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In Girls Interval  作者: Satch
第2部
29/33

第9話:体育祭5

ムカデ競争の次は力がありそうな面子が選抜された綱引きが行われ、青組、赤組、白組の順で勝敗が決まった。

綱引きの次の競技は"台風の目"と言われる競技で、何故か女子のみで全員参加で行われる。


台風の目は4、5人で一組となり、全員が一本の長い棒を持って決められたコースを走る競技で、

コースの途中に2、3個のコーンが設置されており、そのコーンを中心に一回転するのがルールだ。


通常は棒は手で持つだけだが、うちの高校は両手で持って胸の下に棒を当てるというルールもある。

棒が胸の下から離れると、総合得点から減点されるという誰かの陰謀を感じる非常に厳しいルールだ。


「さつき先輩、さくら、それと委員長も頑張って!」


「私は!?」


「あー……千歳もがんばって」(棒読み)


「純くん、終わったら体育館裏でお話ししようね?」


「ひぃ!」


口調は柔らかいがその眼差しは氷のように冷たい。


「純ちゃん、私たちも頑張るよ!」


「さえちゃん先輩も頑張って!」


「私は!?」


「あー……千代先輩もがんばって」(棒読み)


「よしじゅん、終わったら屋上でお話ししよう?」


「ひぃ!」


口調は柔らかいがその眼差しは氷のように冷たい。さすが姉妹だ。


そこでふと視線を感じて振り返ると、ゆい4先輩が少し遠くからこっちを見ていて、

俺の視線に気付くと、(みずか)らの胸をペタペタ触って4人とも落ち込んだように去っていった。


「何なんだ!?」





棒を胸の下に当てて走ると、当然棒はその場に(とど)まっておらず、

さつき先輩たちの山脈を下から持ち上げたり、押しつぶしたりする嬉しい特殊効果を発揮する。


「ブラボー!」


男子全員が立ち上がりスタンディングオベーションをする。マスターベーションじゃないぞ?

巨乳好きも、ちっぱい好きも大満足だ。


「さつき先輩、さくら、委員長、さえちゃん先輩、ブラボー!」


キッと千歳が睨んでくる。


「千歳、ブラ…」


千歳の顔が少し緩む。


「ジャー要らず!」


千歳は視線で人が殺せそうなもの凄い形相で睨むと、俺をずっと指差しながらコーンを回っていった。

なんだろ…殺しに行くから待ってろ的な意味…? うーん…どこに逃げようかな?


続いてさえちゃん先輩たちが見えてきたが、千代先輩は鉄棒にお腹で乗るように棒に乗っていた。

さえちゃん先輩と一緒にやるからそうなるのであって、女子の小柄なとこに入ればいいのでは?


と思ったが、後で聞くとそれもダメで、しかも小柄組だと千代先輩を持ち上げられないので、

比較的力持ちなさえちゃん先輩のとこに無理やり入れられたらしい。不憫なチビっ子だ。





主に男子たちの目の保養も終わり、体育祭最後の競技となる騎馬戦のスタートだ。騎馬戦は赤白青の三つ巴の戦いとなる。

騎馬の配置は、俺が前、左後ろがさつき先輩、右後ろが千歳で、騎手はさくらが務める。


「なぁ千歳、何で俺が前なんだ? さつき先輩のほうがバランス良くない?」


この配置は千歳の指示だったので千歳に確認する。


「だ、男子だから」


「そんな理由!?」


「…何か文句あんの?」


「ありません…」


なんで怒られた?


「純くんさ? 騎馬の後ろになってさくらちゃんのお尻がズレて自分の腕にだけ跨らないかな?

なんて思ってんじゃないの? いやらしい!」


「思ってねーよ! それと説明ありがとう」


なるほど、そんな豪華な特典があったか。まぁ気付いてはいたけどね、


「さくら? 右に行きたい時は右肩を叩け、左の時は左肩だ」


「…うん」



俺たちは開始と同時に、白組の敵陣をまっすぐに突き進む、これは開始前に言い渡されたさつき先輩起案の作戦だ。


「敵陣を突っ切りましたけど、何の意味が…?」


振り返ってさつき先輩を見ると、その手にはさくらが奪取した敵のハチマキが、大量に握られていた。


「いつの間に…?」


「そういうことだ」


さつき先輩は誇らしげな顔で胸を張ってぼいんと揺らした。


「どういうこと!?」


そしてそのまま赤組の敵陣も切り裂く。さくらとの性能の差が戦力の決定的差であることを教えてやろう!


