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In Girls Interval  作者: Satch
第2部
31/33

第11話:学園祭1

体育祭に力を入れすぎたというか暴走していたせいか、

ちょっとスランプ気味です。

結局グダグダで終わった感の強い体育祭だったが、それが終わると次は間隔を開けずに学園祭となる。

基本的に学園祭実行委員会が企画書を作成し、生徒会役員で企画書の吟味をして承認を行なう流れだ。


風紀委員会はといえば、学園祭は一般の人も来るので、交代で見回りを行なわなければならない。

一般の人といってもセキュリティの関係で、生徒が配る招待状を持ってないと入ることが出来ない。

そのため、風紀委員会全員で見回る必要もないというわけだ。


「それから、何かあったときには集合をかけるので、

非番でも時間に縛られるような係りなどは受け持たないように」


「「「はい」」」


「ではこれが2日間の当番表だ」


さつき先輩から各々にプリントが配られる。ちなみに学園祭の期間は2日間だ。


ーがくえんさいみまわりとうばんひょうー


1日目午前:千歳、さくら  1日目午後1-3時:さつき、さくら 午後3-5時:さつき、千歳

2日目午前:さつき、さくら 2日目午後1-3時:さつき、千歳  午後3-5時:さくら、千歳


「質問は?」


「ありません」「…ない」


千歳とさくらはこれといった問題もないという感じで返事してるけど。


「いやいや、おかしいでしょ? 俺は?」


「ああ、それは別の仕事があるからな」


「別の? 生徒会ですか?」


学園祭実行委員会以外の生徒会では学園祭の2日間は特にすることはないはずだ。


「いや、見回り当番じゃない風紀委員のメンバーと学園祭を楽しむ仕事だ」


「は…?」


「女同士で回るより男子と回ったほうが楽しいだろう?」


男同士で回る学園祭は虚しいものがあるが、女子もそれと同じなんだろうか?

中学のときは、女子の団体などキャイキャイ楽しそうに回っていたけどな。


「・・・そうっす…かね」


「何か問題でもあるのかな?」


さつき先輩は、胸を揺らしながらどこからともなく竹刀を取り出す。


「いえ! ありません!」


暴力反対! 爆乳賛成! 後者は特に意味はない。 意味はないんかい。





1日目午前。


「じゃあ、どこから回りますか?」


学園祭実行委員が作ったパンフレットを眺めながらさつき先輩にお伺いを立てる。


「そうだな、いきなり食べ物というのもあれだし」


確かに始まってすぐ何かを食べるって、どんだけ腹減ってんだって感じだ。

でもクレープを売っているところでは、すでに何人かの女の子が並んでいる。


「朝の眠気覚ましに定番のお化け屋敷とかどうですか?」


学園祭レベルのお化け屋敷だと目覚ましにはならないかな。


「っ!? い、いや、私はすでに目が覚めまくっているからな!」


目が覚めまくるって変な日本語だよね!?


「じゃあ、普通にお化け屋敷で」


「っ!? い、いやいや、それはさくらや千歳ちゃんたちに取っといてやらないと!」


ははーん。


「もしかして怖いんですか?」


「な、なにをバカなこと、私に怖いものなどあるわけないだろう!

