも主人公の浴衣姿に軽く興奮してたな……

「いや、視線を感じたもので。男のうなじが見たいなら野球部がお勧めです。見放題ですよ」

「ちげーよ!」

「先生の視線が気になるので着替えてきます」

「え、あ、おい! ちょっと!?」

 ダル先生の驚きの声をスルーして更衣室へ。

 鍵を閉めて念のために背を向けておく。

 一度着物を脱ぎ、たたんでいる所でガチャっと音がしてドアが開いた。

 旧、と名がつくだけあってっ毛鴻古いものだから簡単に開いたりする。

「…多賀、悪かっ……へ?」

 現在、私の格好と言えば胸にさらしを巻いた状態で下はスパッツと言う実にマニアックな格好をしている。

「あの、いくら先生と言えど人に着替えを見られる趣味は無いのですが」

「わ、わわわわわわわわわわわ悪かった」

 すごい勢いでテンパって部屋のドアをしてた。

 まぁ、背中を向いてたし、一応背中の傷を隠す名目でつけてるから言い訳はできるだろう。

 制服、Yシャツに学校指定のブレザータイプだ。学ランは応援部の人が大会の応援で着てたりするな。

 制服を着て、ブラシで髪をとかし、頭の周りにぐるぐると巻きつけてネッネットをかぶり、ウイッグを付け、馴染ませる。

 それで準備は終わったので部屋を出る。

「お待たせしました」

「なぁ、単刀直入に聞くが多賀、お前って女なのか?」

「え?いえ違いまけど」

「…え、さっき胸にさらしを巻いて」

「それは小学生の時、事故に会いまして背中に左肩から脇腹にかけて割と大きな傷があるんです。人に見せるのに抵抗があるのでさらしを巻いてるだけです。まさか、私を男装女子だと勘違いしましたか?」

「…悪い、人にいって気の良い話じゃなかったよな」

 見事に罪悪感みたいなものでちょっとテンションが下がっている。

 まぁ、先生のフラグを建てないためにもここは男と言っておいた方がいいのだろう。

 別に私は松原みたいに逆ハー目指してる訳じゃないんだ。

 部屋に恋をされても困る。そんなに私の脳内は乙女脳じゃないんだ。

 私は、ただの物語りのひとピース。主人公の選択肢を脇役がとっていい訳がない。

 ……まだ時間はあるし、婚約者なんて見つからなくてもどうにかなるだろう。

 普通の人と結婚して普通の家庭を築く。それが今のところの第一目標。

 

 


次回もダルダルのターンです。

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