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In Girls Interval  作者: Satch
第1部
8/33

第8話:熱々

前話からの続きと次話への前振りのため、今回は短めです。

「どうした? 座ったらどうだ?」


「あ、はい…」


座る場所か……正解はどこだろう?


部屋は8畳ほどで床一面絨毯が敷いてあり、入り口から向かって左奥にベッド、

その向かい側に勉強机がある、部屋のほぼ真ん中にテーブルがあり、

A4サイズくらいのノートPCが置いてある。


勉強机の椅子に座ろうとすると、さつき先輩は何故か悲しそうな顔をしている。

ハズレか…。


テーブルのノートPCが向いていない側に座ろうとすると、すごい冷たい視線を送ってくる。

ここもハズレ…。


まぁ、なんとなく答えは分かってるけど、ノートPCが向いている場所に座ろうとしたら、

どこからともなく竹刀を取り出してきた。額には青筋らしきものも浮き上がってきたように思う。


仕方ないのでベッドに腰掛けると、さつき先輩は満面の笑顔で俺の隣に座る。

握り締めていた竹刀は影も形もない…どこに仕舞ったの?


「初めて女の子の部屋に来て、いきなりベッドに座るなんて…」


顔を赤らめて目を輝かせてるけど、あんたが仕向けたんだ!


「ダメダメ! 枕をスーハーしたいとか言われても、おねーさん許可できないわ!」


「あんた誰やねん! っつかそんな事一言も言ってないですよ?」


っていうかテーブルに置いてあるコーヒーカップに手が届かないじゃん!


それまでぼーっといきさつを見ていたさくらが、コーヒーカップを1つ持って俺の隣に腰掛けた。


「はい…おにぃちゃん…あーん」


「いやいや…」


飲み物であーんとかないから! それにホットコーヒーはかなり危険だから! 火傷するから!


「あ…そっか…ふーふー…しましょう・・・ね」


さくらはコーヒーカップの上からフーフーと息を吹きかけて冷ましてくれる。


「はい…あーん」


「いやいや、自分で持つ…ってさつき先輩、なんで羽交い絞めしてんすか?」


「まぁまぁ気にするな」


気にするっちゅうねん! 背中の柔らかい感触も気にするっちゅうねん!


さくらがフーフーしてくれたけど、まだ湯気が立ち昇っている熱々のコーヒーカップが近づいてくる。


「や、やめ…」


「どう…ぞ」


「おぶぅ! あぢゃぁぁぁぁあああ!」





口に含んだコーヒーが熱すぎて吐き出したため、Yシャツの胸元からズボンの股間部分まで濡れてしまった。


慌ててタオルを取ってきたさくらが、胸元あたりから拭き始める。


「おにぃちゃん…ごめん」


さくらの手が股間に向かいそうになったところで止める。


「そこは自分で拭くから」


「え!? うん…」


そこまで驚く? って少し残念そうなのは何故?


「どうした? やましい気持ちが無ければ、拭いてもらっても問題ないだろう?」


涼しい顔で何言ってんだこの人。


「いやいや、やましい気持ちが無くても、ゴシゴシ拭かれたら色々ダメなんだからね!」


なにがダメかは割愛するけどな! っていうか動揺してツンデレっぽいこと言っちゃったよ!


「じゃあわたしが…」「誰でも一緒!」「むー!」


そんなお決まりのコントが終わると、さつき先輩は、風紀委員の苦労話などを熱く語った。

時折俺の肩に頭を乗せるが、すぐさくらが逆サイドからさつき先輩の頭をぐいぐい押し戻す。


そんなことを繰り返している間に、夕食の時間帯が近づいたのか、部屋にはおいしそうなにおいが漂ってきた。


「夕飯食べて行くだろう?」


「い、いえ、家でも用意しているので、そろそろ帰ります」


「だめ…一緒…食べる」


さくらが俺の腕にしがみついてくるけど、今日は精神的に疲れた。


「ごめんなさくら、またこの次な?」


「う、うん…」


さくらは渋々うなずいて納得してくれた……あとは。


「わたし…今日は帰りたくないな…」


「いやいや、ここがさつき先輩の部屋だから!」


これ絶対わざと言ってるよね?


「っていうか帰したくないな………軟禁?」


「怖いこと言うな! それやったら犯罪だから!」


「じゃあ監禁?」


「じゃあの意味が分からないけど、待遇悪くなってるから!」


さつき先輩は艶っぽく笑う。


「君は冗談が通じないな」


「いやいや、めっちゃ目がマジでした!」


さつき先輩は俺の耳に口を寄せると怪しく囁く。


「今度は誰も居ない時にな?」


「んなっ!」


誰もいない家に若い男女が2人きりとか、あぶないのが分からないのかな?

主に俺の貞操が!


さつき先輩は玄関まで見送ってくれて、さくらは玄関を出たところまで見送ってくれた。


「お姉ちゃん…何言ったか知らないけど…無視して」


「ああ、大丈夫だよ、たぶん…」


「たぶん…?」


「いやいや、大丈夫!」


俺の意識がちゃんとある時はね!

さくらは不安そうにしばらく見詰めると、ため息をついてから手を振る。


「おにぃちゃん…また遊び来て…ね」


「ああ、また来るよ」


俺が軽く手を振ると、さくらは嬉しそうに笑い、俺の姿が見えなくなるまで見送っていた。はず。





「んで? それを聞かされて、私にどうしろと?」


千歳さんめっちゃ不機嫌ですね!


「どうするとかじゃなくて、こんなことがあったよっていう報告?」


「なんで私に報告するの?」


「そ、それは、変に伝わってもアレかなと思って」


これじゃまるで、彼女に弁明しているみたいじゃね?


「べ、べつに変に伝わったところで…私は別に…」


千歳も同じことを思ったのか、顔を赤くして動揺してるっぽい。


「それは由々しき事態だ」


「うお! あんたいつからそこにいた?」


「? 初めからいたが?」


俺の隣に椅子を持ってきてちょこんと座り、足をブラブラさせているちびっ子生徒会長が居た。

椅子を持っていかれたクラスメイトが悲しげに立ち尽くしている。


「よし! 今日は家にしょうたいするぞ!」


「えー…?」


そこは対抗する必要ないよね?


「何よ? さくらちゃんの家は良くて、家はダメってこと?」


千歳…お前もかー!


「いやいや、そんな事は無いけどさー」


「よし! 決定!」


ちびっ子生徒会長が椅子から立ち上がって(降りて?)、右腕を突き上げる。

え? 俺の意思は? っていうかそのポーズの意味は!?


「あなたたち、今はHR中よ!」


「この人誰だ?」


ちびっ子生徒会長は、かわいらしく首をかしげている。


「いやいや、うちの担任ですよ!」


「へぇ」


へぇって反応薄いなー、みどり先生も涙目で口をぱくぱくさせていた。

このままじゃ先生が登校拒否になっちゃうかもなー。今度フォローしとこう。

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