その時、俺たちを指差して向かって来る騎馬がある、それはゆい4先輩たちだった。


「さくら、白組のエースと思わしきのが来るぞ、気を引き締めろ!」


「…あい」


武将同士の一騎打ちに手を出す輩は誰もいない。ハチマキを取られて終了した人たちが固唾を呑んで見守る。


『さぁ、ここからは実況の実木が引き取らせていただきます! 佐藤さんもよろしく』


『どうぞよろしく』


こいつら今の今までどこに行ってた!?


『校長の接待で疲れましたが気を引き締めていきましょう、さぁこの一騎打ちですが、佐藤さんはどう見ますか?』


前半いらんこと言うな!


『そうですね、青組の騎馬は他の騎馬の3倍の速さを持っていますが、一騎打ちでもそれが生かせるか、ですね!』


『青組なのに3倍ですか……白組の騎馬はどうでしょう?』


青組なのにの意味が分からない!


『白組の騎馬は派手さはないですが、非常に息の合った動きで相手の隙を突くのがうまいですね』


『なるほど! あ、最接近しますよ!』


「唯先輩、この勝負俺らが貰いますよ」


騎馬の1番前にいる唯先輩に宣戦布告する。


「そうはいかのきんta…」


「まてまて、何を言おうとしている!?」


『双方真正面から勝負!』


唯先輩の顔が急速に近づいてくる! ハッとなった唯先輩が頬を染めて目を閉じ唇を突き出してくる。


「何考えてんだぁ!?」


足を踏ん張りブレーキを掛けるが、さつき先輩は急に止まれない!

それでも何とかスピードを落としたが、思わず唯先輩を抱きしめるような形となった。キスは顔を横に傾けて逃れた。


『青組の騎手が身を乗り出して手を伸ばすが、白組の騎手は左右に体を振ってそれを逃れる!』


その時さくらの手が軽く右肩を叩く。それは右に少し前進の意味だ。

唯先輩から漂う甘い香りから離れ、少し右に前進すると、そこに目を閉じ唇を突き出している結衣先輩がいた。


「だから何で!?」


思わず結衣先輩を抱きしめるような形となったが、キスは顔を横に傾けて逃れた。


『おっと、ここで青組の騎馬が少し右に動いた!』


『騎馬が正面で当たるよりも騎手同士が近くなりますね』


『なるほど!』


「さくら、まだか?」


「…まだ…もすこし」


「純くん、後ろから回り込むぞ?」


業を煮やしたさつき先輩が、相手に聞こえないように俺の耳元でごにょごにょ言うから、ちょっとゾクッとしました!

結衣先輩から漂う柑橘系の香りから離れ、結衣先輩とその隣の由比先輩の後ろを通る。


『青組が後ろを回り込みますが、白組の騎手は後ろに目でもあるように、左右に体を振って避けてます! すごい回避能力です!』


白組の騎馬を構成する最後の1人である由比先輩の前方まで回り込み、そこから進撃する。

ハッとなった由比先輩が頬を染めて目を閉じ唇を突き出してくる。


「だから…」


思わず由比先輩を抱きしめるような形となった。キスは顔を横に傾けて逃れ…られず俺の口が由比先輩の頬に触れた。

その瞬間、由比先輩がビクッとなったため、騎手の由衣先輩がバランスを崩した。


『ああっと! 白組の騎手がバランスを崩しましたよ!』


『おお! しかも青組の騎手はその隙を逃さずハチマキを奪いました!』


『でも、このまま落下したら大変ですよ!』


俺はゆっくりと落下してくる由衣先輩をスローモーションのように見ていた。

瞬間的に由比先輩から漂う石鹸の香りから離れ、落下してくる由衣先輩をお姫様抱っこで抱きとめた。


『おお! 馬上から落下するお姫様を抱きとめる騎士のようですね! まさにお姫様抱っこ!』


うるせえよ!


「ダーリン…」


由衣先輩が頬を染めた。そしてほかのゆい3先輩が拍手をする。


「なんでやねん!」


由衣先輩から漂う苺のような香りから離れるように、地面に下ろした。

白組の武将が()たれ、士気の下がった白組は、残りの騎馬も次々減っていった。


『これで白組の勝利はほぼなくなりましたね』


『そうですね! あ、今度は赤組の武将と、さきほどの青組の武将が対峙しますよ!』


今度はさえちゃん先輩に肩車された千代先輩がこちらを指差して近づいてくる。

さえちゃん先輩1人で事足りてる!? ってことは後ろの2人は飾りか!?

案の定1話で収まらなかったです。てへへ。

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