表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
In Girls Interval  作者: Satch
第1部
6/33

第6話:気絶してても忘れない

夢を見ていた。


上を向いて寝転がっている夢だ、頭の下には柔らくて弾力のある枕が敷いてある。

とても心地よい枕だ、手の平でさすってみるとすべすべしていて暖かい。


「…ひゃう!」


何か千歳のエロい声が聞こえたが、夢の中に千歳の姿は無かった。


更に不思議な事に巨大な肉まんが2つ、上部をこちらに向けて宙に浮いていた。

何で肉まんがこんなところにあるのか、しかも宙に浮いているのか疑問に思ったが、

夢には脈略のないものが多いので、そんなこともあるだろうと納得した。


肉まんを掴んでみる、肉まんなのにやたらと柔らかくて、思わず揉んでしまうほどだ。


「…ひゃん!」


今度はさくらの可愛らしい天使のような声が聞こえた。


何度か触っているうちに枕を触ると千歳の声が、肉まんを触るとさくらの声が聞こえることに気が付いた。

ならさくらの声が聞きたいよねってことで、両手を使って肉まんを揉みまくろうとしたら、手を弾かれた。


「…何すんだ!」


「それはこっちのセリフよ! いいかげん起きろ!」


目を開けると、なぜか千歳に膝枕をされていた。そして近くにはさくらの顔も見える。


「あー…気絶? してたのか?」


「そうだよ」


何故か千歳もさくらも顔が赤く、目が少し潤んでいるようにも見えた。


「純くんさー、気絶しててもセクハラは忘れないんだね…」


「へ? 何のことだ?」


待ったく身に覚えがないのだが…。


「えっ!? もしかして覚えてない…とか?」


「う、うん」


「っていうか、いい加減起きあがってよ、足痺れてきた」


「お、悪い、つーかサンキュー、次もお願いします」


「べ、べつにいいけど、って次って何!?」


千歳は何故かかぁっと顔を赤くする。


「とっても柔らかかっ…ん?」


「? どうしたの?」


もしかして枕を触ると千歳の声が、肉まんを触るとさくらの声が聞こえた、アレがそうか?

これを目覚めた時の状況に照らし合わせると…


枕が膝枕だったから触ったのは、千歳のふともも…?

さくらの位置的に見ると、肉まんはさくらのおっぱ…胸…?


「ごめん!」


「ま、まぁ、そんなに嫌じゃなかったし、ね? さくらちゃん?」


「…うん」


「ごめん俺! 感触をちゃんと覚えてなくてゴメン!」


「そっち!?」





そろそろ帰るかと思ったとき、呼び出しの校内放送が流れてきた。


「吉岡純くん、吉岡純くん、至急生徒会室に来いなさい」


来いと来なさい混ざってるし…てか声を変えてるけど、これ絶対ちびっ子生徒会長だろ!


「んなこといいから早く来い!」


遠隔で心を読むな!





「失礼しまー…せん」


ドアを開けるとちびっ子生徒会長と、さつき先輩の険しい顔が見えたので、すぐドアを閉めた。

俺怒られるようなことしたっけかな?


幻かもと思ってもう1度ドアを開けたけど、当然のことながら幻じゃなかった。


「閉めるな! 入って来い!」


ビクビクしながら、恐る恐る生徒会室に入ると、さつき先輩が竹刀で床を叩いた。


「そこに座れ」


こないだ、正座で説教したのを根に持っているんだろうか?

しかたなしに冷たい床に正座をすると、さつき先輩が目の前に立つ。


っていうか、俺の目線の先にある白い太ももが眩しくて悩ましい、ちょっとドキドキする。


「おまえ、さくらの胸を揉んだそうだな?」


情報早! つい今さっきの話なのに…。


「挟んだりしたらしいじゃないか?」


「何を!?」


胸に挟むと言ったら…ダメこれ以上考えちゃダメゼッタイ!


「知らん、さえちゃんがそう言った」


さえちゃん先輩を見ると、物凄く笑いを堪えているし、あの人絶対楽しんでるだろ?