見ろ! 将棋部で将棋の対局ができるみたいだぞ? 行ってみないか?」


さつき先輩は見るからに動揺した感じで、俺の鼻先にパンフレットを突きつける。近すぎて良く見えない。


「そうですね…じゃあ」


「…うん」


「お化け屋敷で」


「んなー!?」


「どうしたんですか?」


「い、いや、気合を入れていたのだ、ほら行くぞ! お化け屋敷がなんだ!」


俺の手を掴んで引っ張っていくさつき先輩だが、その手が小刻みに震えているのが可笑しいというか可愛い。

ギャップ萌えってやつだな。 キャップが好きな人はキャップ萌えだが、今は特に関係無い。


俺とさつき先輩はお化け屋敷を催しているクラスの、受付係の唯先輩の前に立っていた。

いつも4人ひと組のゆい4先輩だが、さすがに受付に4人も割く余裕は無いらしい。


「…」


「…」


唯先輩は俺たちをじーっと見つめたまま微動だにしない。


「…あの、2人です」


「…」


「唯先輩?」


「…よしじゅんくんと巨乳風紀委員長さんご案内ー」


巨乳風紀委員長さんて。


「巨乳さんと?」

「デートかな?」

「拉致る?」


教室の中からゆい3先輩が不穏なことを話しているが、思いっきり聞こえている。


「もしもーし、聞こえてますよー、まだ準備中ですか?」


教室の中に声を掛けてから、唯先輩に確認する。


「いえ、お客さん第2号です」


「2号?」


「はい、先ほど生徒会長が捨て台詞を言って泣きながら去っていきました」


「千代先輩…」


ちなみにさつき先輩はさっきから一言も話さず、ぎゅっと俺の手を握って固まっている。


「じゃあ、入りますよ?」


さつき先輩は駄々っ子のようにその場で踏ん張っている。


「やっぱ怖いんですよね?」


「そ、そんなわけないだろう!」


「じゃあ行きましょう」


「…うん」


俺が手を引くとさつき先輩はようやく重い足を引きずるように歩き始める。


「中で卑猥な行為は禁止です」


「するか!」


唯先輩は冗談なのか本気なのか分からない表情で言うから対処に困る。


お化け屋敷(教室の教壇側の入り口)に入ると、まず薄暗い教室内の左のほうに通路が延びていて、

教室の後ろのドア手前でUターンして教壇方向に折り返すような構造だ。


その最初の突き当たりの壁に来た所で、壁が下にスライドして目玉に体が付いた例の人(人ではない)の絵が現れる。


「ぷっ!」


「…ひぐ」


これ絶対驚かすというより笑わそうとしてるよね? とさつき先輩を見ると顔面蒼白だった。うそーん!

しかも俺の手が砕けそうなほど強く握られてるし。


教壇方向に進んでいくと突き当たりの手前の壁が下にスライドして、ゾンビの格好した人が3人現われ、

呻きながら手を伸ばして俺たちを掴もうとする。


「うわ、気持ち悪い!」


「…ひぎ」


これくらいじゃさすがに驚かないよねと、さつき先輩を見ると涙目で尻餅をついていた。

しかも白と水色の縞々の何かが丸見えだ。ゾンビたちに見えないようにすぐにさつき先輩を引き起こす。


教壇付近で折り返すと、今度は井戸が見えてくる。定番の幽霊登場かな?

その井戸にじりじり近づいていくと、横の壁がからくり屋敷のようにクルンと回って幽霊が現れた。

それは由比先輩で白装束を着て頭に三角の白い布をかぶり、目は片方髪の毛で見えなくなっている。


「1枚…2枚…パンツ…足りない…」


「いやそれ盗まれてるから! っていうか井戸使えよ!」


「…き」


「入ってますー」


今度は井戸から由比先輩と同じ格好をした結衣先輩が現れた。


「トイレか!」


「…き」


続いて由比先輩が出てきた壁がまたクルンと回って、同じ格好の由衣先輩が登場する。


「悪い子いねがー!」


「それ違う!」


「きゃぁぁぁあああああ!」


遂にさつき先輩が女の子っぽい可愛い悲鳴を上げた。っていうかここ笑うところのような気がしないでもない。

それからスンスン泣き出したさつき先輩を引っ張って、なんとかお化け屋敷(教室)を抜け出した。


「またどうぞー」


さつき先輩は俺の手を握ったまま走りだしたので、俺は引っ張られるように足が床から離れる。


「おぼえてろー!」


「何を!?」


捨て台詞を叫ぶさつき先輩に引っ張られ、俺は宙に浮きながらツッコミを入れ、千代先輩と一緒だと考えていた。

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