プロローグ
どうも。紫雨です。
ちょっと新ジャンルへの挑戦です。ほとんどノリで書いているので更新スピードがかなり遅いと思います。
―――真っ暗な世界。
俺はどこにいる?
―――何もなく、空気、重力すらない変な感覚。
恨み、嫉み、怨嗟、憎悪…そういったような感情があった時のようにどこかが痛くなった。
自分が、もう壊れそうなときに光がさした。
「『****』起きて」
声が聞こえた。誰のモノかは分からない。
けれど必死に手を伸ばした。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○
重い瞼を開け、周りを見渡す。
どこかなれすぎて感じなくなってきた鼻を刺すような独特の臭い。
周りには白いカーテンはあって、風が吹くとめくれて、青い空と雲が見えた。
「――っ――っ」
声が上手く出せない。決してのどが痛いわけじゃない。
今まで経験のしたことのない変な感じがする。
ゆっくり起き上がるが、腕に何かが繋いであった。
点滴?
ここは病院か……
すっかり分からなかったが口には酸素マスクがついていた。
ふと、頭に痛みが走った。
酷い嘔吐感が襲った。
寝ている蒲団を汚さないように近くにあった尿瓶に出そうとマスクを外すが、間に合わず、吐いた。
大雨、川の浸水、先生の姿、途切れ途切れでひどく曖昧な映像が頭をよぎった。
嗚呼、俺は死んでしまったこの子に手を引かれたんだ…
薄れゆく意識の中で、ひどく喉が焼かれたように痛く、口には酸性の味がした。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○
次に目が覚めた時には、綺麗なシーツの上で寝る自分と看護婦さんがいた。
「浜井明日香さん、この指が何本かわかりますか?」
正確には起きた次の瞬間に看護婦さんがこの部屋に入ってきた。と言うのがたがしいだろう。
「三本です」
今度は不思議と声が出た。
高い、12歳の少女の声としては正常な高さだと思う。
「大丈夫そうですね、少々医師の先生を呼んでくるから待っててね」
看護婦さんの優しい声で呼びかけて、病室を去っていく。
それから5分後に、看護婦さんが帰ってきたと思ったら、修道服が似合うシスターが入ってきた。
浜井先生だ。
「……明日香さん……?」
「おはよう、先生」
「~~っ!」
先生が手に持って来た花を落として俺を抱きしめる。
「よかった、本当に良かった」
先生が両手で顔を覆いその場に泣き崩れた。
それに何も言えずに、心の中でごめんなさいと呟いた。
それから説明を聞いた。
教会の近くの川の急な川の増水でその近くで遊んでいた男の子が流されそうになったをの俺が思い切りその腕を引いて男の子を助けたそうなんだが、その代りに自分が流されてしまったらしい。
その後、奇跡的に助けられたものの意識不明の重傷を負って病院に運ばれたらしい。寝ていた時間は約二日。
その川の増水の影響で教会が酷い被害を受け、これ以上の運営は不可能と判断されたらしい。
その影響で孤児院の人は一人一人色々な家庭へ引き取られるなどするもまだ何人も残っているらしい。
浜井先生はひたすら「ごめんなさい」と波がを流しながら俺に行った。
退院二日後、俺に引き取り手来たらしい。
この病院のある市の姉妹都市のような感じで仲のいいとされる場所の大きい企業の社長と秘書の多賀夫妻だ。
幸い、自分は成績が非常に良かったそうなので養子に迎えていただけたそうだ。
「本当にいいのかい?」
「はい、それでよろしいのでしたら」
12歳にしてはちょっと大人びた喋り方だが、これくらいしないと熱意は伝わらないと思う。
俺は夫妻にお願いをした。
『そよかぜ園』
この前まで暮らした孤児院だが、もう運営ができないと決定された。
それを多賀夫妻の会社で運営していただけないか、と。
「ちゃんと良い成績を残します!そよかぜ園の運営の負担分将来必ず働きます、どうかお願いします!」
この娘、浜井明日香は本当に孤児院を愛してたようだ。
少しでもそのことを考えると胸が熱くなって涙が出てきそうになる。
どうしても、あの場所はなくてはならない。
彼女が暗闇から、俺に人生をくれたんだ。
俺にできることなら、その希望をかなえたい。