「何も挟んでないですって、触ったのは事実ですが…」


「やはりな、しかし、さくらも別に嫌がってる様子もなかったから…、

今回だけは多めに見てやるが、次はどうなるか分かってるな?」


さつき先輩の竹刀が妖しく光った。って竹刀に光る要素ある!?


「はひ…」


「私なら言ってくれれば、いつでも触らせてあげるのに…」


「え?」


「な、なんでもない!」


さつき先輩は、ひとしきりジト目で睨んだあと俺の前から退いた。

続いてちびっ子生徒会長が俺の前に来てしゃがむ。


ちびっ子生徒会長は、正座している俺と対して変わらない目線なのに、しゃがむ必要があるのだろうか?

しかも白いものが…いや苺模様までしっかり見えているし!


「なぁ、よしじゅん、さくらの胸は触って、何故千歳の胸は触らない?」


そこなの? 太もも云々って話じゃないの?


「…触るほど無いですから」


「だな! あれはまったく胸がないからな!」


あんたもな!


「な、なぁ純くん?」


「なんですか? さつき先輩」


「そ、その私も膝枕してあげようか?」


顔真っ赤にしてもじもじしながら何言ってんだこの人…。


「あ、ずるいぞさつき、私が膝枕してもらうんだぞ!」


まてまて、俺が膝枕するほうになってるじゃん!





教室に戻ると、さくらは自分の席にポツンと1人座っていた。


「さくら?」


「あ…おにぃちゃん」


俺が教室に入ってきたのに気付いてなかったみたいだ。


「どうした?」


「待ってた…いっしょ帰る…思って」


「そっか、ありがとな」


「…えへ」


笑いかけてくるさくらは、頬が少し赤くて可愛かった。


「千歳は?」


「ん? 部活…だと思う」


あれ、あいつ部活なんてやってたんだ、何部だろうと考えていると、さくらが少し悲しげな表情をしていた。


「どうした?」


「待ってるの…千歳ちゃんが…良かった?」


さくらは不安げに瞳を揺らしている。


「え? そんなことないよ?」


「ほんと…?」


「本当だよ、さくらが1番だよ」


「~~っ!」


「1番の友達だよ」


「…」


さくらの顔が瞬間湯沸かし器のように真っ赤に染まったと思ったら、急速に通常の状態に戻った。

さらにその頬をぷくっと膨らませると、涙目で睨んできた。


「え? な、なに?」


するとさくらはぷぃっとそっぽを向いてしまう。


「なんでも…ない」


なんでもないように見えないんだけどなぁ。


「早く…置いてく…よ」


「待てって!」


慌てて鞄を掴むと、教室から出て行ったさくらを追いかける。





「なぁ、なんか怒ってないか?」


「怒って…ない」


足早に歩くさくらは振り向きもしないで答える、やっぱ怒っていらっしゃる!


「なぁ、なんか知らないけど悪かったよ」


「なんで…謝る…の?」


さくらは立ち止まって振り向くとジーと見上げてくる。


「たぶん、俺が悪いんだと思うから、かな」


さくらは少し考える仕草をする。


「腕…組ませて…くれたら…許す」


頬を桃色に染めて、そんなこと言われたら断れるやつはいないよね!


「へ? そんなんで良ければいくらでもどうぞ」


「おにぃちゃん…腕組まれる…好き」


まぁ、好きか嫌いかって聞かれたら好きだけども。


「お姉ちゃんとき…ニヤニヤ…デレデレ…よだれ…垂らしてた」


「よだれは垂らしてねーよ!」


ニヤニヤ、デレデレは否定できないけどな! まぁあれはあれで理性を保つのが大変なんだぜ?


「じゃあ…」


そういうとさくらは、おずおずと腕を組んでくる。


「…えへ」


なんか分からないけど、満足そうな顔だな。って胸を押し付けるな!


「やっぱり…ニヤニヤ…」


「もう何とでも言って…」

「ね娘」という全3話の短編も書いたので、よかったら読んで下さい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