中級—語り方1
次に語り方についてです。
・敬語について。
語り手が丁寧語で語り始めて、急に基本語(つまるところのタメ口)になったら違和感を感じますよね。
× 私は高校一年生です。今日から部活が始まるので、ドキドキしている。
ちょっと極端すぎる例ですが、かなり違和感がありますよね。
基本的に口調は統一しましょう。
・時制について
語る内容が過去か現在か、という話です。
過去のことを語る場合、その語り手は生きていることが前提ということになるので、ドキドキ感はなくなります。
しかし恋愛小説等では活用できるタイプかと思います。
現在のことを語る場合、それから何が起こるのかは語り手にも分からない、ということが前提となります。
この二つを混ぜてしまうのは、基本的に読者をげんなりさせてしまいます。
こんな場合はどうでしょう。
(以下例文)
私は彼のことが大好きだ。だから、彼と付き合うことになって本当に幸せ。
しかし、彼と付き合うことであんなことになるとは思わなかった。
(以上例文)
なんだか変ですね。『本当に幸せ』は『現在感じている』感情として読者は読み取ります。
しかしその後の『あんなことになるとは思わなかった』は『事件が起こった後の後悔』という感情のはずです。
この二つが一緒にあることはおかしいのです。つまり、本来はこうすべきです。
(以下例文)
私は彼のことが大好きだったのだ。だから、彼と付き合うことになって本当に幸せだと感じていた。
しかし、彼と付き合うことであんなことになるとは思わなかった。
(以上例文)
もしくは、最後の『しかし〜思わなかった』という文章を完全に消すという方法もあります。
『あんなことになるとは』や、『こんなことをしなければ』等という表現は読者の興味をそそる効果がありますが、それは過去のことを語るパターンでしか使えない、ということを頭の中にいれておきましょう。
・くだけた文章
この言葉を頭に入れてください。
『小説は日記やメールやブログではない』
台詞ですべてを表現する必要はありません。小説は、地の文で描写を入れることが出来ます。
×「えぇ? ありえないわ(笑)」
○「えぇ? ありえないわ」
彼女は笑いながら言った。
読書量第一、執筆量第二です。
できれば携帯小説やライトノベルではなく、れっきとした『小説』を読みましょう。他の小説から学ぶべきことはたくさんあります。
・表現
○三点リーダーの使い方
『こんなことになるなんて……思いもしなかった……』
これを地の文章でやると、面倒な文章だと思われがちです。
『こんなことになるなんて、思いもしなかった』
これで良いのではないでしょうか。
そもそも地の文章に三点リーダーを入れるのはあまりおすすめできません。
台詞にしても、三点リーダーばかりだと好まれないものです。
句読点を使い、読みやすい文章を目指しましょう。
○描写〜クエスチョンマーク
(以下例文)
私に殴られた彼女の目には涙が浮かんでいた。
どうして泣くの? 私が何か悪いことした?
(以上例文)
このような文章が続いたらどうでしょう。締まらないです。
(以下例文)
私に殴られた彼女の目には涙が浮かんでいた。
どうして泣くのだろうか。私は正当なことをしただけだ。悪いのは彼女の方だ。
(以上例文)
描写の中にクエスチョンマークがあると文章がぼけてしまいます。
『〜なのか』や『〜だろうか』という表現を使い、クエスチョンマークはあまり使わない方が良いでしょう。